フェルミ推定について知っておきたい考え方のポイント

「東京都内にある電柱の本数は?」「スクールバスにゴルフボールはいくつ入る?」そんなことを聞かれても即座に答えることは難しいですよね。このような一見答えを出すことが難しそうな問題に対していくつかの手がかりを元に論理的に推理して短時間で回答を導き出す考え方をフェルミ推定(Fermi estimate)と呼びます。

フェルミ推定はGoogleの面接試験などで使われ有名になり、近年ではロジカルシンキング(論理的思考法)のトレーニングなどにも使われている考え方です。なぜ様々なところでフェルミ推定が取り上げられているのでしょうか。その理由とフェルミ推定の考え方について解説します。

なぜフェルミ推定が注目されたのか

思考の順序立てや仮説検証スピードが早くなる


フェルミ推定はコンサルティングファームや一部のベンチャー企業において、日々の業務や採用の場において論理的思考力などを測る基準の一つとして使われています。

具体的な使われ方として例えば『クラウドファンディングを活用して今までにない製品やサービスを販売しようとしたとして、潜在的な需要はどのくらいか、その需要に応えるためにどの程度在庫が必要か、製品を製造する部材は何個必要になるのか』というような、論理的思考に基づいて関連する数量を推定し、クラウドファンディングでの目標額や提供を開始した場合の製品・サービスの価格を決めるというような利用のされ方をしています。

日々こうした仮説検証を行なっている企業は、社内の研修や採用においても、一見回答を見つけるのが無理難題のように思える課題を参加者に課して論理的思考力やアプローチの方法、どう仮説を立てて、どう論理的な回答を出すのかを見るためにフェルミ推定を課題として取り入れています。

フェルミ推定について重視される点は、仮説を立てて考察する力、問題全体を見て、俯瞰し問題を解決するための課題を特定する力、今まで直面したことがないような難解な課題に対して意欲的に取り組む好奇心、そして対話を通して回答をさらにブラッシュアップさせる力、そしてそれらを短時間で実行できるスピードです。

フェルミ推定は様々な難解な問題に対して論理的に推論し問題を洗い出し、回答を見出せる一つの手法として、役に立つ手法ということがわかります。

フェルミ推定の例題事例

フェルミ推定の課題はどのようなものがあるのでしょうか。

フェルミ推定は一見答えを出すことが難しい問題に対していくつかの手がかりを元に論理的に推理して短時間で回答を導き出す考え方ですが、どのような問題が出題されるか、出題内容のポイントをみてみましょう。

まず、論理的思考力を確認することが命題ですので、数を問う質問が多く出される傾向にあります。「○○はいくつあるか・何個入るか」や、「○○な人は何人いるか」、「売り上げはいくらか」などが問題として出されやすくなっています。

はじめにあげた例題「東京都内に電柱は何本あるか?」に当てはめると、「電柱は何本あるか?」が数を問う質問になっています。そして、数を推定する上で、範囲・期間などが設定されます。これがはじめの例題の中で「東京都内」に対応している部分です。この2点がフェルミ推定の問題として出されるということが理解できていると、自分でも問題を考えることができます。

例えば、「大阪府で使われているスマートフォンの台数は?」や「アメリカで1年間に購入されている新品のTシャツの総額は?」、「1年間にあなたがまばたきをする回数を答えなさい」など自分で例題を考えることができます。例題を考えることは課題を理解するために有効な方法ですので、ぜひ自分でもどのようなものが例題になるか考えてみましょう。

フェルミ推定の例題を作成する際は自分の興味のある事柄や、最近のニュース、頭に浮かんだ疑問などを当てはめてみると問題に挑戦するモチベーションが保たれ、フェルミ推定が課題として質問された際に面くらわずに取り組めることでしょう。

例題を考えるポイントを押さえたところで、次はフェルミ推定の解き方になります。「フェルミ推定の課題を解く際には、次の4つのステップが必要になります。

①大まかな枠組みを設計する。
②細かい数値を想定する為に具体的に考察・想定する。
③②で考察・想定した数をもとに実際に計算を行う。
④妥当性の検証を行う。

上記4つのステップにあてはめ、はじめの例題「東京都内に電柱は何本あるか?」を実際に問いてみましょう。

①大まかな枠組みを設定する
⇒場所が東京都内と設定されていますので、都内の電柱の数=東京都の面積×面積あたりの電柱の本数と想定することができます。

②細かい数値を想定する為に具体的に考察・想定する
⇒面積あたりの電柱の数ですが、都内の電柱同士の間隔を考えてみると普段よく見る電柱は送電や電話回線のためにあちらこちらに立てられており、場所によっては電柱がひしめき合っている場所もあります。そこで、4mごとに1本程度と想定してみます。
さらに考察をすすめると、4mごとに1本の電柱ということは、4㎡あたり2本の電柱があることがわかります。ということは4k㎡で2000本なので、1k㎡あたりは500本であることが想定されます。

③②の想定も踏まえて実際の計算を行う。
⇒東京都は2,188k㎡なので、2,188×500= 1,094,000と計算できます。

④妥当性の検証
⇒「電線地中化で電柱は減っているのではないか」や「都心部以外では電柱は少ないのではないか」、「下町ではもっと狭い間隔で電柱が設置されているのではないか」など考えられる様々な仮定の観点から数字の妥当性を検証します。
今回の例題であれば、実際に総務省から発表された資料によると東京都内で設置されている電柱の数は111万本とされており、推定で導いた結果が、実際の数値と近い数字を導き出されているのがわかります。この4つのステップを行うことで、想定を理論立てて数などを探っていくのがフェルミ推定です。

しかし、フェルミ推定は本当に当たっているのでしょうか。与えられた情報が間違っていたりしたら、そこから数を理論立てて推し量っても全く的外れな数が出てきてしまい、フェルミ推定を行うこと自体が疑問視されてしまいます。

フェルミ推定は使われなくなる?

ここまでフェルミ推定について解説してきました。Googleが採用面接にフェルミ推定を取り入れ、その影響でこぞって他の就職面接での採用が増えましたが、先駆けであるGoogle自身がフェルミ推定を「この手のクイズ面接には効果がないことがビッグデータでの検証により判明したので、今後はこの類のクイズは面接では行わない」と発表し、世間を驚かせました。

インタビューでGoogle社の人事担当ラズロ・ボック上級副社長は「飛行機の中にゴルフボールをいくつ詰め込めるか、マンハッタンに給油所は何か所あるか。完全に時間の無駄。こんな質問では何の予測もできない。」と答えています。さらに、”Googleの広報担当者は米ABCニュースの取材に、試験内容を変更すると認めたとのこと。 入社希望者から不評をかっており、何よりも「この種の質問を解き明かす力と、将来業務で発揮できる能力やIQとの関連性に疑問が生じた」のが大きな理由だと答えた”。と伝えられています。
(引用:http://www.j-cast.com/kaisha/2013/07/03178573.html?p=all)

まとめ

Googleでの採用が取りやめられたことを契機にフェルミ推定は今後、就職の場で活用する場面は減って行くと思われます。しかし、フェルミ推定を行う際に必要な論理的思考能力は数を推し量り、理論を順序立てて相手に伝わるように説明を行えるプレゼンテーション能力です。就活の場で利用することは減ったとしても実際の仕事の場で活用する場はあるでしょう。
思考法の1つとして考え方を身につけておくことは自分のスキルアップにつながるでしょう。

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