【本郷飛行機】日本のドローン産業発展に貢献する、東大発ベンチャー社長を取材してきた!



技術革新が進み、テクノロジー関連で新しい話題を目にしない日はない。私たちの生活や未来が大きく変化する可能性を秘めているこの分野では日々、目まぐるしく状況が変化している。
ではそんな世界の最前線でキャリアを歩んでいる人はどんな人なのだろうか?
産業ドローン分野で世界を相手に戦う金田さん。学生時代からものづくりの魅力に目覚め、そのままドローンの道を突き進む金田さんに、学生ライターの深町レミがインタビューをしてきた!

「自分がつくりたいものをつくりたい」趣味の世界と、仕事の世界がひとつになった学生時代

深町レミ

こんにちは。はじめまして、深町です。今日は貴重なお時間をいただき、ありがとうございます。金田さんはドローンの会社を経営していらっしゃるとのことで、私自身も趣味で2年ほどドローンを扱っていまして、お話を伺うのがとても楽しみです。
今日はよろしくお願いします。

金田さん

よろしくお願します。今ドローンを使っている方は中年男性が多いので、ドローン女子はうけがいいでしょう?(笑)

深町レミ

はい、そうなんです(笑)。

(一同笑)

深町レミ

はじめに、今のお仕事の内容と、どういった経緯で今のお仕事をするに至ったか、教えていただけますか。

金田さん

先ほど仰っていただいたとおり、僕の今の仕事はドローンです。私の会社では、無人航空機と呼んでいます。ドローンというと、みなさんラジコンを思い浮かべるでしょう。

深町レミ

はい、そうですね。(念のためですが、ドローンという名前が流行る前はもともと無人航空機というカテゴリ名がありました、当初から研究開発を行っているので当時の風習でこう呼んでいるという側面があります)

金田さん

私の会社ではラジコンではなくて自動で飛ぶものを作っていて、「誰でもボタンひとつで飛ばせる」ことを目指しています。

深町レミ

だから、無人航空機と呼ばれているんですね。

金田さん

はい。機体、搭載する頭脳、それを動かすアプリケーションなど、一連のものを全て自社で作っていることがうちの強みです。日本にそういった会社は、他にほとんどなくて、弊社で行なっている事業を大きく分けると、ドローンを含むロボット全般の仕事であるロボティクス、そして人工知能を創る、研究に非常に近い分野をやっています。

深町レミ

全部を社内で作ることで、修理の対応が1ヶ所でできますから、コストも低く便利ですね。

金田さん

そうなんです。そして、ほぼ全ての修理を自社でまかなえることで、どこに不調が起きやすいのかがわかります。だから、どんどん製品を改良できるわけなんです。

深町レミ

なるほど……!

金田さん

さて、今の仕事に至った経緯ですが、最初は研究からはじまりました。私は東京大学の航空宇宙学科というところにいて、飛行機やロケットの研究をしていたんです。それで、飛行機やロケット、エンジンなどの研究をしていました。

深町レミ

壮大ですね。私、飛行機が好きなので気になります。

金田さん

それで、今の相棒の此村くんが、7年前くらいかな、「飛ぶものをつくりたい」という話をしていて。航空宇宙学科というのは、自分がつくりたいものをつくる学科じゃないんです。ロケットや飛行機をつくるプロジェクトに関わる、1万人のうちの1人として研究する。

深町レミ

プロジェクトの規模が大きいだけに、ですね。

金田さん

ただ自分を振り返ってみると、パソコンが自分で組み立てられるようになったとき嬉しかったなとか、やっぱり「自分がつくりたいものをつくりたい」という気持ちが根底にあって。
それで、ドローンをつくるプロジェクトが始まったんです。

深町レミ

ものづくりの欲求、ですね。金田さんは、どんな学生生活を送っていらっしゃったのですか。

金田さん

私は小さい頃から飛行機が大好きで、パイロットになりたかったんです。結局、パイロットにはなれなかったのですが、飛行機をつくりたい、と思うようになって。それで大学に入りました。
東京大学ということもあって、非常に勉強が必要な環境でした。当時は自分で会社をやっていたので、その仕事と、勉強と研究の毎日でしたね。

