モチベーションの維持と自分との向き合い方

何かを始める時、どうしてもやる気が出なかったり、気が進まなかったりするときがありませんか。特に仕事や勉強などやらなくてはならないものに取り掛かるとき、取り掛かるまでに時間が掛かってしまったり、途中で飽きて違うことを始めてしまったりということはよくあることです。

モチベーションを常に高く保つことは難しいことですが、逆にいえばやる気をコントロールできれば積極的に物事に取り組めるようになります。
モチベーションの維持はどうしたら良いのか、どうすればそれをコントロールできるのか見て見ましょう。

モチベーションとは

モチベーションとは、大辞林によると

① 動機づけ
② 物事を行うための、動機や意欲になるもの。刺激。熱意。(消費者の購買動機や、スポーツ選手の意欲などに用いられることが多い)

となっています。何か行動を起こそうというときにそのきっかけとなる興味や刺激の向く先を表しています。基本的にはポジティブな意欲からモチベーションは発生しますが、ときには人を陥れることに楽しみを感じ、モチベーションになっているなど、興味の方向が一般的な道徳と違っておりネガティブな意欲から生まれるものもあります。
このように元となる動機によって、ポジティブ・モチベーションとネガティブ・モチベーションの2種類に分けられます。

引用: コトバンク

ポジティブ・モチベーション

スポーツで優勝したい、試験で良い成績を取りたい、会社で営業成績を上げたいなどやり遂げた後に得られる報酬を思い描き、動機となるのがポジティブ・モチベーションです。
こうなりたい自分、理想像などを常に追い続ける際に生まれるモチベーションです。

ネガティブ・モチベーション

逆に、スポーツで練習しないとレギュラーから外される、勉強しないと赤点をとってしまう、ノルマを達成しないと給料が下がるなど、やらないと自分の評価が落ちてしまうので、それを避けるという動機づけをするのがネガティブ・モチベーションです。
ネガティブ・モチベーションは起こるであろう悪いことが簡単に想像できるので、強い動機づけになります。

モチベーションの構成要素

モチベーションは物事を進め、達成に至るまで必要になる重要な心理的エネルギーです。行動を起こそうというときに最後までモチベーションを維持するのは難しいことです。ではどのように考えることができれば、前に進むためのエネルギーを生み出すことができるのでしょうか。
モチベーションは「誘因」と「動因」の2つによって構成されています。この2つを理解し繋げることで、モチベーションが上がるのです。

誘因とは

誘因とは人の外側、外界にある、欲しいという気持ちを満たす「もの」や「こと」を意味します。別な言葉で表せば、目標や目的といったものになります。
ビジネスに置き換えて考えると、目標達成のインセンティブや昇級、昇格、評価獲得などの目標が誘因になります。日常でも、ご飯を食べるとき美味しいものを準備しようということもモチベーションを形成する誘因です。

動因とは

動因とは人の心の中、内側にある欲しいという気持ちのことをさします。心から生まれるものなので、欲求や願望に置き換えることができます。
こちらは、インセンティブを得たい、地位を得たい、昇格したいと言った欲求や願望が動因になります。
そして、目標の大学へ合格(誘因)+将来良い給料をもらえるような会社に入りたい(動因)=勉強を頑張る、のように誘因と動因は両方が揃うと強いモチベーションになります。

モチベーション・動機のメカニズム

人が行動を起こすモチベーションや動機には様々なものがあります。H.Aマレーが提唱している社会的動機や、マズローによる欲求階層説、ハーズバーグの二要因理論などの説があります。
これらを学ぶことで、自分のモチベーション・動機とはどういったものか、どういうものが自分のモチベーションになるのかを知ることができます。

H.A.マレー 社会的動機

アメリカの心理学者であるマレーは欲求―圧力という動機付けの過程によって一時的欲求である生存に不可欠な生理的欲求と二次的欲求の社旗生活を営なむ上で必要な社会的動機の2つに人間の行動を分類しています。

社会的動機

マレーは社会的動機をさらに二次的欲求の社会的動機を16種類に分類しています。
分類の中には、楽しさを求める遊戯動機や高い目標をやり遂げる達成動機などポジティブな動機もありますが、逆に人の言いなりになりたい服従動機や自分を責め、避難や罰を受け入れ敗北を認めたい屈辱動機などネガティブなものもあります。
動機は人それぞれで、何を達成したいのか動機となる目的や目標を見定めてモチベーションに繋げる必要があります。

