<10.14 政策アイデアソン開催‼>一斉取材!国家公務員による政策の立案と分析について聞いてみた!

こんにちは、学生スタッフの海東です。
皆さんは国家公務員の方々がどんなお仕事をしていて、どのように政策を作っているか、知っていますか?
今回は4省庁の方々にお集まりいただき、普段は聞けない国家公務員の業務内容ややりがい、またどのように政策を作り、評価するのか聞いてきました!
日本の未来を想像し、創造していく姿が印象的なインタビューとなりました。

データの活用方法や政策立案のポイントなど「政策アイデアソン」のヒントも盛りだくさんです!

登場人物紹介

若林さん文部科学省大臣官房政策課
これまで初等中等教育・高等教育・大臣官房をほぼ3分の1ずつ経験。
現在は省全体の政策評価、政策立案の支援を行なっている。

牧さん特許庁審査第一部アミューズメント
光ファイバー、プリンター、スポーツのほか、現在はパチスロと、様々な分野の特許審査を担当する傍ら、国際協力機構(JICA)、経済産業省、特許庁企画調査課に出向・併任。今年3月末までの直近2年間は近畿経済産業局知的財産室(大阪)に出向し、地域中小企業の知的財産支援を担当。

十二さん農林水産省大臣官房政策課
入省以来、米政策、食品安全、林業、水産業など様々な部署で仕事を行ってきた。また、市町村への出向も経験。

八木さん内閣官房行政改革推進本部事務局
今年度より行革事務局へ異動となりEBPM(証拠に基づく政策立案)の推進に取り組む。

海東インタビュアー
東京理科大学大学院 修士2年生

統計データも現場の声も大切に

海東

本日は宜しくお願いします!一人目は文部科学省の若林さんです。早速ですが、これまで経験してきた業務を教えてください!

若林さん

文部科学省では、これまで初等中等教育・高等教育・大臣官房をほぼ3分の1ずつ経験しており、入省4年目には宮崎県の小学校で一年間教員として勤務しました。
特に印象に残っているのは教員免許の法改正に関わったことです。教員をどう養成し、どういう人に教員免許を与えるかを検討する仕事です。教員として勤務した経験を生かし現場とコミュニケーションを図りながら、学校現場の実態に対応出来る養成段階の制度改革などを行いました。

海東

実際の教育現場の声も非常に大切にしているのですね……! あらゆる仕事を経験してきたとのことですが、現在はどんなお仕事をしているのでしょうか?

若林さん

現在は、文部科学省全体の政策・施策の評価を主に行っています。どうしてその政策・施策が必要なのか、統計データを用いて根拠の見える化を図っています。

海東

政策評価というと、面倒に感じる人も多そう……と思ってしまったのですが、実際のところどうなのしょう?

若林さん

まさにその通りで、現在担当している政策評価は、目の前の業務に追われがちな課室にとっては「やらされ仕事」になりがちな業務です。私も政策立案を行う部署にいた時は評価のためのデータ集めをすることに積極的ではありませんでした。しかし現在の部署に来てから、国民や国会議員に対して同じ説明をするためにも、エビデンスとロジックが重要であることを改めて実感しました。課室にとって前向きになれない仕事をどう積極的に取り組んでもらうかを常に考えています。

海東

政策評価の際に気をつけていることはありますか?

若林さん

政策評価のためにデータ集めをすると言っても教育分野はデータで示すことが難しい分野でもあります。定量的なデータが適しているところ、現場の声を大切にすべきところのバランスをとることで納得のいく政策立案を目指しています。

あらゆる分野に携わる?!特許庁のお仕事

海東

次は特許庁の牧さんです!これまでの経歴を教えてください!

牧さん

光通信部品、インクジェットプリンターのヘッド部分、スポーツ用品、パチスロまで様々な分野の特許審査を行ってきました。特許庁というと特許審査のイメージがあると思いますが、審査業務以外にも、国際協力機構(JICA)へ出向して途上国支援や、大阪にある近畿経済産業局知的財産室で中小企業の知的財産の支援も経験しました。

海東

パチスロも!? 特許はあらゆる分野に関わっているのですね! さて、JICAでは何をしていたのでしょうか?

牧さん

特許をはじめとする知的財産制度は国ごとにルールが違うと企業のグローバル展開に支障が生じるため、できる限り国際調和を図ることが必要です。JICA出向時には特許をはじめとする知的財産制度があまり整っていない途上国に対し、日本特許庁からの人材派遣などを通じて知的財産制度の普及啓発や各国特許庁の書類手続きの電子化などの審査インフラの整備や審査ノウハウの提供などを支援するプロジェクトを主に担当していました。

海東

あらゆる業務を行ってきた中で特許庁でのやりがいを感じた瞬間を教えてください!

牧さん

直近の話でいえば、近畿経済産業局知的財産室に出向していた際の話ですが、今まで特許を出したことのない地域の中小企業を訪問して、制度活用のアドバイスを行う営業活動みたいなこともしていました。
アドバイスをした幾つかの企業から「自社の技術を特許出願して権利が取れて、その技術の優位性が外部に認められて新たな分野への進出が決まった」という電話をもらった時は嬉しく思いました。電話をいただいたのは特許庁に戻ってきてからで、わざわざ近畿局経由で私の現在の部署の連絡先を問い合わせてくださってまでお電話くださいました。
自分のした仕事が他人に感謝されることほど、やりがいを感じることはありません。また、審査業務では、私が審査を担当した技術が数年後に製品化して店頭に並んでいるのを見かける時にも、企業のビジネス活動に役に立っていることを実感します。特許庁の仕事は目に見えないアイデアを権利として設定する仕事ということで少しイメージしにくい仕事かもしれませんが、「アイデアを守り・活かすお手伝い」という業務を通じて社会に貢献できることに、大きなやりがいを感じます。

農業の未来、日本の未来を考える

海東

次は農林水産省の十二さん。これまで行ってきた業務を教えてください!

