レミニセンス効果を理解して効率良い記憶法をマスター

物事を記憶にとどめる暗記は勉強や仕事、普段の生活で常に必要とされます。勉強では多くのことを暗記してそれをアウトプットし課題を解くことに使います。例えば、英語であれば英単語や文法など、歴史であれば偉人の名前や歴史上の出来事や時系列、数学では公式など全ての科目で暗記は必要になります。
仕事においては業務内容のみならず、今まで起こった顧客満足度を高めることができた事例やリスク回避の事例、お客様との雑談で時事の話題を提供するなど暗記は常に生活に必要となります。
人によって得意不得意もある暗記ですが、「レミニセンス効果」を理解し、記憶のメカニズムを知ることで効率的に記憶にとどめ、より生活を豊かにしましょう。

レミニセンス効果とは

一生懸命一夜漬けをしたのに肝心のテストになると覚えたはずの情報が出てこず、数日後にテストが返されたときはまた簡単に思い出せた、といった経験はありませんか。
実は物事を記憶にとどめる暗記を効率的にするためには、時間を置いて記憶を脳に定着させる必要があります。脳はインプットされた情報を自分が生き残るために必要なものかどうか選別し、不要な情報は抹消、必要なものは長期記憶に書き換え脳に保存します。このプロセスに時間がかかるため、覚えた情報は取り入れた直後よりも少し時間が経ってからの方が思い出しやすくなります。

例えば、暗記をした後に短時間休憩をとったり、もしくは1日ほど時間を置いて同じ暗記を繰り返したりということが必要になります。この脳に記憶として情報を取り込む際に起こる状態を「レミニセンス効果」と言います。

レミニセンス効果は2つに分けられる

レミニセンス効果には定着させる情報の種類とそれに要する時間によって「ワード・ホブランド効果」と「バラード・ウィリアムズ効果」の2つに分けられます。2つの効果には特徴があり、それぞれの特性を理解することで自分にとって効率の良い記憶の定着・暗記ができるようになります。

ワード・ホブランド効果

1つ目の「ワード・ホブランド効果」は、意味を持たない内容の記憶(無意味綴り)について記憶の定着のために起こる効果を指します。ワード・ホブランド効果は情報をインプットして10分以内に起こることが特徴です。

ワード・ホブランド効果の特徴

意味を持たない単語に対しておこるワード・ホブランド効果は、英単語の記憶や年号の暗記などの単純な暗記に活用することができます。記憶を定着させるためには集中力を継続して発揮するために、小まめな休憩を挟んでその間にワード・ホブランド効果で記憶が定着することを利用しましょう。

バラード・ウィリアムズ効果

もう一つのレミニセンス「バラード・ウィリアムズ効果」は意味を持った内容の記憶について起こります。こちらの特徴はワード・ホブランド効果と違って情報が詰まった記憶の定着が起こるため、記憶するまで時間がかかるということです。

バラード・ウィリアムズの特徴

ワード・ホブランド効果は意味を持たない単語の羅列に対する記憶の定着であるのに対して、バラード・ウィリアムズ効果は意味を持つ文章や記事などストーリーを持っている情報の記憶に向いています。しかし、そこに含まれている情報を処理することに時間が必要となるため、数日の期間が必要となります。
多くの情報が含まれた長文、例えば論文の一部の記憶や本の一節の記憶などに効果を発揮します。バラード・ウィリアムズ効果で暗記をする場合、時間を置いて繰り返し脳に情報を送り込む必要がありますので、必要な暗記の場合は時間的に余裕を持つようにしましょう。

記憶の定着のメカニズム

記憶には脳が記憶を保持しておける期間から「短期的記憶」と「長期的記憶」の2つに大別されます。
短期的記憶は瞬間的な記憶としてすぐ忘れてしまう記憶のことを指します。そして、長期的記憶は脳に記憶された後は忘れることがない記憶を指します。短期的記憶と長期的記憶について知ることで記憶のメカニズムについて知り、上手に暗記に役立てられるようになります。

短期的記憶

短期的記憶は走り書きのメモを取るように記憶に書き込まれ、必要がなくなれば忘れてしまう記憶のことです。例えば、調べた電話番号に電話をかけた後はその電話番号自体は不要になるので忘れてしまいます。
短期的記憶の保持期間は20秒程度とされており、憶えていられる項目は一般的に7つ前後で記憶できる量も限られています。短期的記憶はその時限りで忘れてしまう記憶ですが、覚えたいことを反復することで長期記憶にすることができます。