マズローの欲求階層説

同じくアメリカの心理学者であるアブラハム・ハドロ・マズローは「人間の動機付けに関する理論」で欲求5段階説を発表しました。マズローは欲求を5階層に分類し、どの階層の欲求に属しているかでその人の健康度を図ろうとしています。

欲求5段階説

マズローの分類した欲求・動機は、土台となるはじめの欲求は生命を繋げるための生理的欲求、次に欲求は自身の安全を守りたいという安全の欲求、3番目は他者と関わりたい、集団に属したいという所属と愛の欲求、そして、自分自身を認めたい、他者から価値を見出されたいという承認欲求そして、最後に能力を発揮して創造的な活動をしたいという自己実現の欲求です。
そして、生理的欲求が満たされると、次に安全の欲求が現れるとし、山を登るように承認欲求までの欠乏欲求から最後は自己実現の成長欲求に到達すると説いています。
自分がどの段階の欲求を満たそうとしているかで次に現れてくる欲求・動機がわかります。

ハーズバーグの二要因理論

3つ目は仕事における満足と不満を引き起こす要因をといたアメリカの臨床心理学者フレデリック・ハーズバーグが提唱した二要因理論です。2つの要因とは、動機付け要因と衛生要因であるとハーズバーグは語っています。

動機付け要因

達成することや承認されること、責任などは仕事の満足に深く関わります。これらが満たされることで、満足感を覚えますが、もし欠けていても仕事に不満を持つわけではないとしています。これはマズローの欲求5段階説に照らすと頂上の自己実現・成長欲求に該当するため、最後に現れてくる欲求なのです。
心理的に成長しようとする人間的欲求、ポジティブな欲求なので、不満を持つことはないとしています。

衛生要因

そして不満を持つ要因としては、会社の方針や管理の方法、給料、仕事場での人間関係、作業環境・条件などをあげています。これらが満たされないと仕事に不満を持ちますが、満たされたとしても当たり前のこととして、満足を得ることはないとしています。
これらはマズローの欲求段階説の自分の命を守る生理的欲求と次の安全の欲求の段階にあたり、苦痛を避けようとする本能的欲求とされるからです。

自分はどっち?目的志向タイプと問題回避タイプ

モチベーションはいろいろな動機から生まれます。そして、モチベーションを維持するための動機は人によって2タイプに分けられます。目的を達成することにやる気を発揮するタイプと問題を回避することにやる気を発揮するタイプです。
自分が行動する動機と向き合うことで、自分のタイプを理解してモチベーションをコントロールすることができるようになります。

目的志向タイプ

目的志向タイプは自分の目標や目的、こうなりたい自分に意識を集中するタイプです。達成したい目標があるとやる気が起こり、ゴールに向かって進んで行くことで、自分を鼓舞しモチベーションが高まるタイプです。
はじめに紹介したポジティブ・モチベーションが動機となる人はこの目的志向タイプになります。
これがしたい、行きたい、食べないなど自分の欲求に素直な人とも言えます。

問題回避タイプ

問題回避タイプは避けたい問題や解決しなければいけない問題が自分の行動の動機となるタイプです。目の前の問題に対処することを動機としており、仕事や勉強などやらなければならいことが増えれば増えるほどモチベーションが高まるタイプです。
ネガティブ・モチベーションに分類されますが、起こる可能性のある問題を先読みできるということで、例えば雨が降るかもしれないから傘を持って行こう、人通りが多い交差点で突然人が飛び出してくるかもしれないから車をゆっくり走らせようなど、慎重な行動を取ることができるタイプと言えます。

自分の性格を知ることがポイント

モチベーション、行動を起こす動機は人それぞれです。やる気が出ないとき、自分を奮い立たせることができるようになるため、行動の動機と向き合い、モチベーションのタイプを理解し、環境を整えて行動に移すことが重要です。
モチベーションを維持すること、それは自分と向き合い、自分の考え方を理解して行動することが重要です。モチベーションをコントロールすることで、生活をさらに充実させることができるようになるでしょう。

参考:
『社会心理学へのアプローチ』 村井 健祐 (著)、 田之内 厚三(著)、土屋 明夫(著) 北樹文庫 2000年

ハーズバーグの研究方法に関する一考察 : 実効性の高いやる気のマネジメントの実現に向けて 名古屋大学 北垣武文 (著) ‎ オイコノミカ 2012年

マズローの基本的欲求の階層図への原典からの新解釈 – 聖路加国際大学紀要
廣瀬 清人(著)、菱沼 典子(著)、印東 桂子(著) 聖路加看護大学 

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