慶應義塾大学 文学部2年生 岩崎 果歩



かほ1

NHK『Rの法則』、フジテレビ『おーい!ひろいき村』、映画『原宿デニール』。他にも数多くのCM・ラジオなどに出演し、活躍していた岩崎さん。芸能界引退後も夢に向かって精力的に活動を続け、営業やマーケティング、執筆業務にミスコン出場など幅広い分野で活躍している。

華やかなイメージがある芸能界。その中で彼女は何を感じ、何に苦しみ、何を学んだのか。今年の3月に芸能界を引退した彼女の「今」を取材しました。(取材執筆:ゆうた、写真撮影:慶應義塾大学 塾生総合研究所 金岡弘記)

(*インタビュー記事は全て取材時、2017年10月時点のものです。)

小学校六年生からはじめた芸能活動

ゆうた

今日はよろしくお願いします! 小学校六年生から芸能界に入り、今年の3月に引退……。約8年間芸能生活をしていたわけですが、そもそもどんな経緯ではじめたんですか?

岩崎さん

よろしくお願いします! 原宿の竹下通りでスカウトされたんです。当時雑誌を読むのが好きで、単純に「芸能の世界って面白そう!」と思って飛び込んだのがきっかけでした。

ゆうた

あ、きっかけは結構シンプルな理由だったんですね! ざっくりした質問ですが、芸能活動をしてみてどうでした? 正直、全くイメージが沸かなくて……。

岩崎さん

そうですね……。スケジュール管理が本当に大変でした。これは未だにトラウマなんですけど、一回だけ3時間寝坊して大遅刻をしたことがあったんです。

ゆうた

3時間!?

岩崎さん

朝起きたらメールや電話が十何件もきてて……、「これはやってしまった!」って思いました……。現場に行くのが怖かったんですけど、もう腹を括りましたね(笑)。

ゆうた

それは相当ですね(笑)。学校に通いつつ、売れるためにできる限り芸能活動をしなくてはいけない。バランスをとりながら両方頑張り続けるのは、たしかに大変そうです。

岩崎さん

楽ではなかったです。私「帰宅部のエース」だったので(笑)。学校が終わったら、誰よりも早くダッシュで下校して撮影現場に入っていました。

ゆうた

「帰宅部のエース」ですか(笑)。

岩崎さん

やっぱり部活をしている子たちを見ていて「楽しそうだなぁ」とか思っていましたよ。友達と同じような会話ができないことにもどかしさを感じることもありました。

ゆうた

そうですか……。

岩崎さん

部活って「The青春!」って感じがするというか。利害関係とか無く、自分がやりたいことにひたすら熱中するってとても素敵なことだと思います。だから部活はやってみたかったですね……。

ゆうた

なるほど……。もしもう一度、高校生活をやり直せるとしたらどうしますか?

岩崎さん

芸能をやります。

ゆうた

おー、即答ですね(笑)。

岩崎さん

もちろん部活もすごく魅力的です。ただ私は、芸能活動を通じてたくさんの人と出逢い、貴重な経験をさせて頂けました。私にとっては、芸能が青春だったんです。引退の時にスタッフさんから「今までお疲れ様」と声を掛けてもらった瞬間、思い出と一緒に涙が溢れ出てきて……。普通の学生だったら見られない世界をこの身体で体感できて、本当に良かったと思っています。

芸能界か、引退か。

「Rの法則」で最後の生放送に出演した岩崎さん。

ゆうた

とても充実していたんですね。ただそんな中で引退をしたのはなぜでしょう?

岩崎さん

「壁」を感じたのがきっかけです。

ゆうた

……というのは?

岩崎さん

芸能活動をしていて一番大変だったのは、「この先どうなるんだろう」っていう不安との戦いでした。人気が無ければすぐ番組に呼ばれなくなる。オーディションも容赦なく落とされる。何の保証も無いシビアな世界で、常に努力し続けることが求められます。

ゆうた

なるほど……。ただそれでも、8年間も頑張り続けることができていたんですよね?

岩崎さん

そうですね……。ただ段々と、努力だけではどうしても越えられない現実や、死ぬ気で芸能活動に全てをかけている方々との覚悟の差を感じ始めました。

ゆうた

まさに「」ということですね……。

岩崎さん

そうだと思います。正直、その頃はとても悩んでいました。8年も努力し続けたのにここで辞めて良いのかな……、とか。逆に、本当にこのまま芸能活動を続けて良いのかな……、とか。今まで払ってきた犠牲をこのままにしていいのか、疑問に思ったんです。

ゆうた

芸能界か、引退か。やはり簡単な決断では無いですよね。

岩崎さん

はい……。ただやっぱり、私はテレビが好きで、「テレビの世界でずっと活躍したい!」って想いがいつも心にあったんです。だからこそ、やるからには中途半端な位置から抜け出したかった。

ゆうた

なるほど。

岩崎さん

そのためには、芸能活動とは違う道に進む必要があると気付いたんです。そう気付いてから、ただ悩むのではなく「私が勝負できる場所はどこだろう」って考えるように変わりました。

ゆうた

壁に直面して諦めるのではなく、新たな道を探し始めたんですね。

岩崎さん

はい。そして見つけた新たな道が「芸能界を引退し、アナウンサーを目指すこと」でした。アナウンサーならキャリアを積めば積むほど第一線で活躍できると思うんです。まだ私が勝負できる場所かは分かりませんが、ずっとテレビの世界で活躍するために挑戦してみたいと思ったんです。それが引退の決め手でした。

引退の先に

ドイツ研修でメンバーとふざけて撮った一枚。引退後も充実した日々を過ごしている。

ゆうた

ふむ。テレビの世界で活躍する、というと他にも道がありそうな気がしますが……。どうしてアナウンサーなんでしょう?