長期的記憶

一方、長期的記憶は脳に刻まれて長く残る記憶を指します。子供の頃の夏休みの思い出など詳細の記憶は薄れてしまっても完全に忘れてしまうことは少ないのではないでしょうか。また、自転車の乗り方は1年や2年乗らなかったからといって忘れることはないです。こういった記憶は長期的記憶として保存されています。

長期的記憶はその特性により、「陳述記憶」と「手続き記憶」に分けられます。
陳述記憶とは学校の学園祭の思い出を話したり、自分の失敗談を冗談を交えて話すことのように言語化できる知識や体験を意味しています。もう一つの手続き記憶は泳ぎ方やスポーツをする際の体の動かし方など体で覚える技能を指します。

例えばテニスを始めた場合、初めはボールを打ち返そうとしてもラケットのスイートスポットに当てることができずフレーム当たってしまったりしてあらぬ方向にボールが飛んでしまうことがあります。しかし、練習をする中で上手くボールを相手に返すには、ポジション取りはどうすれば良いか、どのくらい前からラケットを引いてどこから打つ動作に入り、スイングのどこで力を入れてラケットのスイートスポットに当てて、打ち返したあとは次のボールに備えるためにコートのどこの場所に移動したら良いかなど練習の積み重ねで経験を重ねていき、テニスが上達します。これはトライアンドエラーの短期的記憶を繰り返してより良い結果が生じた場合、いつでもその結果を発揮できるよう反復練習をして長期的記憶にすることによって忘れにくい手続き記憶にしているということです。

睡眠と記憶の関係

睡眠と記憶には深い関係があると言われています。眠ることによって脳は1日の記憶を整理し、必要な記憶を長期記憶に保存するとされています。
長期的記憶のうち、体で覚える手続き記憶については技能を身につけるために繰り返し練習することで太い神経ネットワークが形成されますが、同時に丈夫な木に絡まる蔦のように細くて複雑な神経ネットワークも形成されます。この細かい神経ネットワークは技能を発揮する際のノイズになるのですが、眠ることで不要な細かい神経ネットワークを切除して太い神経ネットワークだけを残し、記憶の定着を促す効果があると言われています。睡眠と記憶は切り離せない関係なのです。

一夜漬けは効果的?

大部分の人は今まで少なくとも一度くらいはテストなど大量の暗記をしなければならないときに一夜漬けをした経験があると思います。では、一夜漬けは良いテスト結果に繋がるのでしょうか。

情報が多く含まれる物事を長期的記憶にする場合、ある程度時間をおいて反復して時間をかけて脳に記憶を定着させことが効率がよい方法になるのは、レミニセンスのバラード・ウィリアムズ効果からも連想できます。そう考えると、ある程度暗記をして睡眠をとり、ベストに近い状態で成果発表に挑むことがより良い結果につながると考えられます。普段から記憶の定着ができていれば、一夜漬けは脳が普段のパフォーマンスを発揮できず集中力の低下を招くなどデメリットが多くなります

しかし、普段から記憶の定着のために反復をしていない場合は、一夜漬けで集中的に脳にインプットすることにより、短期的記憶になってしまう可能性が高いですが、寝てしまうよりは時間を有効に使えます。
一夜漬けをしなければならない状況を作らないよう、普段から期日までの時間を逆算して余裕をもって繰り返し記憶することが重要になります。

記憶したいことを理解・カテゴライズして暗記に活用

レミニセンス効果を理解すると暗記したいことをカテゴライズしてより効率的な長期的記憶にすることができます。

覚えたいことのうち、意味を持たない文字の羅列などは10分ほどの短時間で記憶に残るワード・ホブランド効果を利用して短時間の休憩をはさみながら記憶します。一方、文章を丸暗記しなければならないような場合はストーリーとして記憶する必要があるため、数日間繰り返して記憶を定着させるバラード・ウィリアムズ効果を利用するなど、それぞれの特徴をとらえてどのように記憶すれば良いのか手法を考えてみましょう。

そして、単純なことですが、物事を記憶するためにはすぐ忘れてしまう短期的記憶を繰り返すことにより、保存期間の長い長期的記憶にする必要があります。忘れることを阻止するために脳に深く刻み込む必要があるのです。記憶のメカニズムを理解することによってより効果的に記憶を定着させられるようになれば、勉強も仕事もさらに効率的に行えるようになるのではないでしょうか。

■参考
植草学園大学研究紀要  第7巻 25 ~ 35頁(2015)「レミニセンスと学習効果
― 小学生用英語学習プログラムの結果からの考察 ―」安藤 則夫、長谷川修治 植草学園大学発達教育学部

日経スタイル 「日経Gooday 30+ 「記憶は睡眠で定着する」はウソ?ホント?」

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