早稲田大学 長谷川奨


大学生対象としては国内最大規模のビジネスコンテスト、キャリア・インカレ。賞金100万円、ニコファーレでの決勝プレゼン、日本経済新聞紙面に掲載、という破格のインセンティブと、最高峰の栄誉をめがけて、日本全国、また海外大学からもエントリーが集まった。
学生団体や学生起業など、精力的に大学生活を送るカリスマ大学生達がその頂点を目指す中、一人の大学生がこっそりとキャリア・インカレにエントリーをしていた。
彼こそが、早稲田大学長谷川奨。JALが指名した大学生代表チーム「RASK」のリーダーである。

(*インタビュー記事は全て取材時、2017年5月時点のものです。)

普通の学生の、普通の学生生活

高校サッカー部時代。後列右から3番目が長谷川くん。坊主だ!

長谷川

お久しぶりです! 今日はよろしくお願いします!

羽田

お久しぶりです! 最近忙しいんですか?

長谷川

そうですね。結構忙しいです。就活生ですから……。

羽田

そんな中、すみません! 今日はインタビューよろしくお願いします!
長谷川くんって、早稲田大学ですよね? どうして早稲田に行ったんですか?

長谷川

高校からの内部進学なんですが、小さい頃から早稲田のスポーツを見ていたので、早稲田大学に入りたかったんです。

羽田

おぉ、なるほど。今、3年生ですが学生時代はどんなことを?

長谷川

バイトとサークルですね。

羽田

普通ですね。

長谷川

すみません……。

羽田

いや、謝ることじゃないんですが(笑)。どんなバイトやサークルをやってたんですか?

長谷川

大学1年生の頃、番組制作に興味があったので、バイトはテレビ局でADなどをやっていました。サークルは放送研究会に所属しています。

羽田

へぇ、どうしてそんなテレビが好きなんですか?

長谷川

高校時代にサッカー部に所属していたのですが、一年生の時、都大会の決勝に進出したんです。それが地上波のテレビで放送されたんです。取材も高校に来てくださって。

羽田

ほお。

長谷川

それで、高校内がすごく活気づいたんですよ。高校中が一体感というか、熱がこもって。そんなパワーを生み出せるテレビってすごいなって思って。僕もすっごく盛り上がりましたし。

羽田

なるほど。長谷川くんもテレビ出たんですか?

長谷川

あ、はい! サポートメンバーとして先輩たちにドリンク渡しをしている姿が映りました!

羽田

なぬ……プレイヤーとしてじゃないんですね。

長谷川

うちの高校、強い選手たくさんいたんですよ。

羽田

なるほど。でもそれだけテレビ好きなら、テレビ局が就職希望じゃないんですか?

長谷川

うーん、2年間テレビ局でバイトしてみて、もっと自分に合う業種があると思ったんですよね。

羽田

なるほど。テレビ業界への熱い想いが聞けると思ったのですが……。

長谷川

すみません……。

不完全燃焼だった大学生活を変えるために

羽田宛のメッセージのスクショ。ここから長谷川くんの快進撃が始まる!

羽田

僕、長谷川くんのこと覚えてましたよ。キャリア・インカレ出るときに、僕に直接メッセくれましたよね。

長谷川

そうですね。羽田さんがfacebookで学生の挑戦を呼びかけてるのを拝見して、メッセージを送りました。何か僕、その頃焦ってたんですよ。

羽田

何に?

長谷川

3年生になってMFCに初めて参加して、羽田さんの講座終わって質問したいことがあったんです。そしたら他の学生が羽田さんを捕まえてたくさん質問してて、何かそれに圧倒されちゃったんです。それで気後れして、そのまま帰ってしまって。俺、全然ダメだなって……。

羽田

それは知らなかった。話しかければいいのに(笑)。

長谷川

バイトもサークルも僕なりに一生懸命やってたんですよ。テレビ局ではお笑い番組の前説とか任せてもらってたり、サークルも早稲田の大きなイベントの演出責任者もやってましたし。でも、多分どこかで逃げてました。高校の友達の多くが体育会に所属して活躍してるのも見ていたし、サークルでも運営にもっとコミットしてる人たちがいた。だから、結果残して活躍してる人たちを見て、自分ももっと頑張らなきゃと思ったんです。

