【キャリ甲子園2018】10年後を想像し、未来の電気自動車をつかった革命的なエネルギーサービスを提案せよ。

電力会社である東京電力が選んだテーマは、10年後の電気自動車(EV)の在り様です。電気を作り、届けていく会社が、なぜ電気自動車に着目したのか? 実はエネルギー業界の常識を覆す革新が電気自動車には秘められているそうです。詳しい理由を佐藤さんに伺ってみました。

お話をしてくれた方 佐藤 潤子さん
渉外・広報ユニット広報室 室長代理
profile_jal1994年入社。筑波大学理工学群社会工学類卒。大学時代は都市計画を学んでいた。東京電力入社後はお客さま対応業務を担当。子どもの大学進学と合わせてグロービス経営大学院大学に入学し、経営学修士号(MBA)を取得。現在は広報のほか労務人事業務も手掛けている。ご夫婦でヨガやバスツアーに出かけるのが休日の楽しみだという。

電気自動車が移動式電池となる時代がやってくる!?

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―― 今回のテーマを選定した理由を教えてください。

佐藤さん:明治時代に日本に初めて白熱電灯が灯ってから最近まで、電力関連の技術の枠組みに大きな質的変化はありませんでした。電力会社は、多様な発電方法を通して安定供給を実現し、高品質で提供し続けることで、日本経済の発展を支えることを大きな目的としてきました。

無論、これからも安定供給や品質維持は重要なテーマとなるでしょう。しかし、電力の小売り自由化、電源の分散化、脱炭素化、デジタル化、日本の人口減少といった新たな課題や変化が生まれていく今、エネルギー業界は大きな変革期を迎えており、昔ながらのビジネススタイルでは通用しなくなってきています。

そうした中では今後、電力業界の垣根を超えたところに変化の鍵があると考えています。とりわけ「電気自動車(EV)」が重要な役割を担うと思い、キャリア甲子園でも電気自動車の未来をテーマにすることにしました。分かりやすいように電気自動車としていますが、自動車限定ではなく、バイクやバスや船舶、ドローンなども含めた「未来の乗り物」と考えていただいて構いません。

―― なぜ電力会社が電気自動車を選んだのでしょうか?

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佐藤さん:それにはまず、『Utility(ユーティリティ)3.0』という概念について考えていくとわかりやすいでしょう。Utilityとは、電気や水道、ガス、といった公益事業のことで、業界の枠を超えて社会インフラ事業を総合的に提供することを私たちはUtility3.0と呼んでいます。ちなみに大手企業がエネルギーを安定供給する昔ながらの状態は『Utility1.0』、電力の自由化や送電分離などが実現した状態は『Utility2.0』です。送配電事業が完全に分離されることになる2020年には2.0の時代に突入します。

既にガス会社が電力を売ったり、東京電力がガスの販売を手掛けたりなど、2.0時代の自由化の波もきています。しかし、2.0の世界は、あくまでもエネルギー会社間での競い合いとなります。3.0となれば業界の垣根は取り払われていくことになり、エネルギーとは異なる業界の製品やサービスが重要な意味を持ってくるようになるのです。その一つが電気自動車なのです。

今までは発電と言えば、大型発電所で電気を作り、送電線や配電線を経て家庭に届くという流れでしたが、電気自動車ならば蓄えた電気を好きな場所に自由に持っていくことができる“移動式電池”として機能することが可能です。現在はリチウムイオン電池の容量に限界があるものの、技術革新によって大きな可能性が広がることでしょう。

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電気自動車が社会生活を変えていく可能性がある。

―― 電気自動車はどのように生活を変えていくのでしょうか?

佐藤さん:移動式電池という観点でいえば、家という概念さえ変わってしまって、現在の私たちには想像もつかないような形態になっていくかもしれません。太陽光パネルを搭載した自動車ならば、小さな移動型発電所のような役割を担い、同じ人が電気の生産者であり消費者でもあるという状況が加速していくはずです。

1台1台の容量や発電量は小さいかもしれませんが、複数の電気自動車を集めれば大きな電力となりますから、可能性は大きく広がります。電気に関しても「電気代を払う」という概念がなくなり、電気を使った「サービスを買う」という方向にシフトするような未来も想定しています。すでに都心部でカーシェアリングサービスが導入されているように、「車を買う」から、車を使用する「サービスを買う」と概念が変化していくイメージです。

他にも電気自動車の技術革新にあわせて、既に設置が進んでいる急速充電機などは一層の高速化、大型化が進んでいくでしょう。車の運転にしてもハンドルが消え、ゲームのコントローラーのような形になるかもしれませんし、自動運転が進めばタッチパネルを押すだけで何も操作せずに目的地に到着できるようになるでしょう。既に当社は福島第一原子力発電所の敷地内で、日本で初めて自動運転電気バスを実用化しましたが、そんな乗り物が増えていくことになるかもしれません。

―― 東京電力は今、どのような方針で事業に取り組んでいらっしゃいますか?

