佐々木圭一さんは、上智大学大学院を卒業後、博報堂を経て、株式会社ウゴカスを設立し活躍するコピーライターです。著書『伝え方が9割』はシリーズ127万部突破。「世界一受けたい授業」「情熱大陸」などTVにも出演されているので見たことがある人も多いのでは?
数々の広告賞を受賞し、今や世界的にも高い評価を受ける広告クリエイターですが、実は昔は話すことが苦手だったとか。そんな佐々木さんが、伝え方のプロフェッショナルに至るには、ある人との出会いがありました。今回は今でも憧れ続ける方についてお話を伺ってきました。
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話すことがとにかく苦手だった。上手に話せるようになりたかった。
佐々木さん:今でこそ、伝え方の本を書いたりしてコミュニケーションのプロのように思われているかもしれませんが、就職するまでずっと話すことが苦手でした。広告会社に就職したのは、コミュニケーションが上手な人と一緒にいたら、自分もうまくなるに違いないと思ったから。コミュニケーションが不得意な自分が、真逆の世界に思い切って飛び込む選択ができたのは、ある人との出会いがあったからです。
やらない理由はいつも正しい。それでもやってみることが大事。
—話すのが苦手な佐々木さんを変えた人は誰ですか?
佐々木さん:杉村太郎さんという方です。『絶対内定』というベストセラーを書かれた方で、大手商社を辞め、会社をつくったり、CDデビューしていたりとんでもなく行動的な方です。
—杉村さんと出会う前の佐々木さんはどんな学生だったのでしょう?
佐々木さん:何かをしないといけないことは分かっているものの、何をすればいいのかわからずモヤモヤしていましたね。就職活動では「夢」とかそんな青臭いことではなく「現実」を見ないといけないと思っていました。ところがそんな矢先に、ある大学の学祭で行われていたセミナーで杉村さんの話を聞いて衝撃を受けたんです。 夢を持つことがどれだけ大事かを熱弁されていました。
—その後、行動はどんな風に変化しましたか?
佐々木さん:杉村さんの考え方に心酔しまして、内定獲得のための塾に入塾し口調まで真似するまでになりましたね。あとは、何か選択を迫られた時に「杉村さんならどっちを選ぶだろう?」と考えて、普段なら絶対にNOというところもあえてYESと答えるとか。
そんなある日、学生時代に何を成し遂げたいのか?という議題になったので、ちょっとカッコつけて「ヒマラヤ登頂したいです」と答えると、すぐさま「それならすぐに行け」と杉村さんが言い放ったんです。いやいやさすがに、もう就職面接も始まるし、大学もあるし、親は心配するだろうし、バイトもあるし・・・。次々とやらない理由が頭に浮かんできました。
その時頭に浮かんだ、やらない理由は全部正しい。でもここで行かなかったら何も変わらないと思い、とにかくヒマラヤに登ろうと決めたんです。そしたら意外と登頂できたんですね。今までできなかったことは、できないのではなくて、チャレンジしてないだけなのでは?ということに気づいたのがその時でした。
やってみたら意外とできる。その確信が得られたことが大きい。
—ヒマラヤは実際どれくらい役に立ちましたか?
佐々木さん:就活を一旦ストップしたにもかかわらず、帰国して「ヒマラヤ登ってきました」「これがそこで拾ったアンモナイトです」と話すと、バンバン内定が出ましたね(笑)。
その後、英会話を学びたいと思った時に、英会話スクールで済ませるのではなく、自分でハードルを上げてアメリカ人とルームシェアしてみたんです。そしたらこれまた意外とできたわけです。難しいと思っていたことができるのは楽しいですし、それが自信につながって、広告会社という自分とは真逆の世界に飛び込もうと思えるまでになりました。

【カンヌ国際クリエイティブアワードにて獲得した賞の数々】
日本に足りない「伝え方の技術」を伝えたい。
—『伝え方が9割』はどんな経緯で書かれたのですか?
佐々木さん:ある調査によると、日本人の71.4%が伝えるのが苦手と思っているそうです。私はもともと伝えるが苦手でした。そんな私が20年間コピーライターとして試行錯誤して、発見した伝え方の技術をシェアできれば、と思い書いたのが『伝え方が9割』です。伝え方には明らかな技術があります。「デートして」と言うより、「驚くほど旨いパスタどう?」のほうがデートに誘える可能性が高まります。
伝え方を知っているだけで、結果を変えることができるのです。個人だけじゃなく、企業もです。日本にはいい商品、いいサービスがたくさんあるのに、伝え方が下手がゆえにその魅力が伝わっていない物事がたくさんあると思うんです。私が会社名を「ウゴカス」にしたのは、伝え方の技術を駆使して、そんな商品やサービスを動かしていきたいと考えたからです。
伝え方の教科書つくって、全員が学べるようになる未来へ。
—『伝え方が9割』の先には野望があるとお聞きしました。
佐々木さん:はい。これから実現させたいのは、伝え方の教科書をつくることです。今、『伝え方が9割』は127万部売れていますが、これでもまだ全国民の1%です。
一方で、アメリカには伝え方の授業がすでにあって、子どもの頃から伝え方を学んでいます。日本とのコミュニケーション力の差は歴然としています。週に1回でも教科書を使って授業ができれば日本の状況はだいぶ変わると思うんです。だって、いい商品もいいサービスもあるんですから、あとは伝え方が備われば、未来は明るいに違いありませんよね。
—教科書は実現できそうですか?
佐々木さん:限りなく不可能に近いです。なぜなら、いまある時間割の中に入れることが難しいからです。でも動き続けていれば可能性は0ではないはずです。必ず、日本の未来を前に進める学びとなるので。ヒマラヤと同じ。できるはずです。
—今でも一番の憧れの人は杉村さんですか?
佐々木さん:もちろんです。人生を変えてくれた杉村さんに少しでも近づけるように、今も背中を追いかけていますね。
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応募を締め切りました。
そんな佐々木さんの事務所では現在「コピーライティング集中講座」第3期目の生徒募集を行っています。少人数制で開催される講座にて、佐々木さんから直接コピーライティングの指導を受けるチャンス!「伝え方」に自信がない方、広告業界を志す方、是非受講してみては?