みなさんは、自分の将来を考えるとどんな気持ちになりますか?キラキラしている人の姿を見ては、何だか自分だけ置いていかれているような気持ちになるなんてことも・・・。
「29歳までの道しるべ」では、現在いろいろな舞台で活躍する大人たちを取材し、彼らの20代のお話を聞きました。
いまだからこそ言える“少しでも人生を前に進めていくためのヒント”です。

目の前の一瞬を大事に。― 『今日のタメ口英語』著者kazumaさん

kazumaさんは、自身の渡航経験から得たナマの英語を紹介するTwitter『今日のタメ口英語』の運営者。普段使いの自然な英語を紹介するスタイルが注目を集め、現在フォロワー数は28万人を超えています。
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今年の3月にKADOKAWAから書籍化を果たすと、5カ月足らずで発行部数3万部を突破。自らを“永遠の中二病”と称すkazumaさんが、どんな20代を過ごし、語学書として異例のヒットとなっている『今日のタメ口英語』を生み出すまでに至ったのか伺ってみました。

17〜24歳 お金を稼いでは海外へ行き、帰国してはお金を稼いだ日々。

ーkazumaさんが初めて海外に行ったのはいくつの時ですか?

kazumaさん:17歳の時にアメリカへ行きました。今考えると本当に恐ろしいんですけど、中学英語もろくに出来ないのに、まったくのノープランでニューヨークまで行ったんですよ。向こうでホテルを探せばいいやってノリで。

けど、意外にも苦労した記憶がないんですよね。空港に着いてタクシーに乗って、ドライバーに「ニューヨーク」「ホテル」とか知ってる単語を並べてみたら、向こうから(たぶん)「予約はあるのか?」みたいなことを聞かれたので「ノー」と言ったら、ニューヨークでホテルを探そうとしていることを察してくれて、助けてくれたりとか。

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ー中学英語だけでニューヨークへ行き、ホテルまで予約したわけですか!

kazumaさん:そういえば予約すらしてないんです(笑)。

夕方着いてタクシーを降りて入った1発目のお店が、カフェバーって言うんですかね、お茶もお酒も飲めるようなところがホテル街にぽつんあったので、コーヒー飲めないのに気取って入ったんですよ。で、カウンター席で現地の女性に「どこから来たの?」って話しかけられたから、「ニッポン」と答えたのが何故か気に入ったらしく。

そこから拙い英語を駆使しながらも話が弾んで、結局その人が暮らしている家にお邪魔することになったんです。「ニューヨークに滞在中は、ウチを使っていいわよ」とまで言ってもらっちゃって。

ーいきなりの展開ですね。

kazumaさん:さらに週末にはその家で、各々1品持ち寄る、総勢30人ぐらいの“the アメリカ”って感じのホームパーティが繰り広げられて。

みんなそこら辺に立って飲んでるんですけど、話しかけたうちのひとりがFBI職員で、腕にFBIシンボルの鷲のタトゥーが入っている姿に「警官タトゥーありなのか」という気持ちと「タトゥーの由来がカッケェ」と、その両方に圧倒されたり。

ほかにも、結婚式にDJが来て、DJが流す曲で老夫婦もダンスし出すとか……。「映画と同じじゃん!」というアメリカ文化に何度も衝撃を受けた覚えがあります。

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ー他にも海外でのエピソードがありますか?

kazumaさん:オランダでは、ホテル側が予約ミスをしたお詫びとして、お値段そのままで部屋のグレードがものすごく上がったという天国と、ひったくりにあって無一文になるという地獄の両方を体験しました。

無一文になったときは、とにかく路面電車に乗ってホテルに戻ろうと運転手さんに事情を説明したんですけど、そのときはまだパッと英語で説明はできなくて、「Ah……」とか「Uh……」とか言葉を探していたら、多分また察してくれたんでしょうね、運転手さんがジェスチャーで「乗れよ」ってやってくれて。

そこでもまた“地獄に仏”を味わいました。海外に行ったときに限らずですけど、どこに行ってもなにをしても、良いことも、たまには悪いこともあって。でも思い出すと、どのエピソードも今となっては笑い話です。

ちなみに、そんなときの「うわなにこれ」、「ありえない」みたいな気持ちの部分や、「こないだ」、「わりと」なんていう会話のちょっとしたことも英語で言えたらな、と思い始めたのが今の活動のきっかけのひとつになっています。

ー結局、海外には何回くらい行きましたか?

kazumaさん:17から25歳までの8年間で、20回ぐらいですかね。

ー友人宅にお世話になるにしても、旅費とかってバカになりませんよね。

kazumaさん:25歳くらいまでは、その日暮らし的に生きてたんです。短期間ガッツリ働いて30万とか50万貯めたら海外に行って、使い切るみたいな。その繰り返しでしたね。

25〜歳 気付けば増えていた「自分の強み」。

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ーお金を貯めては使い、という生活を20代半ばで切り替えたのは何かきっかけが?

