みなさんは、自分の将来を考えるとどんな気持ちになりますか?キラキラしている人の姿を見ては、何だか自分だけ置いていかれているような気持ちになるなんてことも・・・。
「29歳までの道しるべ」では、現在いろいろな舞台で活躍する大人たちを取材し、彼らの20代のお話を聞きました。
いまだからこそ言える“少しでも人生を前に進めていくためのヒント”です。

この道を選んだ自分を 好きでいよう。 ー公認会計士・税理士 松岡由起子さん



松岡由起子さんは高校在学中に出産し、そのまま結婚。21歳でシングルマザーになり、仕事と家事や育児をなんとか両立させながら、27歳の時、超難関といわれる国家資格・公認会計士試験に合格。監査法人の勤務を経て、31歳で独立しました。

「今は、本当に平和!」と話す松岡さんにとって、20代とはどんな時代だったのでしょうか。通常の大学生の進路選択とは少し異なる人生ですが、その言葉には未来に向かって力強く歩んでいくためのヒントがたくさん散りばめられていました。

〜20歳 将来より、1日のことを考えるので精一杯。

ーお忙しいなか、ありがとうございます。松岡さんは高校3年生でママになられたんですよね。20代の話を伺う前に、その10代後半の話も少し伺いたいのですが、松岡さんはどんな女の子だったんですか?

松岡さん:ただのギャルですよ。中学生くらいの頃からメイクしはじめ、モーニング娘。や安室奈美恵さんに憧れて厚底ブーツを履いているような。でも、親が厳しかったので、ひとまず親が用意した洋服を着て家を出て、外でミニスカートやルーズソックに着替えていました(笑)。

—その当時は夢とかありましたか?

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20代の頃の松岡さん

松岡さん:高校2年生の途中までは、まったくなかったですね。奈良県の田舎育ちだったので、漠然と東京に行きたいと思っていたくらい。今でいうパリピになりたい、自由に遊びたいみたいな(笑)。ただ高校時代の門限は19時でしたから、それだけは守ってましたね。

—でも、その門限のなか、17歳でお子さんができたんですよね?

松岡さん:そう。みんなびっくりですよね。「いつ作ったん?」って!(笑)。でも、純粋に子供が大好きだったので、普通にうれしかったですね。

もう自分は大人だと勘違いしていたし、産むことに対する不安はなかったんですが、「高校はどうしよう」「親をどうやって説得しよう」という不安はありました。で、親に相談するとめちゃくちゃ怒られて。何度も手紙を書いたり、話を聞いてもらって、ようやく納得してもらいました。でも今思えば、親は私の覚悟を試していたんでしょうね。
「ひとまず高校は卒業しなさい」と言われて、学校の先生の助けもあってなんとか卒業することができました。

あと、当時の一番の親友が本当に親身になって話を聞いてくれて。「子供を産むのは賛成やけど、結婚相手には正直期待しないほうがいい。頼りにするな」と。

さらに、「万一、離婚してどうしようもなくなったら、私が看護師を目指しているから養ってあげる」とそこまで言ってくれたんです。うれしかった。でも、その親友の忠告どおり、そこからの2年半の結婚生活はしんどかったですね。夫の暴力もありましたし、将来のことなんてまったく考えられない。21歳で離婚するまでは毎日、子供が笑顔で1日を終わればいいと、それだけを思って生活していました。

21歳〜24歳 「かっこいい母親」になるために。

ーこの記事を読んでいる大学生で、松岡さんと似たような境遇を経験している人は少ないと思うのですが、「将来の希望が見えない」「とにかく不安」という学生はいると思うんです。そういう時は何を拠り所に頑張ったんですか?

松岡さん:はい。心の平穏は離婚を機に取り戻せましたが、おっしゃるように将来への不安はすごく大きかったです。

離婚して数日は「あー、私ひとりで子供を育てられるだろうか」と落ち込んでいました。でも、やっぱり母親になることも、この子を絶対に守ると決めたのも自分だし、そこだけは逃げちゃいけないと思っていました。

あと、高校3年生の時に簿記検定3級、結婚生活中に2級を取得していたこともあり、離婚後は子育てしながら1級の勉強も少しずつしていたんです。その時はまだ公認会計士になろうとか、まったく考えていませんでしたが、やっぱり何か目標があるって大事ですよね。

「とりあえず1級を取ろう。そうしたら、食いっぱぐれることはないだろう」と。結局、3年近くかかってしまいましたが、専門学校でちょっとずつ友達もできたし、私と同じように働きながら資格取得を目指している人たちが大半の講座だったので心強かったですね。

それに、最終的には子供のことも考えて仕事も子育ても実家の両親の力を借りることになり、今、振り返ると、結構、楽しく勉強できました。なんなら、「勉強している私、かっこいい!」と思っていました(笑)。

松岡さん

ーいいですね。ちなみに、簿記検定1級に合格したら、漠然とした不安は消えていきましたか?

松岡さん:最初は1級を取得した時点で、実家を出て資格を活かして別の企業に就職する予定でした。でも、同じクラスだった友達が「そのまま会計士コースに進む」っていうんですよ。

「え、会計士って何? 税理士は知っているけど、公認会計士? えっ、すごい資格なん?」って聞いたら、三大国家資格と言われている、と。

しかも、医師、弁護士と違って、大学を卒業していなくてもなれると知って、「これ取ったら、かっこよくない?」と思ったんです。しかも、独立したら、家庭と仕事の両立もやりやすい。お金も子供との時間も手に入る。かっこいい!と思って目指すことにしました。

ー「かっこいいか、どうか」という基準は、松岡さんの人生の中で重要なんですね?

松岡さん:そうなんですよ。私は「かっこいい母親でいたい!」という思いが強くあります。やっぱり、周りの人たちが大学に行って企業に就職するなか、私は学歴もないし、シングルマザーだし……。でも、絶対に子供に負い目みたいなものは感じてほしくなかったので、母親であり、父親でもある。そんな男前なかっこいい母親でいたかったんです。

【24歳〜27歳】 20代のうちにリスクを軽減させる経験を。  続きは次のページへ

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