「とある女性の転換期」~つよく、やさしく、私らしく。女性公認会計士たちの選択vol.2~

結婚・出産・育児……。女性が自身のキャリアを描く時に考えるライフイベントです。今回は、人とは少し違うタイミングでライフイベントを乗り越え自分の思い描いたキャリアを叶えた女性公認会計士の方を取材しました。果たして公認会計士であることがキャリアにどう影響したのか?女性特有のライフイベントと仕事の両立に悩んでいる方、必見です。

登場人物

松岡さん松岡公認会計士・税理士事務所代表。高校在学中に長男を出産、高校卒業後は税理士事務所に勤務しながら、日商簿記検定3級、2級を取得。21歳で離婚後は息子を一人で育てると決意し日商簿記検定1級、全経簿記検定上級を取得後、公認会計士試験に挑戦。有限責任監査法人トーマツ(東京事務所)での就業を経て独立。メディア出演も多数あり、雑誌・著書の出版も行う。

かなえ
MFC学生スタッフ。早稲田大学文学部美術史コース5年生。趣味は美術館・寺巡り・仏像。3年生の時1年休学してフランス留学をした。友人が公認会計士の資格獲得に向けて猛勉強中。

数学が苦手だった高校時代、それでも公認会計士を目指した理由とは?


kanae

本日はよろしくお願いします!さっそくですが松岡さんはどういった経緯で公認会計士になられたのでしょうか?

nakamura

まず、ライフイベントのタイミングが少し人とは違いますが私は高校生の時に長男を出産しました。その後21歳で離婚をしたのですが、養育費はもらわず自分で稼いだお金で息子を育てようと決心したんです。それが公認会計士を目指し始めた第一歩ですね。

kanae

そうだったんですね。でも、どうして公認会計士を目指したんですか?他にも色んな選択肢があると思うのですが。

nakamura

きっかけは高校生の時に簿記の勉強を始めたことです。出産を控え自宅学習をしていた際、学校の課題を自宅で勉強するだけでは学校に示しがつかないと思い簿記の勉強を始めました。資格を取得して、卒業後は一般企業で経理がしたいと思っていたんです。なので高校卒業後も家事・子育て・仕事と平行して勉強を続け、22歳の時に全経簿記上級、23歳の時に日商簿記1級に合格しました。

kanae

最初は一般企業を希望されていたんですね。そこからどうして公認会計士に方向転換したのでしょうか?

nakamura

最初は公認会計士のことを知らなかったんです。簿記1級の勉強を一緒にしていた友人が「簿記1級が終わったら会計士になる」と言っていて。私の父が税理士だったこともあり、税理士のことは知っていたのですが公認会計士のことは全く知らなくて、「公認会計士って何!?」って思ったんですよ(笑)

kanae

ひょんなきっかけで知ったんですね。そこから公認会計士を本格的に目指した経緯はどういったものだったんでしょうか?

nakamura

一般企業の経理として仕事をするとなると、子供が大きくなるにつれ残業などで時間の制約も増え子供の側に居てあげられないという不安がありました。その中で、時間に融通の利く環境が良いのかなと考え直したんです。

kanae

なるほど、公認会計士を目指した最初のきっかけはお子さんとの時間を持ちたいということだったんですね。

nakamura

公認会計士試験に合格すると、大半の人は監査法人に就職します。その後のキャリアも選択肢が多く、仕事と家庭のバランスをコントロールしやすい魅力的な資格に思えたんです。

kanae

公認会計士の勉強で苦労はありましたか?

nakamura

苦ではありませんでしたが、子供のために早く試験に受からなければいけないのに、全然上手くいかない自分に「なんて馬鹿なんだ」と思うことは何回もありましたね。高校生の時も数学のテストで低い点数を取っていたので……(笑)でも数字に苦手意識があっても、電卓が使えるので式を覚えたり数字に慣れてしまえばそこまで苦ではなくなると思いますよ!

女性が働きやすい環境 ~福利厚生とグローバル~


kanae

現在の松岡さんの仕事内容を教えてください。事前に調べた情報だと、「公認会計士」は資格の名前で、実際の仕事内容は多岐に渡ると聞いたのですが本当ですか?

nakamura

そうですね。仕事内容は様々ですが、会計全般のお仕事をさせていただいています。企業の会計帳簿を作成する代行業務や、年に一回出される決算書の作成・確認業務などを主に行っています。相談を受ければ経営コンサルタントのお仕事もしていますね。それ以外にも私は税理士登録もしているので、法人や個人の方を対象に確定申告・相続税・法人税などの各申告書の作成をはじめとした税務業務を受け持つこともあります。

kanae

松岡さんは公認会計士として独立していますが、このように独立をする人は多いんでしょうか?

