イエール大学 西尾 慧吾 ハーバード大学 小松 里沙



日本中の高校生が参加するキャリア甲子園。今年で4年目を開催することになり、過去に参加していた高校生たちも、今は大学生として活躍している人も少なくない。
そんな中、キャリア甲子園2015決勝大会でファイナリストとしてしのぎを削った高校生たち二人が、海外大学へ進学するという。なぜ、日本を離れ海外へ行くのか。そしてそこに行くまでにはどんな過程があったのか?
キャリア甲子園2015で総合優勝を果たした「MOTION」の西尾くん、そして2015年大会で決勝まで残った「Fresh!」の小松さんに話を聞いた。

(*インタビュー記事は全て取材時、2017年4月時点のものです。)

キャリア甲子園2017

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登場人物

西尾さん灘高等学校卒業。同高校の生徒会長を務める。高校時代は模擬国連の日本代表にも選ばれていた。キャリア甲子園2015優勝チーム「MOTION」メンバー。9月からイエール大学に進学。

小松さん東京学芸大学附属高等学校卒業。幼少期をアメリカで過ごす。高校2年生の時にキャリア甲子園2015に参加。圧倒的なプレゼン力を披露。9月からハーバード大学に進学。

羽田MFCの責任者。留学経験はないが、大学3年生の時に経験したイギリスバックパッカーで、結構大変な経験をしたことがある(気になる人はMFCイベント会場で聞いてください)。

灘高校に入りたかった女子高生

当時高校2年生だった小松さん。彼女の人を引き込むプレゼンは本当にすごい。

羽田

お久しぶりです。本日はよろしくお願いします。さて、お二人とも大学合格おめでとうございます!

西尾さん小松さん

ありがとうございます!

羽田

キャリア甲子園2015の決勝から、もうそろそろ2年ですよ。二人は決勝戦以来の再会?

小松さん

いや、実はこないだも会ったばかりです。

羽田

え、そうなの?

西尾さん

海外大進学を希望する高校生向けの塾があるんですけど、そこでばったり再会しまして。

小松さん

あれはびっくりした! 「あれ、何か見たことある人いるけど、ひょっとしてキャリア甲子園で優勝した人じゃ……?」と(笑)。

西尾さん

課外活動してる高校生って、意外とコミュニティ狭いからね。

羽田

二人って、キャリア甲子園の時って接点あったっけ?

小松さん

いや、あんまないですねー。決勝戦の時にちょっと喋ったかどうか……というレベルです。でも私、西尾くんの通ってた灘高校に入りたかったんですよ。

西尾さん

え、なんで? うち、男子校だから女子は入れないよ(笑)。

小松さん

灘高校の文化祭の映像をテレビかネットで見て、「すごい面白そうな高校!」って思ったの。その時の映像が、灘高生徒が女装してたやつで、本物の女の子みたいで、私てっきり共学の高校なのかと思って。

西尾さん

あー、男子校は女装コンテストとかやるからね。男子校あるあるですね! 本物の女子だと思われたなら、きっと本人たちも喜ぶでしょう(笑)。

小松さん

模試の志望校に書こうとしたくらいだからね。記入できなかったけど(笑)。

羽田

あ、今は書けないんだ。僕、大学受験の時に模試はふざけて女子大ばっか志望校に書いてましたよ。

西尾さん

それはちゃんと判定は出るんですか?

羽田

A判定でしたよ。いづれも。

小松さん

迷惑ですね(にっこり)。

羽田

まぁそれはいいとして……。さて、今日はお二人に「海外大学になぜ進学するのか」って事をメインにお聞きしたいんです。二人はいつ頃から海外大学進学を考えていたんですか?

西尾さん

うーん、僕は結構ギリギリでしたよ。高校3年生の夏からです。それまで灘高の生徒会の活動とかで忙しくて、真剣に進路考え始めたのがそれくらいで。

羽田

何で海外にしたんですか?

西尾さん

それまでは海外なんて考えてもみませんでした。きっかけは、ハーバード大学に進学した先輩が帰国されて、その人の話を聞いたからですね。もともと国際関係論を学びたいとは思っていたので、多様な人が同じ環境にいる海外大学は魅力だな、と。

小松さん

でも今は東大に通ってるんだよね?

西尾さん

そうだね。せっかく合格したので、東大の文科三類に通わせていただいてます。イエールに入学するのは9月からだから、それまでの4ヶ月間も成長したいし。東大では、面白そうな授業を取ってます。

小松さん

はー……すごい。私は今は絶賛フリーターです(笑)。

羽田

小松さんはいつから海外大を考えだしたんですか?

小松さん

私は西尾くんよりもっと早くて、高校2年生の11月ですね。キャリア甲子園が終わって、また何か挑戦しようと思って。それで「ワールドスカラーズカップ」っていうアカデミックな弁論大会があるんですけど、その世界大会に出させていただいたんです。その時に思いましたね。「ああ、日本国内だけで留まらずに海外で学びたい」と。

日本と海外では「勉強」に向かう姿勢が違う

当時高校2年生だった西尾くん。模擬国連や灘高生徒会長など高校時代から大活躍していた。

羽田

何でそう思ったんですか?

