上智大学 稲垣 博斗 上原 隆寛



全国の大学生が挑戦したキャリア・インカレ2016。内閣人事局が選抜したのは、国家公務員のイメージとは真逆の今風のイケメン集団「ON THE CORNER」だった。
チームの中心人物である上智大学の稲垣くんと上原くんは同居しており、インカレの優勝賞金で暖房を買うつもりだと決勝本番でも高らかに宣言。残念ながら優勝は逃したものの、「同居??」と見ている全ての人の注目を集めた。
インカレが終わって数ヶ月。2人が同居する四ツ谷のマンションに尋ね、二人のことを色々と聞いてみた!

(*インタビュー記事は全て取材時、2016年3月時点のものです。)

男子学生2人の同居事情

羽田

お邪魔しますー。

稲垣上原

いらっしゃい! ようこそお越しくださいました!

羽田

いやー、仕事で男子学生の部屋に訪れることになるとは……。でも、意外と綺麗にしてますね。男子学生の同棲生活って、もっと汚いのかと思ってましたが……。

上原

いや、朝からめちゃめちゃ掃除しましたが(笑)。

羽田

男二人の同棲って、家事の役割分担とかあるんですか?

稲垣

んー、料理は全て上原ですね。

羽田

え、全部上原くんが作るんですか?

上原

まあ、流れでそうなっちゃいましたね。最初はチャーハンとか焼きそばとか簡単なものばっかでしたが、だんだん面白くなって最近はかなり凝ってますね。アクアパッツァとか作るようになりました。

稲垣

これが結構美味いんですよ。

羽田

ほお……。ちなみに今晩のメニューは?

上原

スーパーのチラシ次第ですね。特売品で何売るか調べてからいつも決めてます。

羽田

すげえ、無駄に家庭的だ。上原君が料理してる間、稲垣君は何を?

稲垣

最初は気使って手伝おうとかしてましたけど、最近はソファで本読んだりしてますね。でも、掃除は僕の役割ですよ。上原、全然片付けとかできないので。

上原

片付けろってよく怒られてます。

羽田

そもそもどうして2人で同棲しようってなったんですか?

稲垣

同棲、じゃなくて同居ですよ(笑)。

上原

そこ、だいぶ違うんでお願いします(笑)! 誤解をまねく!

羽田

失礼しました!

稲垣

(笑)。僕ら二人で起業しようって話してて、最初は上原の住んでた寮に僕が通って打ち合わせとかしてたんですけど、効率悪いから一緒に住むか、となって。

羽田

ほお、起業するんですか。これまたどうして?

稲垣

僕、スタートアップで長期インターンしてたんですけど、最初売上ゼロの企業だったんですが、そこからどんどん売上が上がってバイアウトしたんです。その一連の流れを間近で見てたので、「かっこいいなあ」って純粋に思って。

羽田

なるほどー。でもそもそも何故、長期インターンを?

必要な事は自分で学ぶ覚悟が無いと、長期インターンでは成長できない

クールでマイペースな二人。ただ、体の底には情熱が静かに燃えている。

稲垣

うーん、きっかけは結構シンプルですよ。僕、1年生の時にサークルとか何かあまり楽しめなくて。それで何か自分にとってプラスになることやりたいなって思って、あまり深く考えずにインターンやってみようかなって。でも、そしたら面白くてのめり込んでいって、2年生は結局休学して毎日インターン先で働いてました。

上原

僕も稲垣のそういう話聞いてて、いいなって思って今長期インターンでベンチャーで働いてます。

羽田

ほお……。ベンチャーのインターンって、どんな仕事するの?

稲垣

本当にどベンチャーなので、社員さんとまったく同じ仕事ですよ。僕の場合はWebメディアサービスをやっている会社だったので企画して記事書いて、効果測定しながらプロモーションの施策打って、みたいな。

上原

僕はアプリの会社なんですけど、プロモーションの為に動画が効果あるってわかってから動画をひたすら作ってますね。

羽田

なるほど、ガチの実務ですね。もともとそういうスキルがあったんですか?

稲垣

いや、全然(笑)。

羽田

じゃあ社員さんが教えてくれるんですか?

上原

いや……。勿論入ったばかりの時は会社とかサービスのことは教えてもらいますが、あとは独学ですよ。

稲垣

勿論、必要に応じて社員さんに聞いたりはしますが、まずは自分で調べてやってみて、うまくいかないところは直してまた次、と。社員さんも忙しいので。作業レベルのことは自分で調べながらやってました。

羽田

へぇ! でもそれって、結構大変な気がするんですが、他の学生はついていけるんですか?

