【インカレ2018】地域や年齢を問わず、一人でも多く人が、人生100年を生き抜くための資産形成に取り組むようになるにはどうしたらよいか考えよ

日本の金融市場の中心地である東京証券取引所では、新時代に向けて証券会社の枠を超えた斬新な発想を募集しています。百戦錬磨の金融マンから「え?」と反応が返ってくるような常識外の提案も大歓迎。その理由を千田さんに伺ってみました。

お話をしてくれた方 千田 康匡さん
金融リテラシーサポート部
profile_jal2001年に大阪証券取引所へ入所。ETF新商品の開発業務などに携わる。東京証券取引所との統合で東京勤務となってからは上場会社の管理や広報担当を経て、現在は社会人に対する金融知識向上活動に取り組む。小学校時代から国語が得意で大学時代は弁論部で活躍。各団体の作文・論文コンクールで小遣い稼ぎをしていた時代もあった。

「老後難民」を防ぐべく、いいイメージで資産形成を考えられる世の中に。

20160823-_89Q6622

―― 今回のテーマを設定された理由を教えてください。

千田さん:柔軟で束縛を受けない学生の頭脳には、簡単に答えが見つからないテーマがいいだろうと、あえて“人生100年を生き抜くための資産形成”としました。

日本人の平均寿命が延びて、近い将来、人生100歳時代が到来すると考えられています。これが現実のものとなったとすると、65歳定年モデルでも、年金を受給して生活する老後期間が30年以上続くことになります。

昔ならば65歳で定年を迎えた後、15年も生きれば大往生と言われました。しかし、30年という時間が残るのであれば、昔の老後モデルは通用しなくなってしまうでしょう。

―― どのような時代の到来が予測されるのでしょうか?

千田さん:年金受給額は現役時代の給料より少なくなります。老後の30年間、現役世代同様の生活水準を保つには、年金に加えて老後用の資産を切り崩して生活費に充てるといった計画が必要不可欠です。

ところが、長い老後を前提に実際に資産形成を開始している人はごく一部。このままの状況が続けば、将来的に「老後難民」が発生する可能性も否めません。その中で、いかにして資産形成を推進していくか、どうやっていいイメージを持って資産形成をしてくれる人を増やしていくかを、常識に捉われずに考えてほしいですね。

―― 「地域や年齢を問わず」とした言葉が入っていますが、ここに込めた思いはどのようなものでしょうか?

千田さん:少子高齢化が進んでいる日本では、前年比で32万人の人口減がありました。これは地方の県庁所在地クラスの都市の人口が1年で消えてしまったということです。

一方、東京への一極集中が進み首都圏では人口が増加しているというギャップも拡大しています。地方の中核都市でさえ人口が減り、若者が街から消え、ますます高齢者の姿が多くなってきています。

こうした社会情勢を前提に、我々はどういった資産形成をすれば幸せな老後が迎えられるのか、学生の柔軟な発想に問いたいと考えています。とりわけ、人口減少を肌感覚で分かる地方の学生ならば、東京で働く私たちでは考えつかないようなアイディアが生まれるのではないかとも期待しています。

20160823-_89Q6622

金融の視点は全く考慮しないでOK。企業分析もしない方が上手くいくかも!?

―― 参加する学生世代にはどのような印象を持っていますか?

千田さん:今の学生たちはバブル崩壊後の90年代、住専問題による金融機関の連続倒産や、山一證券の破綻などの金融危機が発生した時代に生まれました。

60歳を過ぎれば年金が受けられるという従来のロールモデルが、既に幻想となりつつある中で誕生した世代ともいえます。そういう意味では、まさに学生のみなさんは時代の申し子。オールドエイジである私たちは、過去の栄光や繁栄という鎖に心をつながれて、思い切ったことをする勇気が十分持てません。

今の学生のみなさんは全く知らない世代だからこそ、恐れなく提案することができるのではないでしょうか。

―― 金融にこだわってほしくないともお伺いしました。

千田さん:金融機関に勤める人たちは真面目で、平穏性を重視する社員教育を受けているため、世の中を変えるようなダイナミックなチャレンジが不得意です。柔軟な発想とか直感的に刺さる物事は得意ではありません。今回は金融に縁もゆかりもない人にもテーマを考えてほしいという願いを込めて参加しています。

例えば、カメラや音楽に親しむ芸術学部の方などからの応募も面白いでしょう。「たった1枚の写真で世界を変えて、みんなが資産形成をしたくなるようにする」とか、「3分のショートフィルムで、資産形成を始めるきっかけを作る」といったクリエイティブな切り口でテーマに挑んでもらえると、様々な可能性が生まれていくのだと思います。

「なんだ、これは!」という大胆なアイディアを歓迎します。

―― 金融のことを知らなくても大丈夫ですか?

千田さん:大丈夫です。むしろ金融を知ってしまうと、既存の常識に囚われて斬新ないアイディアが出てこないような気がします。

今から70年前、東京証券取引所はGHQの指導の下で「証券民主化運動」を展開しました。その際は、アメリカ流の映画での宣伝広告やキャッチコピーを多用した大胆な取組みで成功を収めました。何も知らないからこそできることはあると思います。

今の時代ならばSNSやスマートフォン、ゲームを使うのもいいでしょう。効果的に人を振り向かせるために、あらゆる手段を使って考えてみてください。実現可能性の前に、「どうすれば人の気持ちを変えられるか」に重きを置いたコミュニケーションプランを期待したいです。

時代の申し子たちの意見にどう対応するか。企業側も試されている。

20160823-_89Q6622

―― 企業分析をしなくていいとはおっしゃるものの、「東京証券所とは何ぞや」をあまり理解していない学生も多いので、ある程度、概略を教えてください。

千田さん:チケットを販売したり、システムを売ったりするような会社ではないですから、どうやって利益を出しているのかがわからない人は多いのではないでしょうか。

東証の収入は、証券会社が支払う売買・取引手数料が大半を占めています。1207億円の売上高のうち、517億円が売買・取引手数料です。

そのほか、株価を配信することで得られる情報料収入や迅速な取引を支援するサービス料などが主な収入となっています。

―― 証券投資の啓発活動にも尽力しているそうですね。

千田さん:今、東京証券取引所にとって最も大事な仕事の1つが証券投資の啓発活動だと思います。10~15年後の証券市場を見据えて、1人でも多くの方が資産形成を開始していただけるように、資産形成を開始する障壁の除去や効果的な働きかけの方法を追求しています。

例えば、東京証券取引所の見学には毎年7万人近い大学生・高校生などが訪れ、その一部は見学の後に1時間ほどのレクチャーを受けるプログラムを受講しています。また、各地の大学に私どもがお邪魔して、数年後には社会へ巣立つ大学生をメインターゲットに、金融リテラシー教育を行っています。

―― 最後に今回のキャリアインカレへの意気込みをお願いします。

千田さん:キャリアインカレの参加により、従来の企業活動では出会えない大学生のアイディアを見たいと思っています。加えて、それを実際に東京証券取引所の仕事に落とし込んでいくことができれば、さらに素晴らしいと考えています。

学生にとってもチャレンジですが、企業側にとっても同様です。今の時代の申し子というべき若い人の考えをどれだけ理解して、吸い上げられるか。企業側もまた、キャリアインカレを通して試されています。お互いに緊張感をもって臨むことになるでしょうし、どんな提案がなされるのか、今から楽しみにしています。

20160823-_89Q6622

キャリアインカレ2018に関する記事はこちら

PAGE TOP