小松さん

私はもともと10年以上アメリカにいて高校から日本だったので、日本の授業の方法に少し違和感を感じていたんです。先生が一方的に話して、生徒は黙々とそれを聞いてる、という。普通に話を聞いてればわからないこととか絶対あるはずなのに、誰も質問しない。「何で??」ってずっと思ってて、高校卒業後の進路を考えた時に、やっぱり自分はアメリカの方が合ってるかもしれないと。

西尾さん

あー、それはわかりますね。僕もそれ、違和感でした。日本の場合は、高校生が勉強する目的が大学受験になってしまってるんですよ。だから高校の授業中でも、生徒によっては予備校の宿題をやってたりしてて。純粋に何かを学ぶ、のではなくて“受験の為の勉強”になってしまっている。僕もそういうの、すごく疑問でした。僕は高校の授業も普通に面白かったんですけど……。

小松さん

アメリカは、先生が授業を作るんじゃないんです。生徒もみんなで一緒になって授業を作るって感じで。どっちかが一方的に喋ってるんじゃないんですよね。

羽田

ううむ、耳が痛いというか、僕はそっち側の高校生だったので何も言えませんが……。

小松さん

いや、どっちが良い悪いじゃないんですよ。ただ、私とは違うなってだけで。知らないことを見たり知ったりするのって、もっと楽しいと思うんですけどねぇ。

羽田

二人とも、海外に行く目的や理由の根本は一緒みたいですね。学ぶこと、知への欲求。いつからそうだったんですか?

西尾さん

いつからでしょうね? でも、僕は文字と数字に対する欲求は本当に小さい頃から高かったかもしれません。

小松さん

私もそうかも。文字があればすぐ読みたくなる。瓶のラベルに書かれてる文字とか、すっごく読んじゃう(笑)。

羽田

なるほど。じゃあ「もっと学びたい!」という純粋な欲求を持っている人は、海外の方が向いているのかもしれませんね。ちなみに、何で二人ともアメリカ?

小松さん

私は、もともとアメリカにいたからですね。それ以外の選択肢は考えてませんでした。

西尾さん

僕はイギリスも考えましたが、結局やめました。理由は二つで、一つは国際関係論を学ぶならアメリカの方がいいなと思ったから。もう一つは、単純にイギリスの大学の学費がめちゃ高いからです。

羽田

なるほどねぇ。海外大へ進学する方法って全然知らないんですけど、日本みたいにペーパーテストがあるわけじゃないんですよね?

小松さん

いや、ありますよ。『SAT』っていうペーパー試験が。

西尾さん

SATは、日本でいうとセンター試験みたいなものでしょうか。SATのスコアを各大学に提出するんです。あとはエッセイですね。それは大学によって様々ですが。

小松さん

イエール大学って結構変わったエッセイだったよね?

西尾さん

そう(笑)。「イエールに行きたい理由」みたいなオーソドックスなものもあれば、「アカデミックに楽しみを感じた瞬間」とか「あなたは寮にどうやって貢献できるのか」とか、クリエイティヴィティが問われるような質問が多いですね。

小松さん

ハーバードは、課外活動とか将来何がやりたいかとかオーソドックスなものが多いかも。あとは推薦状が必要ですね。羽田さんには、その説はお世話になりました。

西尾さん

あ、羽田さんに推薦状書いてもらったんだ!

羽田

キャリア甲子園に出る子は、推薦状いくらでも書きますよ! まぁ小松さんは海外大なのに僕が書いた推薦状は日本語でしたが。

小松さん

(笑)。海外大学は、とにかくエッセイですね。自分のことをめちゃくちゃ考えます。これまでのこともこれからのことも。

西尾さん

そうだね、僕もそうだった。僕は日本の大学受験の勉強もしたけど、正直、日本の受験勉強の4ヶ月間より、海外大のエッセイを書いてた2週間の方が大変だった。僕は英語が得意なわけじゃないから、それをカバーするための自分の強みって何だろうって徹底的に考え抜きました。でも、自分の事をとことん突き詰めて考える経験は凄く自分にとってプラスだったから、海外大は受験そのものがプラスになると思う。

羽田

これ、聞いて良いのかわかりませんけど、小松さん、ハーバード受かりましたって報告くれたじゃないですか。でもそのあとに「スタンフォード受けるからまだハーバード行くかわからない」って言ってて。僕、それ聞いて「???」って思ったんですよ。ハーバードって言ったら世界トップだし有名だし、スタンフォードも確かにすごいけど、何でハーバード素直に行かないの? って。

小松さん

それ、よく言われるんですけど、日本は有名な大学に行くことが良しとされてますけど、アメリカはそうじゃないんです。フィット感というか、自分に合うか合わないかが大事で。だって私、ハーバードは受かったけどスタンフォードは落ちましたから。