稲垣

まぁ、大抵やめますよね。僕は面白かったんで続けましたけど。

上原

教えてもらえるっていうスタンスでいくときついと思います。でも自分で調べながら自由にできるから、スキルはめちゃくちゃ上がるんですけどね。

羽田

なるほど、自走型な人じゃないと続かないんですね。さて、インカレの話を聞いていきたいんですが、どうして出てみようと思ったんですか? 言い出しっぺは稲垣くん?

キャリア・インカレの戦い方

部屋にちょこんと置かれていたインカレ時のチームネームプレート。こういうところ、可愛い。

稲垣

そうですね。長期インターン探しでお世話になってたJEEKさんからインカレを紹介してもらって、なんか面白そうだなって。これもそんな深い理由はないんですけど、上原誘って。

上原

でも二人だと心もとないから誰か誘おうと。で、たまたまなんですけど僕が昔、塾で可愛がってもらってた東工大の先輩と会う機会があったので誘ってみたら「やる」と。あとは高校の同級生で東大行ったやつ誘って4人で結成しました。

羽田

ちなみにチーム名の「ON THE CORNER」の由来は?

稲垣

初めて四人で打ち合わせした時のカフェの名前です。これも深い意味はない(笑)。

上原

時間なかったんですよ。インカレ挑戦するかってなったの、書類締め切りの1週間前でしたから。

羽田

なるほど(笑)。色々筋書きなんてないわけですね。でもなんで内閣人事局のテーマにしたんですか?

稲垣

単純に自由な発想できそうだなって。僕らビジコンとか初めてだったから、正攻法で行くんじゃなくて他の学生が選ばなそうなテーマを選びました。

羽田

え? 内閣人事局のテーマ、オリンピックが題材だから学生人気高いかと思ったんですけど。

上原

いやー、難しいですからね、よく考えると。他の企業のテーマ、自由そうに見えて意外と制約あるじゃないですか。だからアイデア出やすい。でもそれに比べると「オリンピックレガシー」は何だかよくわからないけどスケールでかくて自由度高い分、難しそうだと。

稲垣

勿論、他の企業のやつも考えましたけどね。あとは僕ら、理系中心のチームなので。理系の個性や強みは生かしていきたいよねって話してて、そう考えるとDNPや東京ガスは理系も応募しそうじゃないですか。自分たちを差別化するためにも内閣かなって。

羽田

はぁ〜……結構緻密な戦略があったんですねえ。

上原

そりゃ勿論。勝てないと意味がないですからね。勝ちに行きましたよ。

羽田

そういえば決勝のニコ生でも「ビッグマウス」キャラで売り出されてましたが、自信満々だったんですか?

稲垣

いや、あれはニコニコの人たちがそういう演出でいきましょうってなったんですよ(笑)。

羽田

あ、大人の事情があったんですね。

上原

他のチームの皆さんは割と正統派というか真面目そうな方が多かったんで、差別化するためにも僕たちはビッグマウスキャラ、確かにいいかもなって。別に普段は全然ビッグマウスじゃないですよ(笑)。

羽田

確かに普通に好青年ですね、こうして話していると。実際、内閣人事局のテーマやってみてどうでした?

稲垣

国レベルで物事を動かすのって、実際に考えてみるとめちゃくちゃ大変なんだなって思いましたね。1社だけの話じゃなくて、色んなステークホルダーを絡めていかないといけない。自社のビジネスを考えるのと、日本国全体の視点で物事を考えるのって全然違うんだということは学びましたね。大変だけど、面白そうですよね。

キャリア・インカレで学んだこと

新たなサービスを仕掛ける準備をしている二人。期待してます!

羽田

そういえばプレゼンは上原くんだけでしたよね? 上原くんのプレゼン、めちゃくちゃ上手でしたけど、あれは上原くんが上手だったから一人でやったんですか?

上原

イヤイヤ、全然そんなことないです。実際、僕、プレゼンなんてやったの初めてでしたから。理系ってプレゼンする機会あんまないんですよ。

羽田

え、そうなんですか? 超うまかったですけど。台本も読んでなかったし。

上原

プレゼンを僕がやるってことになって、必死に勉強したんですよ! スティーブ・ジョブズの本を立ち読みしたり!

羽田

そこは買いましょう!

上原

すいません(笑)。でも本当にいろんな本を読み漁りましたよ。それで自分に取り入れられることをどんどん取り入れてセリフも何度も何度も反復して、ベストな言い回しを探っていきました。13分くらいの原稿なら死ぬ気でやれば体に染み込ませられるだろって思って台本もなしで行きました。実際、できましたしね。

羽田

うーんでも正直、見ている側からすると一人でプレゼンするよりは複数人でプレゼンした方がチームワークも見れて効果的だと思うんですが、そこのところの迷いはなかったんですか?

