2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)」。それから、約三年の時を経た現在、SDGsは私たちの身の回りの生活、あるいは、ビジネスにどのような影響を及ぼしているのでしょうか。社会や企業の意識・行動の変化から、世の中の潮流を読み解きます。

【富士通】ICTは、SDGsに対しても無限大の可能性を秘めている ー富士通 環境・CSR本部 共有価値推進部 マネージャー 花房研二さん

SDGsに積極的に取り組む企業は、年々増加しています。私たちの生活に欠かせないICT(情報通信技術)を通じて、SDGs達成に向けたサービスを数多く展開する富士通。今回は環境・CSR本部 共有価値推進部のマネージャー 花房研二さんに、その活動の背景にある企業理念や、実際のサービス内容、今後の取り組み方針などについて語っていただきました。

SDGsと既存のサービス

ー2015年に国連サミットで採択されたSDGsに対して、御社はどのように捉えていらっしゃいますか?

花房さん:SDGsが採択される前から、富士通が掲げているビジョンのなかには、「ヒューマンセントリック・インテリジェントソサエティ」という言葉がありました。つまり、我々はもともと、人間を中心に考えながら、生活者やお客様に対して新しいビジネスを創出したり、成長機会をもたらすことで、社会を豊かにすることを目指していたわけです。こうした活動と、SDGsの達成に向けて取り組む方向性は、一致していると認識しています。

ーSDGが発足したことによってなにか変化はありましたか?

花房さん:SDGsという世界共通の目標を通して、改めて我々の事業を整理して、自分たちの仕事への価値づけを新たにすることができました。また、共通言語ができたことによって、パートナー様やお取引先と同じ理解で取り組みを進められるようにもなりました。さらには、SDGsを起点にした新たな事業を創出していく、という活動もこれから加速してくるのではないかと考えています。

ーそれでは、御社の具体的な取り組み内容を教えていただけますでしょうか。

花房さん:富士通が手がけるICTという分野は、非常に幅広いのですが、今回は、5つの事例をピックアップしてご紹介させていただきます。

まず、「目標2:飢餓をゼロに」に関する取り組みです。我々は、農場等に様々なセンサーを設置して、気温や水分量といったデータを一元的に測り、より効率的な農業経営ができる食・農のクラウドサービス「Akisai」を提供しております。こうした「スマート農業」のシステムを活用いただくことで、将来的な食糧問題、飢餓問題といった課題を効率的に解決できると考えています。

ー農業分野にもICTを活用されていると。

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花房さん:2つ目は、医療です。SDGsで言うと、「目標3:すべての人に健康と福祉を」に当たります。富士通はもともと、医療分野に長年の歴史があり、電子カルテのシステムや、病院間の情報をつなぐネットワーク等を提供させていただいてきました。最近では、スーパーコンピューターやAIを活用し、大学さんや製薬会社さんとの共同研究で、薬の開発にも取り組んでいます。

そして3つ目、「目標8:働きがいも経済成長も」についての活動では、ICTを活用して、ワークスタイルの変革を促進しています。最近話題の「働き方改革」にも関連しますが、コミュニケーション基盤を整備することで、たとえば、小さなお子さんを持つ親御さんや、ご家族の介護が必要な方でも、在宅で効率よく働けるような仕組みを提供しています。

さらに、聴覚障がい者を含むダイバーシティ・コミュニケーションも支援しております。喋った言葉をより高精度に文字変換することで、コミュニケーションを円滑にできるように、という音声認識の技術を使ったサービスです。

ーなるほど。働き方改革の中でも、さらにダイバーシティ関連にもICTが活用されているわけですね。

花房さん:4つ目、「目標9:産業と技術革新の基盤をつくろう」にまつわるところでは、ものづくりの分野でデジタル化を促すサービスもあります。

たとえば、工場の稼働状況やエネルギーの使用状況といった情報をリアルタイムで可視化できるような仕組みを作るとともに、様々な分析を行うことで、より高効率な生産が可能になる「スマート製造」のための技術も開発しています。最後に、「目標11:住み続けられるまちづくりを」に対しては、防災システムや渋滞予測等のシステムも提供しております。

ー多くのお取組みの中で代表的な5つのお話かと思いますが、非常に多様ジャンルでSDGsの活動にも取り組んでおられるんですね。

花房さん:はい。ここまでにご紹介した5つの目標に関連した事例は、SDGsの発足前から我々がビジネスを通して継続して行なっているサービスです。2015年以降に改めて、SDGsのターゲットと照らし合わせて、我々の活動がどのように社会で求められているSDGsと結びついているのかを理解することができました。