【学生団体 Bizjapan】韓国の若者はなぜ韓国を離れているのか


「脱朝鮮」という言葉が意味すること

「ヘル朝鮮」という言葉が流行っている。インターネットから広まることとなった、韓国社会の生きづらさを「地獄(=ヘル)のような朝鮮」と自嘲して表現したスラングである。
しかし、最近では「ヘル朝鮮」という言葉とともに、「脱朝鮮」という言葉も流行るようになった。
「脱朝鮮」という言葉は、「ヘル朝鮮」から「脱出する」ことを意味する。つまり、長年の不景気で、国内で希望を失った韓国の若者が「韓国を離れる」そのものを目的として韓国を離れることを意味する。

「ヘル朝鮮」とは

前述の通り、「ヘル朝鮮」という言葉が指すのは、韓国という国、社会において、それが息苦しいところであることを比喩的に表現した言葉である。
これは長年の経済不況により、若者の失業率は10%前後になっていること、つまり長い期間において不景気が続かれたことに起因する。
これによって、大学を優秀な成績で卒業しても、高い「スペック」を持っていても、自分が志望する企業に就職できない学生が増え、自分の立場を自嘲的に表現したのが、「ヘル朝鮮」である。

加えて、財閥大企業と中小企業との賃金、待遇などにおいて格差が大きいため、若者は中小企業に就職したがらない。これによって、労働市場で就活生と企業のミスマッチが頻繁に発生している。このようなミスマッチの中で、大企業に就職できなかった学生は就活浪人をしたり、競争率100倍の公務員試験に挑んだりするようになる。韓国の激しい受験戦争から生き残り、高い「スペック」を持っている韓国の学生が、就職の門戸でさらに激しい競争に強いられるのである。

最近は、このミスマッチにより、就職に失敗した学生たちが、海外に目を向け、韓国を離れている。これがいわゆる「脱朝鮮」現象である。もちろん、昔から脱朝鮮はあった。だが、近年の脱朝鮮はその意味が違う。それではなぜ今のような脱朝鮮が行われているか考えてみよう。

過去と現在の脱朝鮮

韓国の現代史において、脱朝鮮は、次の三つに分類できる。

最初は、朝鮮戦争以後の開発経済成長期、つまり1950年代から1980年代までに行われた第一次脱朝鮮である。これは、もっと豊かな生活や、子供の教育のために行われた脱朝鮮であった。
次は、新自由主義とグローバリゼーションの中で行われた第二次脱朝鮮である。これは、グローバル時代のレベルアップのために行われた脱朝鮮であった。
最後に、長年の経済不況によって行われている第三次脱朝鮮である。これは、「韓国を離れる」ための脱朝鮮である。国として、韓国が政治的に自己を犠牲する「国民」を作ることに失敗し、経済においても「労働者」として住みよい国を作ることもまた失敗した反証でもある。

責任を問われた過去の政権

脱朝鮮というのは、韓国の若者たちが自己の立場を自嘲する言葉であり、これによってさらに社会の中でネガティブに注目されることになった。実際にこのような言葉に大きな意義を感じていない若者も多いのだ。しかし、脱朝鮮という言葉が流行したことには意味がある。なぜこのような言葉が、社会的に重視されているのか、一度考えてみる必要がある。韓国の政治家と企業家は、なぜ韓国を若者たちにとって住みよい国にすることに成功できなかったのか。

そのような「ヘル朝鮮」に対して不満が爆発したのが、昨年の朴槿恵政権の弾劾である。韓国の長い経済不況、そしてそのような不況の解決に失敗して、社会的格差が拡大したことに対する怒り、朴槿恵大統領の側近問題など、多様な要因による変化であった。そしてその象徴となった朴槿恵大統領および財閥企業のトップは、失脚し、訴追されることとなった。

これは努力しても成功できない、努力より重要なのは「親の年収」、「社会的階級」であるという現状に対する国民的な不満が爆発した事件である。つまり「相対的貧困」などの強烈な心理的要因に起因したものである。

ムン・ジェイン政府に対する期待感

発足から100日を経た韓国のムン・ジェイン政権は、現在の韓国が「ヘル朝鮮」のような状況にあることをよく理解している。ムン政権は、政治改革、経済の民主化、社会保障の強化など、今の韓国国民が望んでいる改革を、素早く、強く推進している。これを支えるのが、75%を超える圧倒的な支持率である。ただ、韓国国民は、過去ノムヒョン政権の失敗の記憶がある。ノムヒョン政権は、国民の「新しい政治」の希望によって生まれたが、経済面で新自由主義的な政策をとったので、政権末期には支持率が著しく低下してしまった。そして韓国の左派政党は10年間保守政党に政権を奪われた。

このような歴史を経て、今の韓国国民は、不安が半分、期待が半分の状態である。だが、昔の李明博や朴槿恵大統領とは違って、彼が国民とのコミュニケーションを重視している点は高く評価されている。今の韓国社会の改革に成功できるか。韓国国民は、注意深く観察している。

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