4省庁一斉取材!「政策立案」について聞いてみた! in 内閣官房内閣人事局



こんにちは、学生スタッフの青野です。
前回の理系職員への取材で公務員を志望する動機や心持ちといった部分を取材しました。では実際に仕事の時に公務員の方々がどのように政策を立案するのかというのも、なかなかイメージしにくいですよね。

政策アイデアソンに向けてのヒントコラムである今回の取材、省庁の方々がどういう風に政策を作るのか、公務員として大事なことは何なのかといったことを皆さんに聞いてみました!4者4様の回答は興味深いものでした!
※政策アイデアソンは終了しました。

登場人物

森下さん財務省 関税局関税課
南米で大使館勤務の経験がある。

近藤さん農林水産省 政策統括官付経営安定対策室
これまでWTO、TPP交渉やOECD、農産物の輸出促進などを担当。大学時代の学部学科がインタビュアー青野と同じであり、大先輩。

越智さん国土交通省 海上保安庁総務部政務課
四国の愛媛県出身、前職は建設不動産分野の国際交渉担当。

立石さん経済産業省 大臣官房秘書課
インフラ輸出担当として、過去にインドやインドネシアに日本の送電システム等を売り込んでいた。

あおのインタビュアー
東京大学農学部 4年生。

「日本がやばい」、その想いが国家公務員を目指すきっかけ

あおの

今日はよろしくお願いします。早速ですが、どうしてみなさんは公務員になることを目指したんですか。

越智さん

将来を考えた時に、生活の身近なところでわかりやすく世の中に役立てるのが、インフラ整備の仕事かなと思ったのが最初です。こうした仕事に携われる場所を探して国土交通省に行くことを決めました。

近藤さん

私は、私自身がクリスチャンで、人間に与えられた「土地を守り、土地を耕す」という役目を、深く追求したいなという思いがあったことや、国際協力に関わる仕事をしたいと考えたことが、農林水産省への入省を決意した理由です。

森下さん

私は学生の頃から「日本を良くしていきたい」という強い思いを抱いており、国家公務員になりたいと考えていました。その中で、財務省では、政策や制度を財政という横串を通して日本全体を網羅的に俯瞰できる、という点に魅力を感じ、入省を決めました。

立石さん

私も就職活動を経て、「日本はこのままじゃやばいんじゃないか」というふうに思ったことがきっかけです。先人たちの努力によって築かれ、現在、自分たちが享受している豊かさや幸せが将来なくなってしまうのではないか、現在、日本に横たわる社会問題を放置したら、子供や孫の世代から、私たちの世代の責任で大変なことになってしまったと言われそうだなと、これは恥だなと思い、公務員という世界に飛び込んで問題を解決する道を選びました。

あおの

みなさんそれぞれ違う背景があるんですね。民間企業でできることもあるんじゃないかという風にお見受けしたのですが、それでも公務員を選ぶ理由はなんでしょうか。

越智さん

私であれば、インフラ運営・経営という分野に取り組みたかったのですが、新しいビジネスを始めるには、単に儲かる仕組みを作るのみでなく、災害が起きた時はどのように復旧するのか、どこまでが公共の役割かなど、様々な要素を考慮して制度設計していくことが必要と就活中に気づきました。そのような役割を担う公務員の仕事に興味を感じました。

近藤さん

深く一つのテーマではなく、幅広い分野を取り扱いたかったので、農業者支援、地域振興への取り組みなどが幅広くできるという点が、魅力的でした。

立石さん

立案時の苦労を乗り越え、目に見える政策の波及効果。

あおの

公務員の仕事の魅力はどういった部分でしょうか?

森下さん

自分の担当業務が新聞の一面に掲載された時には、社会的インパクトの大きさを実感しました。

近藤さん

輸出政策担当だった時は、毎月出る輸出統計の数字を見て一喜一憂していました。効果確認ができたり、政策が現場で波及していく様子をみれたりするのはやりがいを感じるところです。

立石さん

さらにいうと、すべての仕事が良くも悪くも自分次第なんですよね。努力すれば政策は効果が出るし、努力しなければ効果が出ないので、日々気を引き締めて業務をしています。

あおの

逆に大変だった部分はありますか。

近藤さん

自分のマインドセットを変えるのが大変でした。一昔前であれば農業交渉は「守りの姿勢」でやっていたのが、TPP交渉も経て日本農業の海外マーケットへの進出を目指すようになってからは「攻めの姿勢」へと省全体が変わり、自分も思い込みの部分を、仕事を通じて変えさせられてきました。