羽田

ふむ。

長谷川

そういう活躍して目立つ人たちと勝負してこなかったって気づいたんです。その時その時は一生懸命やっていたし、それなりに満足もしていたけど、もっとできたんじゃないか、と。で、3年になって大学の外も見てみようってMFC行ってみたら、そこでも意識高い人たちがたくさんいて。俺、全然ダメじゃんって痛感して。

羽田

なるほど。学校の中の生活に不完全燃焼で、MFCに来る子は結構いますからね。

長谷川

で、何かしないとって焦ってたんですが、そのときにキャリア・インカレを知って。これだ、と思ったんですよ。サッカーやってた時みたいにチームで戦うあの一体感とか熱を持ちたいって。個人じゃなくて、仲間と何か勝負することがしたいなって思ったんです。

羽田

おお、じゃあ僕の呼びかけも無駄じゃなかったんですね。それは良かった。結局踏み出せずに挑戦しない人多いですからねぇ。で、「RASK」結成、と。チームメンバーはゼミの友達なんですよね? 他大の同志社の人もチームにいましたが、どういう関係?

長谷川

彼も同じ早稲田のゼミ仲間です。同志社と早稲田で交換留学みたいな制度があって、彼は一年間、上京して早稲田に通っていたんです。でもこの3月で京都に帰ってしまうので、「1年間ゼミで一緒だった彼との最後の思い出に、キャリア・インカレ頑張ろうぜ」ってみんなで誓い合って燃えてました。

羽田

スポ根ですね! 燃えてきました!

キャリア・インカレで、普通の学生はどう戦ったのか

決勝前のJAL本社にて。JALの皆さんには大変お世話になりました!

長谷川

実際、僕たちが勝負できるのはチームワークしかないと思っていました。特に準決勝では、他のチームの人たちが学歴もアイデアもプレゼンレベルもめちゃめちゃ高くて、俺ら、絶対頭では勝てないって。チームワークで勝負するしかないって決めてました。それこそが僕がやりたいことでしたし。

羽田

確かに「RASK」はまさに“チーム”って感じでしたね。チームメンバーの誰か替わってもダメな感じがすごくした。

長谷川

ありがとうございます! 全員、個性というか強みが違うんですよ。だからぶつかることも多くて最初苦労したんですけど、それぞれの強みを生かした仕事分担をし始めてから、うまくチームとして動き始めました。

羽田

エアラインもチームワーク大事ですからね。チームワーク重視だから、JALのテーマを選んだの?

長谷川

いえ、そうじゃないです。JAL自体はよく使わせていただいていたので好きでした。さらに、ゼミで学んでいるのがマーケティングだったので、その知識が一番活かせそうなテーマが、JALの「大学生がJALを好きになる施策」だったんです。

羽田

なるほど、ゼミの仲間と一緒にチームで戦うわけですもんね。ゼミで学んでいる内容とJALのテーマが合致していた、と。ところで、長谷川くんはリーダーとしてどんな役割を果たしていたんですか?

長谷川

個性と勢いはあるメンバーでしたし、僕は前に出てグイグイ引っ張っていくタイプじゃない。だから基本的には下からみんなを支える事を意識してました。そうそう、僕ら、MFCの他のビジコンにも出てたんですけど、それとキャリア・インカレの時期が被ったり、ゼミの発表も同時並行で走ってて、秋頃は本当に死にそうになってました(笑)。

羽田

あぁー、某会社のビジコンですね。でもそれも優秀賞もらったんですよね。全部投げずにやり切るのはすごいと思いますよ。 
(*最優秀賞は該当なしの結果だったのでRASKが実質一位だった)

長谷川

インカレの書類選考結果が、日経新聞に載るじゃないですか。あれで僕ら、めちゃめちゃやる気になったんです。「うおお本当に載ってる!」って。それで一気にモチベーション上がって。でもまさか準決勝で勝てるとは思ってませんでしたが……。

羽田

準決勝から決勝までは1ヶ月ありましたけど、その間はどんな準備をしてたんですか?

