私たちと企業をつなぐ「ブランド」。近年では、ますます多くの会社が「ブランディング」に注力しはじめています。 本特集では、トップランナーが展開するブランドコミュニケーション戦略を紹介しながら、有形、無形の「ブランド」が生み出す価値や資産、さらに、その背景にあるそれぞれの企業の思いに迫っていきます。

まず、「話を聞いていただける」ことがブランドの大きな価値 ー日立製作所

「ブランド」特集の第二回は、グローバルに多様な事業を展開する日立グループをフィーチャー。巨大企業が挑む内外向けのブランディング活動やそこから生まれる価値、さらに、「広報・ブランド担当者の心構え」にいたるまで、グループのブランディングを一元的に担う日立製作所 グループブランド戦略部 部長の紺野篤志さんにお話しいただきました。

インターナル・コミュニケーションの三本柱

ーはじめに、「日立グループ・ビジョン」実現への思いを宣言したスローガン、「Inspire the Next」について詳しくご説明いただけますでしょうか。

紺野さん:「Inspire the Next」は、2004年に制定した日立グループのコーポーレートスローガンです。日立は長らく、グループの連携という意味では比較的緩やかなつながりだったのですが、2000年頃に、グループとして連結経営へと大きく舵を切りました。それと同時に、共通の財産として、「日立」というブランドをマネジメントする活動がはじまったんです。そこで生まれたのが、「Inspire the Next」という言葉でした。日立グループ全体が目指すものとして、新しい時代に息吹を吹き込んでいきたい、との思いを込めたビジョンです。

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ー多様な企業で構成されるグループ全体として、共有の資産、共通のメッセージを生み出すことはなかなか難しい仕事のような気もします。

紺野さん:おっしゃる通りです。グループを構成する約900社の企業にはそれぞれの歴史や財産がありますから、我々としては、それも大切にしていただきつつ、「日立」という価値観やアイデンティティを共有する仲間であることを理解してもらえるよう、日々努力しているところです。

ービジョンやブランドを発信するにあたっては、社内向けの活動と社外向けの発信に大きく分けられるかと思います。まずは社内向けのものについて教えていただけますでしょうか。

紺野さん:柱は大きく3つあります。一つは、「Inspiration of the Year Global Award」というグローバルな表彰制度です。毎年、前年度に行った様々な活動のなかで、とくに日立グループ・アイデンティティの体現を通じて活気あふれる世界を実現し、日立ブランドの価値を高めた優れた活動について、世界の6地域からそれぞれグランプリを決めて表彰しています。

受賞チームの代表者には日本に集まっていただいて、表彰式のほか日立の歴史やブランドに関するさまざまな教育プログラム、さらに社長を囲むラウンドテーブルへの参加を経て、「ブランドアンバサダー」に就任してもらいます。彼ら彼女らには、各拠点に戻ったときに、日立ブランドの伝道師としての役割を担ってもらうことを期待しているわけです。

ーある種のロールモデルのような。

紺野さん:そうですね。そして、二つ目として、受賞者たちの活動を物語仕立てにしてまとめた「日立ブランドストーリー」という読み物を作り、イントラネットへの掲載も行っています。さらに、それをもとに7分程度の「Hitachi Group Identity Movie – I am Hitachi –」という動画を製作し、YouTubeなどに公開している活動が、3つ目の展開です。これらの三本柱で、日立ブランドの価値を理解してもらえるよう、社内向けに情報を発信しています。

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