nakamura

女性で独立する人は少ないように思います。私の周りには、男性の方が独立している、または、独立したいという人が多いんですよ。そもそも公認会計士はだいたい男性8割・女性2割の比率ですからね。でも独立だけではなく、監査法人に入社して働くことも女性には魅力的なポイントがたくさんあるんですよ。

kanae

監査法人の魅力的なポイント?具体的にお聞きしたいです。

nakamura

監査法人では、結婚・出産を経て産休育休を取得することも出来ますし、復帰するにしても今まで通りのポジションで仕事に戻ることが出来ます。さらに育児・家事のために時短勤務もしやすい環境なので、福利厚生はとても充実しているんです。仮に監査法人を辞めてから独立をしても時間の使い方が自由にできるので、子供の世話の融通が利いたり、自分の体調を見ながら働いたりすることができます。

kanae

公認会計士・監査法人のことをあまり知らない分、福利厚生が充実しているのは意外でした。他に、私たち学生が知らないような魅力があれば教えてほしいです!

nakamura

グローバルに働く環境が整っていることですね。海外に本社や子会社がある企業の監査を行う機会も多いので、数週間の海外出張や、2年間ほど海外に駐在して仕事をすることもできます。海外駐在も珍しくないことから、語学留学プログラムもあるんですよ。

kanae

海外での活躍の場もあるんですね!

nakamura

結婚か?海外駐在か?と悩んでいる女性が逆に多いのも事実ですが、結婚・出産しても福利厚生が充実していますし、グローバルで働きたい女性もそのキャリアを描くには良い環境が整っているので、どちらを選択するにせよ魅力的だと思います。もちろん結婚してグローバルに活躍する方もたくさんいます。

女性公認会計士だからこそ聞ける「ありがとう」の言葉


kanae

公認会計士をしていて良かったと思うことはありますか?

nakamura

二つあります。ひとつは、感謝されることが多いことです。企業が成長するための経営コンサルタントをしたり、経営革新等支援業務を通じて中小企業の経営支援をしたり、法人だけではなく個人のお客様のサポートも多く、「ありがとう」と言ってもらえる機会が多いです。また、お金が絡む事柄なので、お年寄りの方や女性の方は女性の公認会計士・税理士が安心できると言ってくれる方が増えてきています。そういった意味では女性でよかったなと思いますね。

kanae

たしかに自分も誰かにお金関係のことを依頼するとなったら、相手の方が女性だと安心する気がします。

nakamura

もうひとつはお金と数字に強くなったことです。仕事を通して社会のお金の仕組みを知り、自分自身でもお金の仕組みや節約について考える機会が多いことから「知っていれば損しなくて済んだのに……」という現場を、「知ってて良かった」と思えることが増えました。取材の依頼内容もお金に関することは多いです。

kanae

仕事をする上で松岡さんが大切にされていることは何ですか?

nakamura

私にとっては子供が第一なので、仕事をする上でも価値判断の軸は「子供がどう思うか?」でした。子供への想いが仕事をする上でも大切な軸になるのは、昔も今もずっと変わりません。独立を視野に入れていたのも、子供をサポートする時間をたくさん作るようにしたかったからです。先ほど、色んな人から感謝されると言いましたが、私の背中を見て育った息子からも「ありがとう」と言ってもらえることがあり、この道に進んで良かったなと思っています。人から感謝してもらえるのも嬉しいですが、自分自身も周りの方々へ感謝と誠意の気持ち忘れずに、仕事をやりきるようにしています。

kanae

それでは最後に、学生へメッセージをお願いします。

nakamura

自己中なワガママではなく、「我がまま」に生きていってほしいです。女性は結婚・出産・育児・仕事など、男性よりも人生の選択肢がたくさんあります。どれか一つだけと言わず、全部でもいいですし「我がまま」に自分の意思を大切にして後悔なく生きてほしいです。けれど「我がまま」に生き過ぎるのではなく、しっかり周りも見てくださいね。自分の道を進むことはもちろん大事ですけど、自分の周りの人も含めて感謝の気持ちを忘れずに大切にしていってください。

取材後記

kanae

いかかがでしたか?きっとこの記事を読んでいる人の中には、女性のライフイベントと仕事の両立に悩んでいる人もいるはず。そんな方々へ、自分の軸を曲げず「子供のために稼ぎ、子供のための時間も作る」という確固たる意思を持ち続けている松岡さんの生き方・選択・キャリアはとても勇気を与えるのではないでしょうか。自分の立場に置き換えて考えた時に、公認会計士をキャリアの一つとして考え始めてはいかがでしょうか?

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