長谷川

ちょうど年末だったので、みんな実家に帰ったり結構忙しかったんです。だから直接会って話す機会はあんまりなくて。アイデアまとめたりするのはもうスカイプですね。で、年明けてからはもう徹夜徹夜の連続。ずーっとプレゼンの練習してました。決勝前日に血尿出るメンバーもいましたからね。追い込んでました。

羽田

え……。

長谷川

なので、コンディションは結構悪かったです(笑)。でも、最後の勝負に向けて気持ちいい高揚感で臨めましたし、決勝プレゼンはやりきった感ありましたよ。

羽田

決勝は、他のテーマから勝ち上がってきた各企業代表チームとの戦いだったわけですが、自信はありましたか?

長谷川

そうですね、準決勝の時と違って決勝は自信ありました。少なくとも自分たちに自信持てるくらいに死ぬ気で頑張ったので。まあ、結果は勝てませんでしたけど、後悔はないです。ただ、JALの皆さんには申し訳ない思いが強いですね……。

羽田

結構面倒見てもらったんですよね?

長谷川

ええ、本当に。決勝直前にJALの本社まで呼んでくださって、色々とフィードバックもらって。僕たちも恐れ多くも日本航空を代表して戦うつもりだったので、負けてしまったのは本当に申し訳ない思いです。

羽田

いや、JALさんも「RASK」は本当によく頑張ってたと言ってましたし、気にすることないと思いますよ! さて、キャリア・インカレが終わって、改めて何か感じることありますか?

長谷川

うーん、そうですね。まあ、間違いなく濃い半年間でしたよね。勝負するのって、しんどいですけど楽しい。みんなで戦うこと、チームプレイが好きなんだな、と改めて自覚もしました。そうそう、この間、キャリア・インカレでいただいた賞金使ってチームみんなで慰安旅行行ったんですよ。一泊ですけど、熱海行って。

賞金を使って熱海旅行へ。男四人で熱く語り合ったという。

羽田

男四人で熱海(笑)。いいですねぇ。

長谷川

まぁ、絵面は良くないですが(笑)。でもこれは、キャリア・インカレ前からメンバーで約束してたことで。一泊かけて、温泉入りながらみんなで他己分析したんです。お互い、思ってることや感じたことを遠慮せず言い合って。僕はこのキャリア・インカレで自分のことを確かめたかったので、この半年、僕がみんなにどんなことができたのか、できなかったのかを確認するためにも。これでやっと、僕にとってのキャリア・インカレが終わった気がします。

羽田

いやぁ、いい話だなぁ。でも熱海だったら飛行機では行けませんね……(笑)。

長谷川

あ、すみません! 卒業旅行はJALで行きます! 僕ら、今では全員JAL派なので!

羽田

しっかり企業PRで締めるあたり、さすがJAL代表ですね! 長谷川君、ありがとうございました!

取材後記

学生団体での精力的な活動や学生起業、世界トップ大学の学生など、キャリア・インカレ決勝戦は実に様々な個性の学生が集結した。しかしその中で長谷川くんは本当に普通の大学生だった。ただ「RASK」という“チーム”になった瞬間に、他のどのチームにも負けない存在感を放っていた。
就職活動を前にして「学生時代、何もしてこなかった」という大学3年生は本当に多い。しかし、その多くは後悔するだけで最初の一歩を踏み出さない。その一歩を踏み出せば、長谷川くんのような輝きを得ることができるかもしれない。

(取材/執筆:羽田啓一郎)
MY FUTURE CAMPUS責任者。企業の新卒採用の担当営業を経験後、キャリア教育事業の立ち上げを担当。大学の嘱託講師や政府の政策研究委員、新聞の連載コラムなども経験あり。格闘技と90年代のUKロック、apple製品で価値観の大半ができている。偉そうに言っておきながら自分の学生時代の体たらくはとてもじゃないが書けない。

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