PwC Japanグループのダイバーシティーへの取り組みとは? UN Womenとの共催の「HeForShe セミナー」に潜入!

みなさん、こんにちは!MFC学生ライターのいしいです。みなさんは、「HeForShe」という言葉をご存知ですか?「HeForShe」とは、UN Women (ジェンダー平等と女性のエンパワーメントのための国連機関)による、ジェンダー平等のための連帯運動です。

「HeForShe」では、女性や少女に対する暴力や差別をなくし、男女平等を実現するために、政府や教育機関、経済界などが連携し、変革の主体となれるよう、体系的なアプローチとそのためのプラットフォームを提供しています。

UN Womenは「HeForShe」を推進する世界の企業リーダー10人を選出していますが、PwCグローバル会長のボブ・モリッツはその一人です。今回は、日本において「HeForShe」を推進しているPwC Japanグループ(*)の取り組みである「HeForShe セミナー」に潜入しました。PwC JapanグループがUN Women日本事務所などと連携して、連帯運動を行っている先進的な取り組みを紹介します。

*PwC Japanグループは、日本におけるPwCグローバルネットワークのメンバーファームおよびそれらの関連会社 (PwCあらた有限責任監査法人およびPwCコンサルティング合同会社を含む)の総称です。各法人は独立して事業を行い、相互に連携をとりながら、監査およびアシュアランス、コンサルティング、ディールアドバイザリー、税務、法務のサービスをクライアントに提供しています。

魅力的な内容が盛りだくさんな「HeForSheセミナー」

「HeForShe セミナー」は、UN Women日本事務所、文京区、PwC Japan グループ、ユニリーバ・ジャパンによる共催にて、2018年3月8日(木)国際女性デーに開催されました。「HeForShe」を通じ、家庭・教育・企業・政治が変わることで人々の意識や行動が変わり、一人一人がジェンダーや年齢、業界や組織、地域などの違いに関係なく、誰もが自分らしくいきいきと生き、働ける未来への道を探ることで、2020年にはジェンダー平等に関する議論の必要がなくなることを目指されています。

この「HeForSheセミナー」では、マインドセットチェンジをテーマに、さまざまな分野で活躍し、注目されている方々が集結しました。イベントは、イントロダクション、基調講演、3つのテーマでの対談、クロージングスピーチという6つの構成となっています。

イントロダクションでは、「HeForSheが作る未来」として「HeForShe」を社会に浸透させる目的や、次世代にも繋げる意義などについてお話されていました。

基調講演では、七大陸最高峰日本人最年少登頂記録保持者である早稲田大学3年生南谷真鈴さんが、「自分の人生は自分で決める」という確固たる意志も持って、夢に向かって挑戦をし続けるためのマインドセットについてお話されていました。

対談は、「Mindset Change – Gender & Age」、「Mindset Change – Gender & Industry」、「Mindset Change – Self」の3つのテーマで行われました。「Mindset Change – Gender & Age」では、PwC コンサルティング合同会社の佐々木亮輔さんがモデレーターをされ、文京区長である成澤廣修さんと株式会社people first 代表取締役の八木洋介さんから、ご自身と周りの環境をどのように変化させてこられたのかについて聞けました。

「Mindset Change – Gender & Industry」では、PwC Japanグループ D&Iリーダーの梅木典子さんがモデレーターをされ、萩大島船団丸/株式会社GHIBLI代表の坪内知佳さん、総務省の脇雅昭さんから、古い慣習や距離を超えて、どのように変化を起こしてこられたのかについて聞けました。

「Mindset Change – Self」では、日米アカデミアの世界で「HeForShe」を推進してこられたドラッカー経営大学院教授のジェレミー・ハンターさんやIMD北東アジア代表の高津尚志さんに、変化を起こす鍵となる自分との向き合い方について聞けました。

今回は、PwC コンサルティング合同会社の佐々木パートナーがモデレーターとして議論されていた「Mindset Change – Gender & Age」の内容にフォーカスしてご紹介します。

変化を嫌うと言われるおじさん世代をどう巻き込むのか

「Mindset Change – Gender & Age」では、PwC コンサルティング合同会社の佐々木さんがモデレーターとして、文京区長である成澤さんや株式会社people first 代表取締役の八木さんに、ご自身はどのようにマインドセットチェンジをし、その経験を社会に浸透されているのかについてお話頂きました。

―――現在、社会はどのように変化しているのか
〇佐々木さん
2020年の労働人口は、現在の若者いわゆるミレニアル世代が過半数を占めると言われており、今後の社会を担うミレニアル世代の価値観に社会全体が注目しなければならない時代になってきています。そのため、これまでの日本社会を背負ってきた我々「おじさん世代」も若者の価値観を意識しなければならないと思います。最近のミレニアル世代の価値観をいくつか挙げると、