立石さん

インドでインフラ輸出を担当した時のことですが、口頭での約束があっさりと破られることはしばしば。文化の違いによる衝突が本当によく起きて、海外ビジネスがどれだけ難しいのかというのを実体験で理解しましたね。

あおの

他省庁や民間機関、海外国と協働する時に、どういうことが大切だと考えていますか。

越智さん

私は、海外での交渉前に、企業回りを一通り行い、問題や要望を聞いてから、交渉スタンスを決めるなど、自分の「日本代表」としての役割を意識していました。また相手国の事情にも耳を傾け、「相手国と共通の課題や目的」を持って、解決策を考えていく姿勢を大事にしていました。

森下さん

各省合同で政策を考える際には、省庁毎に異なる方向性を持っていることに気づかされます。政府として同じ方向に進むことができるよう、各省が持つ異なる方向性の根底にある考え方や背景を理解した上で、異なる部分をしっかりと調整することが大切だと思います。

森下さん

経済を活性化させるためには安定性を意識すべき

あおの

今回のアイデアソンは、日本経済活性化のための施策がテーマですが、各省庁において活性化のためにはどうすることが必要だと考えていますか。

立石さん

一つ目は、イノベーションが起きやすい環境作りなど、企業が元気になるための産業政策。二つ目は、国外にて日本の企業が稼ぎやすい環境を整備する通商政策。三つ目は、全ての産業の土台となるエネルギーを中長期的・安定的に確保し続けるための資源・エネルギー政策。この3つを現在行っていますね。(※1)

近藤さん

日本食のマーケットは将来縮小することは避けて通れないです。従って将来的に拡大するであろう海外マーケットに日本農業が進出するための土台作りをしています。各省庁の持っているツールを組みあわせて日本の農水産物の輸出戦略を考えたりするなど、政府全体で取り組んでいる最中です。(※2)

越智さん

国交省では、経済の活性化に二つの観点から取り組んでいます。一つは生産性や競争力などの向上を目指すという観点です。そしてもう一つが経済基盤を守り、経済活性化を支えるという観点です。(※3)

あおの

後者はどういう意味なのでしょうか。

越智さん

社会生活の安定のためには法律による規制なども必要なのですが、行き過ぎた規制は経済成長を阻害してしまいます。例えば、より安全な建築基準は必要ですが、実態を無視して急に規制を強めると経済に悪影響を及ぼす可能性があります。また、災害に強い社会づくりなども重要です。国民の生活や経済の基盤を守りつつ、いかに経済を活性化させるのか両立を考えることが大切ですね。

森下さん

経済基盤の安定は経済成長に必要不可欠であると考えています。南米の大使館で勤務していた時には、不安定な経済情勢が国家の成長を阻害するという状況を目の当たりにし、財政金融システムの維持及び安定的な運用の重要性を改めて認識しました。

あおの

国際的に見て日本の強みと思われるのはどういう部分なのでしょうか。

越智さん

やはり日本人の誠実性は高く評価されていると思います。相手国に納品し終わった仕事に対し何かを言われても、相手と話し合ってその要望をしっかり聞き入れ、細やかに改善するんですね。これは他の国では、なかなかできないことですし、信頼性の高い仕事は、次のビジネスを呼び込みます。

立石さん

技術力の日本の優位性は未だに健在だと思います。例えば世界一といわれる日本の送電技術(※4)は、再生可能エネルギーが大量導入された系統においても、送電線の容量を最大限活用することができます。こうした技術は、電力供給が不安定になりがちな新興国のニーズとうまくマッチしていて、実際にインドに売り込んだことも過去にあります。

近藤さん

食の面では、四季折々の美味しい高品質なものを作ることができるというのは生産分野の強みです。外国要人の接待では日本食の人気が高く、外交ツールとして非常に重要です(笑)。

あおの

日本食は世界的にも受けがいい料理なんですね(笑)。

近藤さん

過去OECDの仕事の際に、自由貿易絶対派に対抗し、会合の場での自分たちの陣営を強化すべくこの際近しい立場であったフランスやスイスなどの国々に、寿司行こうぜって言って寿司や日本食を食べさせたこともありましたね。

