キャリアインカレ2017 学生取材シリーズ【博報堂 / 博報堂DYメディアパートナーズ】

広告会社である博報堂 / 博報堂DYメディアパートナーズ(以下、MP)。この数十年で広告業界は急速な変化が起き続け、博報堂・MPも変革の最中とのこと。博報堂・MPが広告の未来をどう捉えているのか、そして今回のキャリアインカレに対してどういう発想を学生に求めているのかを詳しく伺ってきました!

お話をしてくれた方 吉川誠さん
株式会社博報堂DYメディアパートナーズ / 株式会社博報堂 人事局
吉川さん2013年入社 慶應義塾大学大学院 理工学研究科出身
学生時代は情報工学を専攻し、拡張現実(AR)の研究に従事。技術を使って世の中に企てることに楽しみを見出して、博報堂DYメディアパートナーズへ入社。
お話を聞いた人 青野将大
MY FUTURE CAMPUS学生スタッフ 東京大学 農学部 国際開発農学専修4年生
あおの理系分野だけに限らず文系学問も学べる場所を探して今の専修を選んだ。MFCのサイトPVや広告の流入数を確認して、その上下動に一喜一憂するのが勤務時の日課。

博報堂・MPが見据える広告の未来とは

―― 博報堂・MPが出題すると聞いて、もっと広告の仕事に近いテーマを出すのかなと思っていたので、少し意外でした。普段のお仕事でも、こうしたテーマに取り組むことはあるのでしょうか?

吉川さん もちろんあります。私たちは、クライアントの抱える課題に対して最適なソリューションを提供する事を仕事としています。テレビCMやインターネット広告が最適な場合もありますが、手法は自由です。メディアを使う事もあれば、新たな事業をつくったり、モノをつくったりする手法も考えられます。ですので、私たちの仕事はおそらく、青野さんのイメージされている「広告の仕事」よりも、もっと広い領域に跨っているんじゃないかなと思います。

―― なるほど、テレビCMやインターネット広告というイメージを持っていましたが、広告の仕事は思っていた以上に広いんですね! 今回のテーマの中に、「生活者発想」と「発明」という言葉がありますが、まず、生活者発想とは一体どういう意味なのでしょうか?

吉川さん 「生活者発想」とは、私たちの会社がフィロソフィーとして掲げている言葉で、博報堂・MP社員一人一人の心に根付いているとても大事な言葉です。私たちは人を単に「消費者」として捉えるのではなく、多様化した社会の中で主体性を持って生きる「生活者」として全方位的に捉えます。生活者を深く洞察することから新しい価値を創造していこうという考え方、それが「生活者発想」です。

―― 消費者というのは人の一側面に過ぎないということなのでしょうか?

吉川さん そうですね。例えば、皆さんには“消費者”という一面もあると思いますが、その他にも“学生”という一面や、誰かの“子供”という一面、世の中から見れば“有権者”といった一面もあると思います。私たちは人を一つの側面からだけではなく、様々な側面から観察することを大切にしています。

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―― ターゲットを分析する時、ついつい性年代別などで分けがちですが、確かに、「学生」や「有権者」といった切り口で観る事で、新しい発見が生まれそうな気がします! 続いて「発明」という言葉の意味についても教えてください。

吉川さん 博報堂・MPは「未来を発明する会社へ。Inventing the future with sei-katsu-sha」という合同ビジョンを掲げました。広告会社はこれまで、クライアントの商品やサービスのコミュニケーションを主なビジネスとしてきましたが、いま、時代は大きく舵を切っています。例えば、インターネットをはじめ、縦横無尽のネットワークと発信手段を手に入れた「新しい生活者」は、今や、ただの受動的な存在ではなく、デジタルでつながった「行動する主体」「発信する主体」へと進化しています。

―― インターネットやSNSはもはや、僕ら学生にとっても手放せない必需品になっていますが、単に情報を受け取っているだけでなく、自分達が発信しているというのは実感としてもあります。

吉川さん 時代は目まぐるしく変化・進化していますし、そのスピードもどんどん上がっています。私たちは、こうした生活者やメディアの変化に呼応して、私たちのビジネスを大きくシフトする時だと感じています。「生活者主導社会」である今、経済に必要なのは新しい生活者たちと「共創」することであり、わくわくするような「未来のストーリー」を共に描き出すことなのです。私たちは従来の広告業に加えて、新しい生活者と共に、様々な商品やサービス、事業やメディアを「つくる」会社、過去に全く存在しなかった何かを、生み出す主体になろうとしています。これが私たちの掲げている「未来を発明する」ということなんです。

魅力を伝えるには、自分が魅了されていないと、始まらない。

―― 最初にテーマを見た時、日本の伝統を「海外に発信せよ」というのは見た事がありますが、「日本人に改めて気づかせる」というテーマは新しいなと思いました。

吉川さん 今回のテーマは、ゆくゆくは海外に発信していくための土壌づくりという側面も孕んでいます。日本の伝統を海外に発信するためには、まず、発信する側である私たち自身が、伝統に対する誇りや好意を持っていなければ、海外にまで波及していかないと思います。伝統を海外に発信するにせよ、後世に継承していくにせよ、伝統の魅力を誰かに伝えるためには、まず、自分達が伝統に魅了されていないと始まりませんよね。

―― なるほど、日本人に改めて気づかせるというのには、そういう意図があったんですね! 「伝統」というワードを選んだのには、どういった意図があるのでしょうか?