・ワークライフバランスを大事にしたい。
・成果を出せば自由という成果主義や実力主義を好む。

という価値観が他の上の世代よりも強く持っていることが特徴的です。
女子学生の大学進学率は大幅に上昇し、現在は、高等教育を受ける女性の比率は、男性よりも高い傾向にあります。女性の就職率も過去にない高さです。しかし、トップに昇進できる自信はあるかという調査を行ったところ、グローバルでは男性71%女性45%なのですが、日本の女性は11%と世界に比べて非常に低いのです。このような状況の中、今の日本社会は何が大きく変わろうとしているのでしょうか。

〇成澤さん
現在は、己の利益を求めていた時代ではなくなってきています。これまで、企業は株主中心で、利益追求を求められてきました。しかし、現在は企業の存在価値は株主のための利益だけのものではなく、その企業に関わる人や社会のための存在意義が求められる時代になりました

このトレンドは、就活生や転職される方にとても影響する要素でもあります。具体例として企業の働き方改革への取り組みを挙げると、働き方改革が自社の成長にとって無意味なものだと捉えている企業がまだ見られます。そのような企業は、自社の成長のために長時間労働を勧め、働き方改革を嫌いますが、それは本末転倒です。

現在の若者たちは、ワークライフバランスを重視する傾向が強いという特徴もあるとお話がありましたが、企業に働きやすい環境がなければ、優秀な人材は寄ってきませんし、他社と比較した際、就職先として選ばれません。働き方改革を推進するという企業の意識を変化しなければ、企業の重要な要素となる優秀な人材の獲得ができず、企業は衰退します。

このように、自分たちの利益だけを求めていては、他者から評価されない時代になりました。この価値観の変化を、バブルを経験した世代であり、長時間労働が評価されてきた人にどのようにアプローチしていくのかが肝になってくると思います。

〇八木さん
現在の社会は、変化したのではなく、本質に戻ってきた時代なのではないかと思います。様々なものが発展し、あらゆるものを手に入れることのできる今の時代は、何が本当に正しいのかという本質的なものを自分で考えなくてはならない時代です。それと同時に何が本当に正しいのか適切な解がわからない時代でもあります。そして、その中でどのような変化が起きたのかというと、筋力でモノを売る時代から頭脳でモノを売る時代に変化したと感じています。

50年前は、体力を使ってものを売ることで発展できた時代、しかし、今は頭を使って斬新なアイディアや価値観を従来のものに融合して、新たな付加価値を創造することが求められるようになりました。そのため、新しい価値を提供できる時代になったからこそ、いろんな価値を体現できるおじいさん、斬新な意見や価値観を持っている若者、女性、男性、みんなが意見を発信でき、それを融合させて実現できるような世の中にならないといけないと思っています

―――今の時代はどのようなマインドセットチェンジが求められているのか
〇佐々木さん
みなさんがおっしゃるように本質を見る時代になってきています。利益ではなく、みんながやりたいのかということを重視しているようにも感じます。みんながそれぞれの価値観を共有しながら、正しいとする本質的なものに進みたいという時代。このような時代になっていく中で、どのようなマインドセットチェンジが求められているのでしょうか。また、そのマインドセットチェンジができる機会はどのように設けるべきなのでしょうか。

〇成澤さん
マインドセットチェンジのきっかけは、手段は問わず、何でもいいと思います。例えば、あるベンチャー企業の社長がPR戦略的な観点から育休を取ったこともありますが、そのことがきっかけで、彼は家事や育児に関わり、彼自身の意識も変化しました。そのため、たとえきっかけが純粋な動機でなくても、意識が変化することに繋がればいいと思います。

もう一つ、意識を変化させるためには、正しい原点に立ち戻って考える必要があります。例えば、現在共働きの夫婦が増え、保育園は早朝保育や延長保育などフルスペックのサービスを提供していますが、本当はフルスペックなサービスである必要がないことが良い社会なのです。早朝保育も延長保育も求める必要のない世の中が原点であり、本質的に良い世の中なのではないかと思います。そのため、本質を求める時代だからこそ、原点に立ち戻るという視点は必要になると考えています。

〇八木さん
マインドセットは過去に囚われないことが重要です。世の中はパラダイムシフトしている一方で、多くの企業が過去に囚われており、過去の延長線上で物事が進められています。昔のままで戦略を練っていては今後絶対に勝てません。先ほども言いましたが筋力でモノを売る時代は終わり、頭脳で価値を想像する時代に移っています。