越智さん

日本の国際的プレゼンス向上のために全省庁が奔走

あおの

ヒト・モノ・カネ・データの結びつきについて現状はどうなのでしょうか。

立石さん

最近では、データという「見えないモノ」が価値を持ち始めています。世界的にAI・IOT・ビッグデータが盛り上がっていますが、日本が遅れている部分もあります。ネットワーク外部性が強く働く、つまり、先行者利益がより強く働くこの分野において、日本がどのように勝っていくのか、官民一体となって取り組んでいる最中です。

越智さん

まずは、ヒトの結びつきを大事にしています。海外交渉の際には、日本の状況などを見てもらって、どうやって問題を把握し、どう解決していくべきか、相手に考えてもらうことが大事なことだと思っています。

近藤さん

データという点では、日本農産物の海外進出を目指して行く際に、どうやって情報の付加価値をつけるのか、ということが大きなテーマだと考えています。付加情報によりその商品を選択してもらう確率が高まるようにひとつのツールとしての利用法を考えていますね。

森下さん

ヒト・モノ・カネ・データの動きがさらにグローバル化する中で、貿易のセキュリティ確保と円滑化を両立させることが国際物流における大きな課題となっています。そうした中で、国際標準に則ったAEO制度(※5)を実施し、輸出入申告をはじめとする税関手続や関係省庁の手続きの迅速化に貢献しているNACCS(※6)を活用しています。

あおの

政策を考える際には2020年前後はターニングポイントとして考えるべきものなのでしょうか。

森下さん

財政金融システムの維持及び安定的な運用の重要性は2020年前後で変わるものではありません。経済成長に不可欠な経済基盤の安定に資するよう、財政政策やマーケット関連政策に常日頃から取り組む必要があります。

近藤さん

2019年に輸出額1兆円という目標を掲げているので、1兆円達成のため、また達成後の更なる拡大のための土台作りを現在行っています。例えばオリンピック前後にて選手村の食事で提供する農産物の基準を、日本全体の農産物の基準にしようということにも取り組んだりしています。

越智さん

日本が課題先進国としていろんな課題に対応しているという実績を海外にアピールして、将来のビジネスの売り込みにつなげるという点で2020年の東京五輪は、日本シンパのヒトが増えるためのターニングポイントとして考えるべきものだと思います。

あおの

最後に政策アイデアソンに参加する学生にメッセージをお願いします。

森下さん

利害関係者の少ない学生という立場で様々な社会人の方のお話を聞くことができるのは今しかありません。その中で、自分自身の軸を持って就職活動に取り組んでください。その軸が「日本を良くしていきたい」というものであれば国家公務員という職業は期待を裏切らないと思います。

越智さん

テーマを考えるに当たって、相手方、発注する側が何を求めているのか、彼らの気持ちを考えるということが大事だということを忘れないでください。また公務員は仕事の社会への影響ややりがい、それによる自分の成長機会の多さは魅力的だと思うので、どんな仕事なのか興味を持っていただければなと思います。

近藤さん

農林水産業は地域の産業であり、農家の方と見聞きしたりするなどいろんな経験を基にして政策を作ることが大事です。なので皆さんの国内外での様々な経験を元にしたアイデアをいただきたいなと思っています。

立石さん

今回参加される方には、自分でこう変えたいんだという思いを持って本気で取り組んでいただきたいです。世界全体が大きく変化し、日本が置かれる環境が大きく変わる中、我々よりも学生の感性の方が今の課題にアジャストしている可能性の方が高いので、自身の感性を大切にして、自分の見えている世界で政策を作っていただければなと思います。

近藤さん

取材後記

あおの

実際に公務員の人がどのようにアイデアを出して立案に至るのか、それぞれの省庁の方に具体例を交えつつ説明いただき、とてもわかりやすかったです。取材のボリュームが大きすぎて今回では伝えられなかったお話もたくさんあるので、是非ともみなさん政策アイデアソンに参加していただき、当日職員の方からいろんな話を聞いてみてください!

※政策アイデアソンは終了しました。

取材後記

※1:マイナビ2019、経済産業省会社紹介ページ
※2:『農林水産物・食品の輸出促進について』、平成29年8月、農林水産省食糧産業局輸出推進課)
※3:マイナビ2019、国土交通省会社紹介ページ
※4:『送配電システムの現状と課題について<次世代送配電ネットワーク研究会の概要等>』、平成22年5月、経済産業省資源エネルギー庁電力・ガス事業部
※5:事業例AEO制度について
※6:NACCSシステムホームページ

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