十二さん

米政策や食品安全から地域振興まで幅広い業務に携わってきました。また、町役場に出向して、生産現場で政策を実行に移すという経験もしました。今回のテーマであるデータに基づく政策立案は、農林水産行政でも大切な視点なのです。
一例を挙げると、食品安全に関して、家畜に投与する薬など、生産に関する資材の基準を定める業務に携わっていましたが、基準作りのベースは科学的なデータです。各分野の専門家が協力しながら最終的には法令としてルールを定めていきます。

海東

データの活用を積極的に行っているのですね! 現在はどんな業務を行っているのでしょうか?

十二さん

私の所属する大臣官房政策課は、省内の総合調整を行うことが主な仕事ですが、業務の範囲は既存の施策にとどまりません。新しい施策の方向性を提案し省内外に発信していくことも行っています。例えば、最近では最先端技術で生産性の高い栽培を行うスマート農業が日本の農業の将来像の1つになるよう発信もしています。

海東

日本の農業もどんどん進化しているのですね。十二さんは仕事をする際に心がけていることはありますか?

十二さん

農林水産省だけではありませんが、国家公務員の仕事は、地域、日本全国、はたまた国際的な規模のものですし、経済・社会・科学技術の動向は常に変化しています。視野を広く、アンテナを高く持つ姿勢が必要だと思います。日頃は、農林水産業以外の分野の情報にも意識的に触れながら、農業の未来、日本の未来を考えるよう心がけています。

証拠に基づく政策立案、EBPMって……?

海東

3名の方の話を聞く中で、政策の立案、評価の際にデータの活用がされていると感じました。その背景には行政改革事務局でのEBPMの推進の活動があると伺ったのですが、具体的にどのような取り組みなのかご紹介いただけますでしょうか?

八木さん

EBPMとはEvidence-Based Policy Makingの略で、政府文書では「証拠に基づく政策立案」という訳語を当てています。反対語はエピソードベースでの政策立案です。例えば、ある町でゴミ捨て場への不法投棄が問題となっているとします。不法投棄が少ない隣町のゴミ捨て場には人に反応するライトが設置してあるらしい。では、わが町にもライトを設置しよう!とエピソードベースになるのではなく、本当にライトと不法投棄抑止に因果関係があるのか、他の要因があるのではないか、などとロジカルに検討することがEBPMの考え方の一つです。

海東

わかりやすい説明をありがとうございます。EBPM推進のために、具体的に何を行っているのでしょうか?

八木さん

まずはEBPMを用いた政策の「実例創出」を促しています。行政としても新しい取組なので、まずは実績を積み上げていくことが必要です。他にも、各府省の職員向けの勉強会の開催や、EBPMで政策立案を行うための着眼点を整理したヒント集の作成なども行っています。

海東

今までどんな実例があるのでしょうか?

八木さん

まだ実践例は少ないのですが、例えば、行政事業レビューの取組の中で、文部科学省の研究大学強化促進事業について、研究戦略や知財管理などを担う研究マネジメント人材の導入が、具体的にどのように大学の研究力強化に寄与するのか、その効果測定などについてロジカルな検証に取り組まれています。

海東

EBPMが各省庁で浸透してきた実感はありますか?

八木さん

はい。徐々にではありますが、EBPMの考え方が浸透してきたと思います。今年度から各省庁にEBPMの責任者たる幹部職員(政策立案総括審議官等)が設置され、体制も整ってきました。EBPMを広く日常業務の中に溶け込ませていき、当たり前のものとして浸透させていきたいですね。

学生へのメッセージ

海東

最後に、学生へのメッセージをお願いします!

若林さん

手元にある材料、データで何が一番重要か考えて上手く説明するのは社会人になっても求められる能力です。さらに行政官の人と話しながら進めていくのは貴重な経験になると思います。行政ならではの仕事に触れ、興味を持ってもらえれば幸いです。

牧さん

情報の裏にある本質的な課題を見抜けるかどうかということは、私たち公務に携わる者はもちろん、今後、ビジネススキルとして重要視される能力になってくると思います。
与えられたツールを使って、どのようなデータをどのように抽出して、そこからどのような課題を見つけられるか。課題を定めることができれば、課題解決へのアプローチは自ずと決まってくるはずです。学生の皆さんならではの柔軟な目線でデータを分析し、どのような課題を抽出するのか、審査員としても個人的にも大変楽しみにしています!

十二さん

データや統計からどのような課題があるのかを知るのが第一歩です。その上で課題が解決した未来の姿を想像しつつ、解決策を探りましょう。1つのデータを取っても捉え方は一通りではありません。皆さんの斬新な視点を楽しみにしています!

八木さん

まずは現状把握・課題認識をした上で、どのような未来にしたいのか、ということについて皆さんでよく考えてみてください!
意外にぴったりしたデータというものはないですし、目先のデータに飛びついてしまうことで、せっかくのアイデアがその枠内に制約されてしまうこともあります。のびのびと考えてみた上で、具体化に向け、役に立つデータはないかと探してみるのが良いと思います。

取材後記

国家公務員といっても、正直どんな仕事をしているのかあまりイメージがわきませんでした。今回の取材を通して国家公務員がどんな業務をどんな思いで行っているのかを伺うことができました。4名の方のお話は国家公務員を目指す人はもちろん、そうではない人にとっても有益なお話でした。日本の未来を描く国家公務員の方の姿のかっこよさを改めて感じました。

「政策を考えてみる」そんな機会として政策アイデアソンが開催されます。政策立案に興味をもたれた方はぜひこちらにも参加してみてはいかがですか?

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