上原

うーん、確かにそれは一理あるとは思います。ただプレゼンって最初から最後まで一つのストーリーだと思ってるので、複数人が交代で話すより、一人が一貫性持って喋ったほうが伝わるかなと僕は思ってます。だから、負けちゃったので何も言えませんが、自分たちのやり方に後悔はしてません。

稲垣

そうですね、僕たちは自分達が劣ってるとは思ってません。ただ、戦い方は間違えたかなとは思っていて。

羽田

と言いますと?

稲垣

インカレの難しいところだと思うんですが、準決勝までと決勝って、全く違う戦いですよね。

羽田

あーなるほど。確かに、求められるものがガラリと変わりますね。

稲垣

準決勝までは内閣人事局視点でよかった。内閣人事局に対して「日本国家こうあるべし!」で良かったし、だから内閣人事局の皆さんも応援してくれて、一緒に盛り上がれた。でも決勝の審査員は内閣人事局ではない人達。見られるポイント、質問されるポイント、受け取られ方、全く違いましたね。そこは見誤ったなあ、と思います。

上原

そうですね。内閣相手だったら説明しなくてよかったことが審査員から質問きて、「ああ、そういうことか」と思いました。

稲垣

そういう意味で、勝負の難しさが学べたのはいい経験だったなと思います。

羽田

なるほど。わかりました。じゃあそろそろシメますが、改めてインカレで学んだことってなんですか?

稲垣

そうですね、まあ色々ありますけど、チームでの戦い方を体感できたのは大きかったですね。僕ら、結構みんなバラバラだったんですけど、高いレベルでバラバラで、やっててやりやすかったです。友達同士だと似た者同士が集まってひょっとしたらうまく前に進まなかったかもしれません。

上原

それはありますね。僕ら、毎回話し合う議題によってリーダーが変わるんですよ。それぞれ得意分野が違うから。だから全員バラバラだったけど、全体のIQを合算するとめちゃ高かったと思う。

稲垣

チームってこういうことなんだなって。個人個人、役割分担が違っていいんだってわかったのは大きかったですね。

上原

あと僕個人で言えばスキルは短期間で滅茶苦茶上がりました。プレゼン動画審査のために動画編集をゼロから学んで、それがインターン先の業務でも生かされました。あとはさっきも言いましたがプレゼンスキルも上がりました。

羽田

なるほどなるほど。ちなみにインカレが終わり、2人のこれからの目標は?

稲垣

僕は1年間休学してたので春から復帰して、起業準備ですね。まあ法人登記するのはまだ先だと思ってますが、今いくつかサービスのプロトタイプみたいなのは作ってます。

羽田

将来的には就職とかせずに自分でビジネス回していくんですか?

稲垣

いや、そういうのは全然まだわかんないですよ。ただ思うのが、みんな一択で考えすぎなんですよ。大学卒業間近になったら、卒業後の進路なんて色々あるじゃないですか。就職もありだし起業もあり。海外放浪だってありなわけです。それが何故だかみんな一律で「就職!」となるのが僕は嫌ですね。ちゃんと考えてどうするか決めたい。だから、ちゃんと考えた末に就活するかもしれません。

上原

僕は稲垣と交代で今年の後期から休学するので、そこから自分たちのサービス開発にドライブかけていきます。コードとかガンガン勉強してますよ。

羽田

いや、なんか胎動感あっていいですね!インタビューも滅茶苦茶おもしろかったです。ありがとうございました! さて、二人の撮影をさせていただきたいんですが、この辺りでどこかオススメの撮影スポットありますか?

上原

お!撮影ならオススメありますよ。「君の名は。」のラストでモデルになった階段がめちゃ近所にあります。

羽田

え! マジですか。そこにしましょう!

稲垣

どっちか振り返る役ってことですよね(笑)。まあ、とりあえず出ましょうか(笑)。

取材後記

男子二人の同居生活―。そこは、起業したいという想いに一直線な、男の純粋無垢な夢とロマンがつまった空間。まるで少年時代に作った秘密基地のようなワクワク感があった。
長期インターンの取り組み方やインカレの戦い方を見ても、彼らの行動は非常にシンプル。ともすれば僕達は、何か行動する前にいちいちリスクを考えたり検討したり、といったプロセスをはさみがちだ。でもそれは、内心自分の中で言い訳を作ってやらない理由を探している事が多いと思う。
そこへ行くと彼らは、やりたい事、知りたいことに一直線。欲求に対する行動がシンプルでストレートだ。その行動力、実行力こそがキャリア・インカレで決勝まで勝ちあがった推進力になったのかもしれない。

(取材/執筆:羽田啓一郎)
MY FUTURE CAMPUS責任者。企業の新卒採用の担当営業を経験後、キャリア教育事業の立ち上げを担当。大学の嘱託講師や政府の政策研究委員、新聞の連載コラムなども経験あり。格闘技と90年代のUKロック、apple製品で価値観の大半ができている。同居生活は一回もないが同棲経験はある。

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