羽田

あ、スタンフォードは落ちたんですね。

小松さん

はい。でも、何となくわかってました。スタンフォードの先輩よりハーバードの先輩と話してる方が何となくフィットする感じがあったし、自分にとって合う合わないが受験の時から分かるんです。さっき西尾くんが言ってたみたいに、そこまで自分のことを追い込んで自分のことを理解するから。

西尾さん

そうですね。だから大学に入った後の先輩を見てると、みんな結構エンジョイしてますよ。自分に合うんでしょうね。日本だと偏差値が最重視ですけど、アメリカは上位の大学に受かっても、それより下の大学に落ちるのは珍しいことじゃないんです。

海外大学進学に興味のある高校生へメッセージ

キャリア甲子園で繋がった縁がまたこうして繋がる。人生は面白い。

羽田

なるほどー、日本と全然違うってことはわかりました! さて、夏からお二人とも渡米して海外で学ぶわけですが、学生生活で楽しみにしてることとか、将来こうなりたい、みたいなのってありますか?

西尾さん

僕がイエールでの学生生活で楽しみにしているのは、様々な国から来ている人たちと切磋琢磨できる事ですね。僕は将来、研究者になりたいと思ってるんです。高校時代にやっていた模擬国連の活動の中で、「どうして人は争うんだろう」ということに人生をかけて取り組みたいと思ったんです。その一歩として、多様な人種がいるアメリカで、しっかり学んで来たいと思っています。

小松さん

西尾くんの後に話すのは嫌だなぁ……(笑)。私はまだそこまで明確に将来のビジョンはないです、正直言うと。でもぼんやりとですが、建築や都市計画の方面に進みたいな、と思ってはいます。

羽田

へぇ! どうしてそう思ったの?

小松さん

いや、きっかけは家のポストに入ってる物件のチラシなんですけどね(笑)。私、あのチラシ見て間取りとかに思いを巡らすのがすごく好きで! そこから家とか建物とか、その集合体の都市に興味持つようになったんです。アメリカ生活が長かったので、東日本大震災とかすごく辛かったし、日本を災害に強い国にしたいなぁってぼんやりとイメージしてます。私はハーバード大学の生活で培われるネットワークをすごく楽しみにしてるので、周囲の人の影響を受けながら、自分の世界をどんどん進化させていきたいです。

羽田

ほおお、きっかけはチラシでも、そこから将来への展望につながることもあるんですな……。さて、それでは最後に海外大に興味がある高校生に是非メッセージを!

小松さん

海外経験ない人は特に抵抗あるかもしれないけど、英語力をバリアに考えない方がいいと思っています。英語力は、飛び込んでしまえばちゃんと伸びる。だからそこは安心してください。それよりも、今持ってる好奇心をそのまま活かすにはどうすればいいかって考えて欲しいですね。海外大学受験の体験は、そのまま自分の肥やしになるはずです。チャレンジするだけで価値があるので、ちょっとでも興味があったら食わず嫌いしないで挑戦してほしいですね。

西尾さん

海外大学を受験するとなると、一芸を持っていないといけないと思いがちです。でも、エッセイを書く過程で自分のことを知ることができるから自信にもつながります。海外大の受験は受験勉強で終わりじゃなくて、自分を成長させる機会だと捉えてください。そうすれば受験自体を楽しむことができるはずです。

羽田

なるほど、ありがとうございました! 日本にいる間にまた話聞かせてください! 応援してます!

西尾さん小松さん

ありがとうございました!

取材後記

過去のファイナリストも参加!キャリア甲子園説明会、8月開催!


小松さんと西尾くんに出会ったのは、キャリア甲子園2015年度大会。その時のご縁でこうしてまた再会できるのは、主催者としては単純に嬉しい限りなのだが、そこで出会った二人が同じアメリカの大学に進学するというのも何かの縁を感じる。彼らの話を聞いていて思ったのは、「純粋に自分の興味分野や生きるスタンスを突き詰めたらその先にあったのがアメリカだった」という話で、根本は決して大げさなことでも特別なことでもないのかもしれない。
ただ、今の日本では周りの意見や周りの決定と異なる道に進むこと自体が勇気のいることだし、意外と難しいのも事実。そこを一歩踏み出す為には、理屈ではなくなんらかの原体験が必要になるはずだ。
僕ら企業ができるのは、そうした体験ができる機会を作ることだけ。キャリア甲子園がその一つのきっかけになってくれるならとても嬉しい。キャリア甲子園2017が、楽しみだ!

(取材/執筆:羽田啓一郎)
MY FUTURE CAMPUS責任者。企業の新卒採用の担当営業を経験後、キャリア教育事業の立ち上げを担当。大学の嘱託講師や政府の政策研究委員、新聞の連載コラムなども経験あり。格闘技と90年代のUKロック、apple製品で価値観の大半ができている。

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