深町レミ

学生時代の研究内容もドローンだったのですか。

金田さん

そうです。なので、学生時代の研究が今の仕事にそのまま繋がっています。私は家電のIoTを作っていた時に電子回路を勉強したり、大学で航空機の勉強をしたり、会社をやっているうちに、仕事と研究と趣味の距離がだんだん近づいて。それで、たまたまドローンというところで、自分の趣味の世界と仕事の世界がひとつになったんです。そんな学生時代でした。

ものづくりは日本の基本。クオリティは戻れない

深町レミ

金田さんはドローンというものづくりをしていらっしゃいますが、そんな「ものづくり」の観点から、いまの社会や時代について、どう思われていますか?

金田さん

そうですね。いまの社会や時代に対して思うことは、世の中が豊かになるスピードよりも、人が豊かになるスピードがすこし遅いな、と感じています。

深町レミ

と言いますと?

金田さん

まず、ものを長く大事にすることが少なくなったな、と思います。人から提供されるサービスをお金で買うことによって豊かさを感じやすくなっている。
ファストファッションがいい例ですね。それはそれでいいと思うのですが、例えば、昔の着物だとか、昔のスーツって厚手で立派で、つくりがしっかりしていてクオリティが商品の価値になっていました。個人的にはそういうものが好きなんです。

深町レミ

クオリティよりも手軽さが大事になってきた、ということですか?

金田さん

そうですね、あくまで傾向の話ですけど、やっぱり安くて手軽に手に入りやすいものに人は流されてしまいますね。すると企業側もそうした消費者の動向に合わせて安く作ろうとしてしまう。コストを安く済ませようと思って、材料をより安いものにしたり、工場をより安くつくれるところに置く。そうすると、前まであった「いいもの」はもはや作れなくなってしまう。
クオリティがどんどん下がっていって、元の高いクオリティには戻れなくなってしまうんです。

深町レミ

戻れない、ですか。

金田さん

ものづくりのシーンで、工場を中国に置いてしまうと、日本ではものが作れなくなってしまう。
ものが作れない、ということは、設計の仕方も一緒に消えてしまうということです。つまり、「こういうふうにしたら、小さくて軽いドローンが作れるんじゃないか」といった発想も生まれなくなるんです。二次産業だけでなく、そこに付随するサービスもごっそり消えてしまう。

深町レミ

なるほど。そう思うようになったきっかけが、なにかあったのでしょうか。

金田さん

はじめてドローンを作ろうとしたときです。小さくて軽いモーターが必要だったので、その製作をモーター会社にお願いしようと思ったら、作れる人がいなかったんです。
これはですね、日本ではドローン産業は生まれない、小型化という意味では勝てない、ということなんです。

深町レミ

と言いますと?

金田さん

日本では作れないから中国のメーカーに発注するわけです。そして中国の工場でモーターのプロトタイプを作ると、「日本でこういうドローンを作るらしいよ」という情報が回りますから、必然的に日本は勝ちにくくなる。
ですから、国が、どこにどういうふうに投資をして、といったことがもっとしっかりすると、日本でもドローンは産業としても伸びるだろうな、と思います。

深町レミ

なるほど。ものづくりの力は国の力に直結するのですね。

金田さん

はい。ものをつくるというのは、とても大事なことだと思います。しばらくITとか、アプリとか言われていますけど、自分でものをつくることが重要だと思っていて。いまの生活って、パソコンとか、スマホがないとITははじまらないですよね。ものづくりはこの国の基本だと思っています。

自分が面白いと思うものは、きっと、面白いと思ってくれる誰かがいるはず。

深町レミ

学生のときから現在までものづくりを続けている金田さんですが、学生時代はどんなことを考えていたのか、どういった気持ちでものづくりをしていたかについて、お聞きしてみたいと思います。たとえば、こういう大人になりたいとか、こういう大人にはなりたくない、というのは、ありましたか?