吉川さん 日本には「伝統」がたくさんあります。和太鼓や琵琶、民謡といった「音楽」。かるた、あやとりといった「遊び」。寿司やお雑煮、かき氷といった「食べ物」。年賀状、お年玉といった「行事」。茶道、書道、武道といった「芸道」。有形なものから無形なものまで、種々様々です。日本の伝統というのは、学生の皆さんにとって一見馴染みがあるようで、少し遠い感じもある、いい距離感だと思うんです。だからこそ、伝統の魅力をまるごと活かして伝えていくのか、それとも時代に合わせて何かを刷新して伝えていくのか等、最終的なアウトプットである「発明」の選択肢にも拡がりが持てるんじゃないかと思いました。

— コンセプトはすごく分かってきました! 伝統が近くて遠い存在と言われると確かに納得しちゃいます。伝統はいつから、どうして遠い存在になってしまったんですかね?

吉川さん そこはまさに今回のポイントになると思います。日本の伝統が、それこそ何百年、何千年という歴史の中で受け継がれ続けてきたのは、きっと日本人の奥底にある感性と共鳴する何かがあって、後世に残したいという強い「想い」があったからこそ、バトンが途切れることなく、今なお残り続けているのだと思います。もし、この「想い」が弱くなっているとしたら、それはなぜなのでしょうか? 伝統と触れ合う機会が減っているからなのか、伝統が今の若い世代には受容されにくいものになっているからなのか、だとしたらなぜ受容されにくくなってしまったのか。変化の激しい今の時代において、「想い」をつなぐ力を弱めてしまっている要因はどこにあるのか、そこを皆さんに考えてもらいたいと思っています! 伝統を伝える側であったり伝えられる側であったり、いろんな生活者の気持ちに立って考えてもらいたいですね。

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説得ではなく、納得するプレゼンテーションを。

―― 今回のテーマに取り組むにあたって、学生の皆さんが気をつけるべき事など、何かアドバイスがあればお願いします!

吉川さん 学生の皆さんは私たち社員よりも10年も20年も若いと思いますが、皆さんはその分、私たちよりも未来を生きていると言えると思います。今回、皆さんには未来を発明することに取り組んでもらうわけですが、未来において受容されるものは、きっと学生の皆さんに受容されるものであるはずです。その皆さんがピンとこない発明は当然、周りにも波及しませんし、世の中を動かすには至りません。先ほど、魅力を誰かに伝えるためにはまず、自分達が魅了されていなければならないというお話をしましたが、それはプレゼンテーションにおいても同じです。自分達のアウトプットに対して、本当に自分達の心の琴線が触れるものになっているかというのは、必ず振り返ってみるようにしてもらいたいですね。

―― 広告会社の人はプレゼンが抜群にうまいという印象を受けますが、その理由が分かった気がします! プレゼンはどれだけ論理的に相手を説得できるかも大事だと思うのですが、そこはどうお考えですか?

吉川さん もちろん、論理的に積み上げていくことは重要です。しかし、ロジックだけでは人の心は動きません。論理的に正しくても、机上の空論になってしまっては元も子もないですよね。私たちの仕事は人の心を動かすことですから、生活者の気持ちに寄り添い、人の心を動かすツボを抑えられているかということも、とても大事にしています。相手が左脳と右脳の両方で「納得」できるようなプレゼンテーションを心がけていますね。今回、皆さんには広告会社の人間になったつもりで取り組んでもらいたいと思っていますので、博報堂・MPに対して提案をするのではなく、博報堂・MPの一員としてどう提案をするか、という立ち位置でプレゼンをしてもらえればと思います。

―― では最後に出場するであろう学生に対してメッセージをお願いします!

吉川さん 若い学生の皆さんは、私たち社員がしてこなかった経験もたくさんしてきていると思いますが、その経験の全ては「生活者発想」の糧となります。皆さん自身も「新しい生活者」の一人であるという事を忘れずに、課題に取り組んでくださいね。未来の主役である皆さんが、どんな未来を描くのか。皆さんのフレッシュなアイデア、熱量を総動員した「発明」を楽しみにしています!

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青野将大の取材後記

広告会社の仕事が、想像の及ばない範囲まで変遷を遂げていることに非常に驚きましたが、そのなかでも根底にある変わらない「生活者発想」というフィロソフィーが博報堂・MPの今の成長を支えているのだと思いました! 博報堂・MPの出題テーマを選べば、この「生活者発想」を直に体感できると思います。ぜひみなさんこのテーマに挑戦してみてください!

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