佐藤さん:7年半前の福島第一原子力発電所の事故により、東京電力は社会のみなさまに多大なご迷惑をかけてしまいました。社員一人ひとりが生まれ変わらなくてはならないとの思いを強くしています。

昨年、社長が交代したことをきっかけに、新経営方針「ひらく」「つくる」「やり遂げる」を打ち出しました。これに伴い、次のような5つの宣言――「主体性を持って、福島事業をやり遂げる」「組織をひらき、信頼をつくる」「自分の力で事業を切りひらく」「エネルギーの未来をつくる」「稼ぐ力をつくる」を掲げ、福島への責任と電気事業者として使命を果たすことをお約束しています。

私たちの強みは、発電・送配電・小売というエネルギーの一連の流れを保有していることであり、お客さまに近い場所で新しいサービスを生み出し、世界で通用するUtility企業を目指していきます。

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―― 社会の変化に対して、東京電力はどのように対応しているのでしょうか?

佐藤さん:電力自由化が進み、2011年以降は再生可能エネルギー事業者なども増えてきたことから、現在、全国には電気を販売する会社だけで507社が存在しています(2018.9.20現在)。新たなエネルギー業界の競争に勝ち抜くために、2016年には同業他社に先駆けて、発電・送配電・小売の事業部門を分社化したホールディングス体制に移行しました。

また、グループ会社全体で取り組んでいるカイゼン活動は、生産性や安全品質の向上をもたらし、働き方改革にも成果が出はじめています。国内に限らず、海外でもベンチャー企業を次々と立ち上げ、新技術やサービスを生み出そうとしています。振り返れば、創業当初の東京電力は、海外で作られたばかりの白熱電球を輸入し、人々の生活を支えようとしてきたベンチャー企業でした。そのチャレンジャー精神が今なお、根付いているのは間違いありません。

若い世代が求める未来をデザインするきっかけに。

―― 再生可能エネルギーに関するお考えをお聞かせください。

佐藤さん:水力発電事業は十分なノウハウがありますし、メガソーラーを運営したり、洋上風力発電の実証実験を行うなど、当社は再生可能エネルギーの主力電源化に向けて取り組んでいます。日本の場合は、欧米に比べて地震・台風・雷などの自然災害が多く発生するため、それらに負けない技術開発が必要になってきますね。

すでに太陽光発電は、発電量がコントロールしにくい面はあるものの、電力供給を支えるための重要な役目を担っています。先日の災害時にも非常時電源として各家庭での太陽光発電が活躍したと聞いています。

太陽光発電パネルの普及により、わずか数年で電力供給の状況は変化しました。数年前までは一日の電力供給のピークは昼間でしたが、ここ数年は日没時がピークになることもあります。今後の10年間でもさらなる変化が訪れるでしょう。予想もつかない変化を前に、東京電力一社のみならず、日本全体の問題として、今回のテーマについてみなさんと考えていくことができれば嬉しいです。

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―― 高校生に対する期待感を教えてください。

佐藤さん:電気は当たり前の存在すぎて、日ごろ意識することはほとんどないでしょう。しかし、高校生のみなさんが毎日使っているスマートフォンも電気なしには動きませんし、TVや冷蔵庫など家電を使うのにも電気が必要です。電気が発電所からどのように流れて、どうやって今、手元にきているのか。毎日の何気ない生活シーンの一つ一つで電気がどのように使われているのか考えることからスタートしてみてください。

そして、「将来、こんなサービスがあったらいいな」をイメージしてみてください。Utility3.0のような新しい世界は、デジタルネイティブ世代の若いみなさんがどういう世の中を求めるかによって、その形が変わっていくはずです。未来の世界を自由にデザインしてほしい。キャリア甲子園がそのきっかけとなれば素晴らしいですね。

―― 最後に参加者へメッセージをお願いします。

佐藤さん:今回、東京電力は初めてキャリア甲子園に参加させていただきます。他社が魅力的なテーマを提供している中で、私たちを選んでいただけるか、ドキドキしていますが、一人でも多くのみなさんにエントリーしていただき、エネルギーの未来を一緒に考えていきたいと思っています。

エネルギーを知れば知るほど、ワクワクする未来が待っています。ちなみにUtility3.0が実現すると考えられる2050年ですと、高校生のみなさんは50歳を迎える頃となります。あまりにも遠いので、ちょうど働き盛りの30歳頃となる10年後という期間に設定し、テーマをより身近に感じてもらえたらと考えています。

みなさんのアイディアで、エネルギービジネスに革新をもたらしてください。社会課題解決型のビジネスプランに取り組む最高の機会になることを願っています。チームみんなで力を合わせ、思いっきり楽しんでください。ご参加をお待ちしています。

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