kazumaさん:そろそろ、人生のハンドリングを始めようかなと思って(笑)。もともと漠然と、ある年齢までは色々なものごとを実際に見て、楽しみながら、社会でも経験を積んでいきたいなと考えてたんです。そこからだんだんと、PC1台でどこでも仕事をしたいと思うようになって、webやライティング、マーケティングなどを学ぶようになりました。

でも実際は、言うほど貪欲に知識を身に付けようとはしてなくて。自分のやりたいことを楽しんでたら、いつの間にか自分にできることが増えていた、というのが本当のところです。

ちょうどその頃には、ある程度英語も身に付いてきてたので、多読の材料ついでにマーケティングとかWEB、ライティングに関する海外の文献を読み漁ったりして。そういった知識も今になって思えばTwitterでのアウトプットに生きているのかな、というのはありますね。

ー渡航先で言葉が出てこなかった悔しさが、英語学習の原動力でしょうか?

kazumaさん:悔しいというよりは、“言えたらもっと楽しいだろうな” “つぎはこんなこと言いたいな”っていう感じでしたね。そんな気楽な感じでいたので勉強も苦ではなかったですね。ハマり出すとジョギング毎日しちゃう、みたいに習慣化してきて。

いちばん最初は中学英語の文法をおさらいして、それから市販の問題集や参考書に付いてるCDを聞いたり、リスニング用の教材をフレーズごとに区切って止めて、聞こえたものを口に出したり。最初に文章を黙読した後にもう1回音読してみたり、とにかく会話することが目的だったので、どんな教材にしろ、言い慣れる、聞き慣れることを目指した訓練をけっこうストイックにやってきました。

学習の中後半には英文の文法書をゆっくり何週にも渡って読んだりして、時間はかけてますね。

そのうちに、どうすれば話せるようになるのかが見えてきて、自分なりの学習手順を組み上げて、それに沿ったトレーニングをしてました。

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ー地道な努力をされていたんですね。KazumaさんはTwitterも書籍も匿名でやってますよね?承認欲求とかはないのですか?

kazumaさん:承認欲求というか、「俺は特別なんだ!」っていう気持ちはありますよ。自分のこと、終わらない中二病だと思ってますから(笑)。

ただ同時に「自分は何者でもないんだ」っていう気持ちもあります。冷静と情熱じゃないですけど、ブレーキもアクセルも持っていて、失敗したときの保険をかけるような慎重さもありつつ、いざというときには後先考えずに飛び込む勢いも持っている、という両方のバランスが大事かなと思います。

ーkazumaさんご自身はその感覚をどうやって身に付けたんでしょう?

kazumaさん:変な話、いろんなところに行く度に、人ごみに紛れるだけでも感じるんですよ。“自分って、何万人の一人でしかないなぁ”って、ことあるごとに思いますね。

「自分のこと中二病だと思ってる」って言いましたけど、僕の場合はまず、そうやって「人に紛れたとき」を意識することで客観的に自分がどういう人間かを自分なりに見つめることが出来てる気がします。そうやって、「ここでこれやるのは違うな」っていう無暗なことをしないときと、逆に「ここは自分らしさを全開に出して行こう」っていう振り切るときの基準を作ってるんだと思います。

そしてそのバランスで言うと、『タメ口英語』を続けるのに僕の感性を入れるのはいいけど、素性は不要だなと思ったんですよ。
同じ英語を楽しむ仲間と思ってもらえるだけで十分なんですよね。

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ーところで、これまでの職業で、いまに役立っている経験などありますか?

kazumaさん:島国で漁師から都会でのおもちゃ屋さんまで色々やってきましたけど、25歳までの職歴を見ると今に直結しているものは特にありません(笑)。

手に職じゃないですけど、フォークリフトの免許が取りたくて、ある倉庫会社で働いたことがあるんですけど、お給料もらいながら免許も会社負担で取らせてくれたんです。フォークリフトが使えれば、港や海辺の倉庫で働くのに良さそうだし、そういう職種は食いっぱぐれることもないだろうなって。

ところがそれ以来、フォークリフトには乗ってないわけです。ドラクエなら重要なアイテムは使わないとストーリー進みませんけど、人生だと、それを取ったけど使わないってこともよくありますよね。どれが重要アイテムになるかはそのときになってみないと分からない。

資格や免許を取ると、つい「せっかく取ったんだから」って気持ちが働いて、使わないともったいない、お金や時間をかけて、一生懸命手に入れたものが無駄になる、って怖さもあるかもしれないですけど。

その一見無駄とも思えるものの中に、将来役立つ大切な何かがあると僕は思います。だから興味があったらなんでも始めてみちゃえばいいし、嫌になったらなんだってやめちゃえばいいんです。

Twitterでフォロワー数20万人超え、書籍化、次のステージへ。 →続きは次のページへ