金田さん

僕は誰かを目標にするということはありません。その人を越えられなくなってしまいますから。そうなったら、面白くないなと思って。
でもまあ、そんなに深く考えていたわけではなくて、「面白ければなんでもいいかな」と思っていました。

深町レミ

なるほど。

金田さん

世の中って割とつまらないことが多いじゃないですか(笑)。

(一同笑)

金田さん

技術ってほんとうはもっと人の役に立つはずなのに、すごくつまらないもののために使われている。それが原因でたくさんのトラブルが起こって。そういうものをもっと面白くしたいなと、いつも思っています。自分が面白いと思うものって、きっと面白いと思ってくれる誰かが必ずいるはずで。さじ加減はすごく大切なんですが、そこをうまく調整すれば、共感してもらえると思っています。

深町レミ

自分が面白いと思うものを追求されてきたんですね。

金田さん

はい。その時の興味を大切にしています。

深町レミ

金田さんは、どんなものに面白さを感じますか。

金田さん

難しいですね。ドキドキ感があるもの、でしょうか。あとは、「必要なこと」というのは結構大きいかもしれません。

深町レミ

必要なこと、といいますと。

金田さん

以前、クラウドファンディングをやっていました。当時、自分のビジネスでやりたいことがたくさんあるのに、お金が足りなくてできなくて。
それで、どうしようかと考えたときに、共感してくれる一般の人からお金を集められたら面白いんじゃないか、と。

深町レミ

なるほど。

金田さん

もうひとつ別のエピソードがあります。大学時代に家電の遠隔操作をやっていたときです。遠隔操作は、いまでこそ簡単にできますが、当時は珍しかったんです。
で、当時僕は家に帰って寒いのがいやだな。と思ったので、当時はガラケーの時代だったんですけれども、そのガラケーにですね、私の家の電気を点ける・消すの操作ができるホームページを作ったんです。

深町レミ

ガラケーの時代に。すごいですね。

金田さん

それで、そのホームページのURLを、クラスメイト全員に教えたんです。つまり、クラスメイトが、いつでも私の家の電気を点けたり、消したりできるようになったんですね。

深町レミ

ええ。

金田さん

私が、「明日の朝早いんだよね」なんて言うと、本当は7時起きでいいのに、誰かが朝5時に電気をつけてくれたりするわけじゃないですか。
チクショー、なんて思いながら学校に行くと、友達が、「おまえ、電気点いて起きられただろ」とニヤニヤしてきて。うるせえばかやろう、なんて言って笑っていました。

深町レミ

それはすごく面白いですね(笑)。毎日たのしそうです。

金田さん

楽しかったです。それに、真面目に人工知能とかスマートハウスをやるよりも、ずっとユーモアがあって面白いですよね。それは、人工知能をつくるよりも、本当に人が向こう側にいるからなんですけれども。

深町レミ

はい。

金田さん

いま、ドローンとかITって、かたいイメージがありますけれど、本当はちょっとした、簡単なことで世の中は面白くなると思うんです。
小学生がじゃんけんだけでテンションがあがっちゃう、あの不思議な面白さ。ああいった感覚でものづくりを続けていきたいな、と思っています。

深町レミ

素敵ですね。最近、ITや人工知能という言葉を頻繁に耳にするようになって、新聞でもよく目にします。
ただ、やっぱり、かたいイメージがあるんです。だから、きっと技術をつくる側の人に対しても、かたいイメージがあって。 
だから金田さんのお話を伺っていると、とても新鮮です。でもよくよく考えると、ものづくりって、それ自体すごくワクワクすることですよね。技術者の方って、世間や私が思っているよりも、もっと子供心があって、いつもワクワクしている人なんじゃないかと思いました。

『世界は自分で広げるもの。』

深町レミ

社会人の方とお会いするときに必ずお聞きしている質問なのですが、学生時代、やっておいてよかったことはありますか。

金田さん

勉強ですね。だいぶやったつもりではありますが、もっとやっておけばよかったなと思っています。

深町レミ

どういった勉強でしょうか。

金田さん

なんでも、だと思います。いまの仕事は英語が必須なので英語はもちろんですが、英語以外の言語でも知っていれば知っているほどできることは広がるな、と。例えば目の前で外国人のお客さんが母国語で「もうちょっと値切れるんじゃないか」なんて話していることに気づくことができるわけです。

深町レミ

(笑)。確かに単語を少し知っているだけでもだいぶ違いますね。

金田さん

はい。技術も、経営も経済ももっと勉強しておけばよかったと思っています。世の中には、「使わないから勉強しない」という方もいますけれど、知らないから使う機会に気がつかないんだと思うんです。知っていれば、使う機会に気づくことができる。自分の世界を広げると、広がった分だけ使えるものなのかな、というふうに感じます。