岩崎さん

昔、番組内でインタビューやリポートをしていたことがありました。最初は本当に下手で、話を聞いても自分の中だけで納得しちゃって、視聴者目線の質問が出来ませんでした。その度にスタッフさんに助けられて……本当に悔しかったです。

ゆうた

たしかに、インタビューって難しいですよね。

岩崎さん

そうですよね。ただ私は、それが面白くて楽しくもあったんです!失敗したら悔しいけど、逆に「絶対に上手くなってやる!」っていう闘争心が出てきて……(笑)。

ゆうた

あ、なるほど! 好きだからこそ悔しいし、「上手くなりたい!」って思いに繋がっていくんですね。

岩崎さん

そうだと思います! 友人から「何かを伝えているときの果歩が好き」と言ってもらえるようになったのも、自信に繋がりました。そうしてやっている内に、自分の発信した情報で、誰かの生活を少しでも豊かにできるって素敵だなと思うようになったんです。

ゆうた

自分が好きなこと、自分にできること、他者が求めていることが見事に重なったんですね。だからこそ、アナウンサーとして勝負してみたいと思うようになった、と。

岩崎さん

そうです。なので引退後は、アナウンサーになるために色々な活動をしています。アナウンススクールに通ったり、慶應のミスコンに出たり、学校のプロジェクトでドイツに行ったり、マラソン大会に出たり、アルバイトをしたり、長期インターンで記事執筆やマーケティングをしたり、家庭教師の営業をしたり……。

ゆうた

前半はともかく……、後半はアナウンサーっぽく無いですね(笑)。

岩崎さん

そうかもしれません(笑)。ただそれまで私、芸能以外のことをほとんど知らなかったんです。視聴者の目線に立って情報を伝えるアナウンサーがそんなんじゃいけないと思って。

ゆうた

たしかに8年間芸能活動をしてきた岩崎さんと、多くの視聴者との間には差があるかもしれませんね。

岩崎さん

人って経験からしか物事を語れないと思うんです。経験しているからこそ説得力が生まれる。だから今はとにかく色々なことを経験して、できるだけ濃い大学生活を送りたいと思っています。

ゆうた

なるほど。壁にぶつかって真剣に悩んだからこそ、さらに前に進んだ感じですね!

岩崎さん

そうですね! ただやっぱり今も、漠然とした不安と戦っていますよ(笑)。どれだけ夢に向かって頑張ってもダメな時はダメなので。よく努力は報われるって言うけど、それは絶対じゃないと思います。今の努力が報われるかどうかは分からないので、どうなるかなーって不安なんです。

そして、今。「岩崎果歩」として

写真を撮るときジャンプしたくなるそう。西表島の海らしいですが……綺麗ですね! (どっちも)

ゆうた

おぉ……、けっこうハッキリと言いますね(笑)。

岩崎さん

ごめんなさい(笑)。でも本当に、そんな甘くはないと思います。ただ……

ゆうた

ただ?

岩崎さん

努力しないで「もっとやれたはずだった」っていうのも嫌なんです。努力が報われる保証なんて無いけど、後悔はしたくない。だから死ぬほど頑張ります。そう思えるのが、アナウンサーという夢なんです。

ゆうた

そこまで強い想いがあってアナウンサーを目指していたとは……。

岩崎さん

ミスコンとかに出ていると「やっぱりアナウンサーか」って思う方もいると思います。ただ目指している人それぞれに理由があって、どんな理由でも一生懸命努力をすればそれだけで素敵だと思うんです。がむしゃらに頑張れるのって人生の中でなかなかないですからね。

ゆうた

ありがとうございます。では最後に、今後に向けた想いを教えてください!

岩崎さん

アナウンサーとしての夢はもちろんそうですが、まずは1人の女性として成長したいです! これまでは芸能活動に青春を捧げてきたので、残りの学生生活は普通の女子大生として、色々なことを経験していきたいと思います。

ゆうた

アナウンサーになって終わりではないですもんね。1人の女性として挑む夢が見つかったのは、これまでの経験があったからこそですね。

岩崎さん

はい。今までしてきた選択全てが現在に繋がっていると思うので、後悔は一つもありません! これからは芸名ではなく、「岩崎果歩」として勝負できるようになりたいんです。そのために今は、死ぬ気で頑張ってます!

取材後記

12歳から芸能界に入り、部活もせず、友人との遊びを断ることも少なくない。それでも彼女は芸能活動を続けていました。
それだけ本気だった芸能活動を引退するのは、決して簡単な決断では無いですよね。「どれだけ夢に向かって頑張っていてもダメな時はダメ」という言葉は、投げやりな気持ちからではなく、本気で挑み、悩み、現実を痛感したからこそ出てきた言葉なのだと思います。

でも今、彼女は前を向いています。壁の高さに打ちのめされて諦めるのではなく、困難を糧に新たな道を見つけました。

皆さんは高い壁にぶつかったことがありますか? その後に選んだ選択はどのようなものだったでしょうか?
高い壁を目の前にした時、踏みとどまるのは悪いことじゃない。大事なのはその後。「まぁいいや~」と諦めて後退するか、「やってやる!」と困難を糧にして前進できるか、なのかもしれませんね。

(取材/執筆:ゆうた)
MY FUTURE CAMPUS学生スタッフ。高校二年生からMFCに参加し、大学一年次にMFCと(株)JTBが共同で主催したビジネスコンテストで優勝経験あり。2016年3月に参加者から運営側へと回り、MFC学生スタッフとして長期インターン勤務をしている。

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