2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)」。それから、約三年の時を経た現在、SDGsは私たちの身の回りの生活、あるいは、ビジネスにどのような影響を及ぼしているのでしょうか。社会や企業の意識・行動の変化から、世の中の潮流を読み解きます。

【モニター デロイト】戦略コンサルティングは社会価値向上にも貢献する

不可逆的で、永続的なトレンド

ーそうした企業を増やすことは、まさに、御社の本業力によるSDGsへの貢献と言えますね。では、その他に、御社が取り組まれている社会貢献活動があれば教えてください。

山田:DTCでは他にも、「ソーシャル・イノベーション・パイオニア」プログラムという、非営利団体に無償でコンサルティングを提供する活動も行なっています。

「サプライチェーン全体を視野に入れた持続可能でエシカルな生産・消費の実現」と「女性、若者、外国人を含む多様な人々の就業・経済的自立支援」に取り組んでいるNPOやNGOを特に対象にしたもので、当社のコンサルティングによって、成長を加速させ、そのインパクトを最大化することを目指しています。

ー御社のコンサルティングによってNPOやNGOが大きく育ったら、そのネットワークをいかして、新たなビジネスが生まれるかもしれませんね。

山田:はい。たとえば、最初の年に支援したACEという団体は、企業と協力しながらサプライチェーン上で起きている児童労働問題を撲滅することを目指して活動しています。そこでDTCは、ACEが企業に働きかけをする際に、どのような語り口でアプローチすると受け入れられやすいかといった支援をしました。
ACEとDTCのコラボレーションにより、児童労働問題に取り組もうという企業がますます増えていくことを期待しています。

ーSDGsにまつわるビジネスは日本でもどんどん増えていきそうですね。

山田:そうですね。SDGsとビジネスの関係は、大上段に構えれば、「資本主義はこのまま続くのか」という議論につながるのかもしれません。それは、「企業の事業継続は可能なのか」と言い換えることもできるでしょう。

わかりやすい例では、近年、水害など地球温暖化と密接に関係している自然災害が日本でも頻繁に起きていて、実際にビジネスに影響を及ぼす事態になってきています。つまり、SDGsの有無にかかわらず、社会の抱える課題は、すでに企業の帳簿に影響を及ぼす話になってきているということです。

それを無視してビジネスを続ければ、いずれ事業が立ち行かなくなる。これに危機感を抱いている企業は増えていますし、政府も同様に対策を迫られています。その流れは不可逆的で、永続的なトレンドといえると思います。

近い将来、自分がどういう社会で暮らしたいのか

ーそうしたなかで、若い世代は、SDGsにたいしてどのように向き合っていくべきだとお考えでしょうか?

加藤:私は副業として大学で講義を持っていまして、まさに、大学一・二年生を対象に、SDGsの話もしています。そのとき、学生さんには「まず、SDGsの17のゴールの概要を知っていただきたい」と伝えています。国内外で具体的に困っている方々の顔が浮かぶレベルで課題である「What」の解像度を上げた後は、その課題がどうして起きているのかという原因、つまり、「Why」を繰り返していってほしいと。この「What」と「Why」を行ったり来たりするなかで日々のニュースなどに触れると、身の回りの色々な事柄が繋がってきて、どんどん面白いことが分かってくるのではないかと思います。

藤井:就職活動という目線で言えば、社会の持続的な成長に対して、長期的に課題解決を目指そうという姿勢のある会社であるか否かを選択の軸として持ってもいいのかもしれません。いま、多くの企業が「働き方改革」「女性活躍推進」を謳っています。けれども、それがCSR報告書にアイコンを並べた見栄えだけの活動なのか、本質的に事業戦略のなかに取り込んでいるのかという目線で見ると企業の本質が見えてきます。

SDGsに対する取り組みは、会社の従業員に対するエンゲージメントとも親和性が高いものだと思うので、そういったところを注意深く観ることが、違いを見分ける一つのポイントになるかもしれません。

山田:いま学生の方は、2030年には三十代半ば……現役バリバリの世代です。そのときのご自身の生活は、社会のSDGs達成度によって大きく左右されているはずです。

経済状況はもちろんのこと、お子さんがいるとしたら、その子が保育園に入れるかどうか。あるいは、親の介護にどれだけ自分の時間を割かなければいけないのかといった問題まで関係してくるでしょう。そうすると、SDGsについて考えることは、近い将来、自分がどういう社会で暮らしたいのかを考えることにつながってくるわけです。

そうしたなかで、社会人として一日の大半を過ごすことになる就職先の企業に何を求めるか。どういう選択を行うかは人それぞれですが、自分の目指すところと実際の仕事が真逆を向いていると苦しくなってくるので、そのあたりについて、学生のうちにしっかり考えておいた方がいいかもしれません。

ーありがとうございました。

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