「とある女性の転換期」~つよく、やさしく、私らしく。女性公認会計士たちの選択vol.3~

グローバルに働きたいという女性は近年増えてきています。しかし海外で働くには文化の違いや仕事上の不安がつきものですよね。今回は、公認会計士としてアメリカを中心にグローバルな環境で活躍してきた女性を取材しました。果たして公認会計士のグローバルな仕事とはどのようなものなのでしょうか?

登場人物

後藤さん有限責任監査法人トーマツ マネジャー 2010年12月入社
京都大学農学部 食料・環境経済学科 2011年卒業
論文試験(二次試験)合格後、大学4年生の12月からトーマツで正社員として働く。趣味は世界中の友達と話すこと。毎週、何カ国もの友達とスカイプなどを通してコミュニケーションを取っている。色々な国の仲間と会うために海外へ行く事も多い。

かなえMY FUTURE CAMPUS学生スタッフ 早稲田大学文学部美術史コース5年生
趣味は美術館・寺巡り・仏像。3年生の時1年休学してフランス留学をした。友人が公認会計士の資格獲得に向けて猛勉強中。

バックパックの経験が、視野を広く持つ機会と自信をくれた

かなえ

そもそも後藤さんが公認会計士を目指されたきっかけは何ですか?

後藤さん

大学1年生の時にバックパッカーをして出会った様々な国の友人とコミュニケーションを取るうちに、広い視野を持って自分の専門領域以外のことも学びたいと感じたんです。帰国後は他学部の授業も受けるようになり、その一環で簿記も勉強していました。

かなえ

私も留学経験がありますが、様々なものを見る機会が海外にはありますよね。

後藤さん

そうですね! その中で簿記の勉強が特に面白くて、先生から公認会計士へのキャリアアップを勧められ、知人の会計士に監査法人の案内をしてもらったんです。その時、すごくキラキラしてカッコいい世界だなと魅力的に映りました。

かなえ

元々は農学部だったんですよね? 他学部の専門知識も深めていく中で、他の選択肢との迷いはありませんでしたか?

後藤さん

大学生には色んな選択肢があって、時間の使い方も自由に決められますよね。たくさんの時間を資格の勉強に注ぎ込むこと、そして色んな資格の中で会計士を選ぶことには、正直迷いはありましたよ。ですが、当時出会った会計士の方が「何年経っても学びがあって飽きない」と楽しそうに話してくれて、決心しました。あとは、英語を使って海外で働く機会が多いのも目指した理由の一つでしょうか。

かなえ

後藤さんはグローバルに活躍する機会が多いんですよね? どのような形で海外勤務をしているのでしょうか?

後藤さん

私が働く有限責任監査法人トーマツは、世界150を超える国・地域で監査やコンサルティングサービスなどを提供しているデロイトの一員です。その背景から、約2年間、アメリカのシカゴ事務所に勤務しました。海外に行く機会としては、日系企業の監査の仕事で出張に行くこともあります。日本の公認会計士資格を持っていれば、日本だけでなく海外で働くという選択肢が持てるんです。

かなえ

海外勤務の不安などはありませんでしたか?

後藤さん

海外で働くとなると、新しい文化に入っていかなければならないイメージがありますが、実は監査の考え方やシステム自体は世界共通で、かつ、会計基準も世界で統一されようとしているのが現状です。なので、日本の資格や経験を海外で生かせるし、海外で得た経験を帰国後また日本で生かすことができます。世界で働くことは、キャリアアップへ近づける機会なんですよ。

かなえ

そうなんですね。後藤さん自身、海外勤務での苦労はありましたか?

後藤さん

日本と公認会計士試験の内容が少し違うことや、監査法人に入社するまでに必要な資格獲得の決まりが日本と異なることが要因で、自分が知っていることを海外の人たちが知らなかったり、逆もまたしかりということはありましたね。あとは、会議は当然英語なので、緊張して意見をなかなか発言できず、悔しい思いをすることがたくさんありました。

かなえ

そういった時にどんな工夫をされたんですか?

後藤さん

お互いに相手を理解するための努力と、自分の意見を臆せず発信していくようにしました。現地の人と知識の幅や深さを揃えたかったのと、同じ苦労を経験しようと思い、シカゴ赴任中に米国公認会計士の資格を取得しました。また、入社1年目で経験も知識もまだ浅い現地の後輩の勉強を手伝ったり、プライベートでも食事に行って相談にのったりしていました。もともと人とコミュニケーションを取ることが好きなので、たくさんの人と理解し合えるようにしていましたね。

かなえ

グローバルに働く中で、やりがいを感じる瞬間はどんな時ですか?

後藤さん

現地クライアントのCEOやCFOから直接頼っていただける機会が増え、「後藤さんがいてくれて本当に良かった」と言っていただけることがあり、一人のプロフェッショナルとして海外でも活躍できるやりがいと嬉しさを感じました。この経験は、「若くて女性だから相手にされないのではないか?」「信頼されないのでは?」という当時の不安を払拭してくれ、自分に自信が持てるようになったきっかけでもあります。

公認会計士とは企業と社会のために「安心」を届ける仕事

かなえ

後藤さんの具体的なお仕事内容と公認会計士の魅力を教えていただけますか?

後藤さん

監査業務とコーディネート業務を主に担当しています。監査業務というのは、企業が作る財務諸表等に大きな間違いが無いか、保証をするお仕事です。いきなりですが、「監査」と聞いてどんなイメージを持ちますか?