深町レミ

知れば知るほど世界は広がって、知っていれば知っているほど世界をより理解することができる。「知らないから使う機会に気がつかない」のは本当にそのとおりだと思います。
ほかに大切にしている考え方はありますか。

金田さん

最近、清貧という言葉を覚えました。富を求めず、正しい行いをするために、貧しく生活が質素であること、という意味です。稼ぐことに興味が無いという意図ではないのですが、貧しい、というのはお金だけの問題ではないんです。すこし足りないくらいだと、いろいろな方法を模索する。いい意味で「満ち足りない」状態は、それが原動力でもっとおもしろいことが生まれるんだと思っています。
慎ましやかにもっと努力をすると、もっとおもしろいんじゃないかな、と。ものづくりの会社はそういう考え方すると、もっと世の中がよくなるんじゃないかな、そういうふうに考えています。

深町レミ

なるほど。すこし似たような感覚が、私の中にもあります。不自由なときこそ、クリエイティブが生まれると思っています。

金田さん

そうですね。

深町レミ

いまの日本は、昔に比べて技術も発達して、便利になって、生活は確実に豊かになりました。ただ、なんとなく、昔に比べて、幸福度や満足度が低いという意味で、人の心が貧しくなっているのかなと、文学作品や歴史を学んだときに感じてしまいます。
ほしいものが簡単に手に入って、お金がなくてもネットを駆使すればやりたいことができたり、会いたい人に会えたりしますよね。
自分の頭を使って、自分の手を動かして、日々の問題を解決することに本質的な満足感や幸福があったのかもしれない、とお話を伺っていて思いました。

金田さん

そのために勉強が大事なのだ、と、私は思っています。

深町レミ

解決するためには知識がないと。

金田さん

そうそう。道具と力がないと。プラスドライバーを回せないと電池交換ができない、みたいなことで。ドライバーを回すには努力が必要ですが、それができるようにならないと生活は豊かにならないんです。

深町レミ

なるほど。

金田さん

いまの世の中は、お金で解決できることがあまりにも多くなってしまったと思います。

深町レミ

はい。本当にそう思います。もっとお話を伺いたいのですが、そろそろお時間ですので、最後に読者の学生のみなさんになにかメッセージをいただけますか。

金田さん

よく勉強してください、ですね。興味がないというのは、「知らないから」だと思うんです。どうやったら自分が興味を持つことができるのか、という観点は、実はとても大切だと思っています。
「将来の人生に関係ない」と思うのは、関係ないと思いたいからそう考えるわけであって、どんなことでも繋がると思いますし、繋げることができれば、それは関係のあることですから。

深町レミ

なるほど。知らないから、関係性にそもそも気づくことができないのですね。いろいろなことを知っていれば知っているほど、世界を広げることができますし、世界に興味が湧きますよね。
今日、金田さんのお話をお聞きしていて、もっと勉強がしたくなりました。
今日は貴重なお時間をいただき、本当にありがとうございました。
とても楽しい時間でした。

金田さん

こちらこそ、ありがとうございました。

取材後記


深町レミ

ドローンという先端技術の第一線にいる金田さん。
社会人の今と学生時代、どちらの方が楽しかったですか。とお聞きしたところ、迷わず「どちらも楽しいです!」とお答え下さいました。
「その時の興味を大切にしています」という言葉からもわかるように、自分の好きなことや興味のあることを追いかけ続けてきた金田さんはの目は、とてもきらきらしていました。

昔よりも、自分の好きなことを追いかけやすくなった今ですが、多くの学生が「興味があることがない」「なにがやりたいのかわからない」という悩みを抱えています。
いま探しても見つからないのであれば、勉強をしてもっとたくさんのことを知って、世界と自分の共通点を増やす。そうやって関係性を強くして、世界をより理解できるようになればなるほど、自然といろいろなことに興味が湧くのかな、と、そんなふうに思いました。

日常にわくわくしている大人になりたいなと、改めて思いました。
お読みいただき、ありがとうございました。
深町 レミ

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