新しい価値を創造していくために、必要なのはディベートです。その理由は、本質的なものを追求するという時代の特徴に加えて、日本社会の中でも、日本人同士だけで仕事を行うような時代ではなくなりますし、価値観の異なる人と物事を進めていくことが求められます。そのため、価値観の異なる人と、共通のゴール、共通の戦略を共有し、市場で勝っていくためには、バックグランドの異なる人とディベートできる力が不可欠です。そのディベートを通じて、多様な価値観の中で議論し、その中で何が正しいのか徹底的に追求できるような世の中にしていく必要があると考えています。

―――お二人は何がきっかけでステレオタイプのおじさんではなくなったのか
〇佐々木さん
日本社会は、ハイコンテクストで、暗黙了解が多いと言われますが、実際には色々な価値観があり、日本人同士でも忖度できるのは難しいと感じます。そのため、ちゃんとコミュニケーションを取れるスキルやスタンスは大切であると考えます。それに加えて、過去にすがることなく、いろんな価値観に意識を傾けることがますます求められますよね。しかし、暗黙の了解という慣習や過去の風習に、縋っているおじさん世代も多いと思います。いわゆるおじさん世代であるお二人は何がきっかけで、ステレオタイプのおじさんではなくなったのですか?

〇八木さん
私の意識が変化したきっかけは家庭内にありました。妻はもともと私と同じ大学で就職活動を一緒にしていたのですが、私は大企業から内定を貰う一方で、彼女や他の女性の友人達は一般職しか内定を貰えないという状況を目にしました。その後、彼女は大学院に行って外資系銀行で勤務し、当時私よりも給与は高かったと思います(笑)。お互い外で仕事をバリバリ働きながらも、帰宅すれば家内だけが掃除、食事の準備、片付け、洗濯全てを行う。僕はそれが当たり前だと思っていたのですが、ふと客観的に考えてみるとこれは不平等だと気がづいたのです。それから意識が変化し、自分でも進んで家事をするようになりました。このような小さな意識や行動の変化が今の価値観に繋がっているのだと思います。

〇成澤さん
私もマインドチェンジしたきっかけは家庭内にあります。私は妻と子供がいるのですが、以前、妻が体調を崩して入院して、私一人で家事育児全てやらないといけない状況になったことがありました。その状況に置かれてみて、女性が仕事をしながら、家事育児を一人で全てやっているのはとても大変だと身をもって感じました。その経験からマインドセットチェンジできたのだと思います。

―――世の中全体にマインドセットチェンジが浸透するには?
〇佐々木さん
お二人はご家庭でマインドセットチェンジのきっかけがあったのですね。きっかけは様々な場面にあるにも関わらず、変われないおじさんたちもいると思います。世の中全体に、男性も女性も平等な機会や権利を尊重できるような意識を浸透されるにはどのようなことが必要だとお考えですか?

〇八木さん
ステレオタイプのおじさんたちのアンコンシャスバイアス(=無意識の偏見)に反論することが大事だと思います。例えば、女性にも平等な機会を提供せよというけれど、女性は管理職になりたがらないじゃないかという人を見かけると思います。そのような意見の人には、そもそも忖度ばかりしている管理職に誰がなりたいのか、魅力がないポジションなんて誰もなりたくない。しかも管理職になれる機会もなかったら挑戦する気持ちも起こらないじゃないかと反論すべきなのです。このような矛盾していることを言っている人たちに対して、正論で反論し、その人たちのバイアスを外してあげてほしいと思います。

〇成澤さん
私は女性だけではなく、男性も人生設計ときちんと向き合う時間を取ることが大切であると考えています。私は大学で女子大学生にキャリアデザインやライフデザインを考えようという講義をもっているのですが、5年後、10年後のことなんて書ける子はほとんどいません。しかし、これは完璧に書くことを目的としているのではなく、自分の人生設計を考えるきっかけを与えることに意味があると感じています。女性に比べて、男性は自分の将来、人生設計を考えている機会はあるのでしょうか。今後、終身雇用も終わり、定年も延長され、人生の岐路における決断は、女性だけではなく、男性も必要になってくる時代です。そのため、男性も自分の人生と向き合うことで、自分の価値観を広げるきっかけになるのではないかと考えています。

取材後記

今回のイベントを通じて、無意識的に抱いている価値観は、時代背景などが影響して、やはり世代ごとに大きく異なるものであることを実感しました。今後、社会人として歩む環境は、これまで同じ世代だけで構成されていた学校などの環境とは大きく異なります。そんな環境下で、世代や国籍など異なる価値観の人と関わりあう中で、どのような意識が必要なのかを考えさせられるイベントでした。

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