かなえ

率直に言うと、堅くて馴染みのないイメージです。

後藤さん

そうですよね。企業の方や経営者の方からしても、不正や間違いが発覚してしまう可能性があるので、監査される側は怖いと言う方も多いです。ですが、監査をしっかりしていないと大変なことになるんですよ。

かなえ

大変なこととは一体何でしょうか?

後藤さん

世の中に公開されている企業の売上や営業利益などは、企業の経理の方が数字を取りまとめた財務諸表というものがベースになっています。公開されている数字を見て、投資家は会社の株を買ったり信頼を持つようになりますよね。もし企業が公開している数字に不正や間違いがあると世の中に与える影響はとても大きいものになるんです。そのようなことが起こらないように、私たち監査人はしっかりとその財務諸表が信頼できるものなのかを保証する使命を持っているんです。監査には、公認会計士資格が必要で、資格があるからこそ保証を与えられるんですよ。

かなえ

とても分かりやすいです! もう一つのコーディネート業務とは何ですか?

後藤さん

デロイト トーマツ グループは、監査だけではなく、コンサルティングや税務、M&Aに関するサービスも提供します。コーディネート業務というのは、それらを必要とするお客様とトーマツのチームを繋げる営業職のようなお仕事です。公認会計士の仕事って数字と向き合うだけではないんですよ。

かなえ

営業みたいな仕事もするんですね! 知らなかったです。

後藤さん

営業というと自社の利益を求めるというイメージになりがちですが、私たちの持っている知識を活かして様々な企業、そして社会がより良くなるようなサービスを提供したいという思いを持ちながらやっています。

かなえ

今までは、数字と向き合うことだけが公認会計士の仕事かと思っていたのですが、そんなことないんですね。監査をしたその先もしっかりと見据えているような印象を受けました。

後藤さん

そうですね。監査の魅力って、企業の先にいる投資家や社会の人々へ間接的に安心を届ける役割を担っていることだと思っています。
試験勉強の科目に「監査論」というものがあるのですが、その中に、公認会計士は「資本市場を守る番人だ」という表現があるんです。監査は、世界中の人々に保証と安心を与え、ビジネスを支えているという誇りが持てる仕事です。

世界有数の女性が働きやすい会社

かなえ

日本において女性公認会計士の割合は少ないとお聞きしたことがあるのですが、海外でもそうなんでしょうか?

後藤さん

国によっては、女性の方が多いこともあります。シカゴでは、新たに入社する職員の6~7割が女性でした。女性がマネジャーになれる機会も多くあり、そういった点も含めて、デロイトは女性が働きやすい会社ランキングに、何度も選ばれているんですよ。デロイトに限らず、公認会計士は女性にとってとても働きやすいフィールドが整っています。

かなえ

どういった点が働きやすいのでしょうか?

後藤さん

2点あげられると思います。まずは、若い女性も活躍できる環境がある点です。企業によっては年功序列や女性であることがキャリアアップの妨げになることがありますが、公認会計士はそういったものが関係なく、自分の実力が評価されやすい文化があります。

かなえ

2つ目はどういった部分ですか?

後藤さん

出産・育児をしている女性が時短勤務を取りやすい風土が整っている点です。時短制度では、残業なし、週休3日など、自分で働く量を決められるので、この制度を活用しながら仕事と家庭を両立している女性がとても多いんですよ。また、監査という仕事は年間スケジュールが把握しやすいので、プライベートでは長期休暇をとって旅行に行くことも定番です。

かなえ

そうなんですね。女性として働く上での価値観や軸をお聞きしようと思ったのですが、そもそも「女性」を意識する風土ではないのでしょうか……?

後藤さん

まさにその通りですね。「女性だから」と消極的に考えたことが、会社に入ってからありません。入社前から、結婚や出産を見据えて、働きやすいところが良いなとは思っていましたが、監査法人ではその心配は杞憂に過ぎませんでした。プロフェッショナルとしての役割を期待されているので、女性だから出世が遅いとか仕事が任されないといったことは、一切無いんですよね。女性ということを良い意味で気にしなくて良い環境なんです。

かなえ

後藤さんは最近ご結婚なさったのですよね。大きなライフイベントを経験されて、今後のキャリアにおける展望はありますか?

後藤さん

何事も妥協しないで生きていきたいと思っています。時間は限られているので、家庭を優先して仕事をセーブしなければならない場面もあると思いますが、最初から諦めたりしないで仕事にも全力でチャレンジしていきたいです。また出産・育児を通して休みを取ることになっても、公認会計士は資格業で手に職がありますから、いつでも戻ってきやすいんですよね。先ほども言った時短制度もありますし。公認会計士には女性が働きやすい環境がたくさん整っているので、家庭との両立も可能だと思っています。

かなえ

最後に公認会計士を目指す学生へメッセージをお願いします!

後藤さん

公認会計士試験を受け合格を目指すというのは、努力をコミットしないといけない分、大変な決断だと思います。でも、それを超えた先に得られるものは想像以上に大きいです。私自身も入社してから繋がった人脈や世界中に広がったネットワークは全て、試験を乗り越えた先にあるものでした。「やって良かった」と思えるよう、是非頑張ってみてください!

かなえ

ありがとうございました!

取材後記

かなえ

いかがでしたか? 一人の女性として、こんなにも世界で活躍できるフィールドがあり、世界のCEOやCFOから「いてくれて本当に良かった」と言ってもらえる機会はなかなか無いですよね。さらに、海外でも日本でも女性としてのキャリアアップが目指しやすく、働く環境も整っているなんてとても魅力的だと思いました。グローバル志向の強い女性は目指す価値がありますね! 公認会計士というグローバルに活躍できる職を手に、未来を切り拓いてみてはいかがでしょうか?

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