グローバルメーカーの働き方について聞いてみた in 新日鐵住金



新日鐵住金は粗鋼生産量が日本で1位、世界で3位の巨大鉄鋼メーカー。海外に多くの拠点を持つ代表的なグローバル企業で、海外の鉄鋼メーカーとの熾烈な競争も繰り広げています。鉄は大きな可能性を秘めた素材だから世界が注目している。そんな新しい発見もある取材になりました。

登場人物

souma
慶応義塾大学経済学部卒業。人事労政部海外人事室勤務。もともとは「世の中の“あたり前”を支える仕事がしたい」とインフラ業界を志望していた。就職活動を通じて、鉄鋼メーカーも日常のあたり前を支え続ける仕事だと感じ入社を決意。

aono
MFCで現在学生スタッフとして働いている大学3年生。もうすぐガーナに旅立つなど、グローバル人材になるべく体を張っている。

新日鐵住金が日本1位、世界3位の鉄鋼メーカーである理由

aono

MFC学生スタッフの青野です。本日は「グローバルメーカーでの働き方」についてお話を聞きたいと思います。相馬さんもやはり“国際的に活躍したい!”と思って入社されたのですか?

souma

正直にお話しすると……実はまったく海外志向はありませんでした(笑)。私が入社した時の鉄鋼業界は国内のお客様相手のビジネスが中心でした。ところが鉄鋼を取り巻く環境が大きく変わり、今では必ず海外を意識しなければならない業界になりました。

aono

海外志向ゼロで入社された相馬さんが、いったいどんな経緯で海外人事室の勤務に?

souma

では、まずは入社から現在までの仕事についてお話ししましょう。入社後は営業部全体をとりまとめる部署に配属され、収益や生産の全体管理、マーケット環境の調査などを行っていました。その後は営業最前線の建材輸出室に異動となりました。

aono

輸出となるとやはり中国や東南アジアとかが多いのでしょうか。

souma

そうですね。主にASEAN諸国や韓国を担当し、商談はもちろん物流も含めた輸出全般に関わる一通りの仕事を経験しました。その後に君津市の製鉄所で生産管理の現場を担当し、今の人事へと至ります。

aono

随分多くの部署や仕事を経験されたんですね。しかも巨大な製鉄所の管理も担当されていたと。

souma

青野さんは製鉄所の中に入ったことはありますか?

aono

入ったことないですね。

souma

製鉄所の中には巨大な高炉があり、鉄鉱石を溶かして鉄を取り出しています。高炉は365日24時間稼働しています。なぜなら高炉が止まると鉄が冷えて固まり、最悪の場合高炉自体が使えなくなるからです。

aono

鉄の生産量を急に減らすとかはそしたら厳しいんですね。

souma

特に、鉄鋼は支えている産業の裾野が広いため、景気に左右される傾向が比較的強いです。絶対に高炉を止めてはならない中、計画性と先を読む力も必要な仕事です。

aono

御社は粗鋼生産量が日本で1位、世界でも3位の巨大鉄鋼メーカーです。先ほどおっしゃった計画性と先を読む力以外の強みはどこだとお考えですか。

souma

まずは当社の鉄鋼製品の品質の高さです。例えば、私が営業の時に扱っていた製品に鋼矢板という土木工事用の鋼材がありました。土木工事の際に土や水をせき止めるために使用される鋼材です。鋼矢板は繰り返し使用できる特性があるのですが、中国メーカーのものは複数回の使用で「ガタ」がきて使えなくなります。一方、当社製の鋼矢板は10回も20回も繰り返し使用でき、お客様から高い評価を頂いています。

aono

そんなに違うんですね……誤差の範囲とかだと勝手に思っていました。

souma

その分価格は少しばかり高くなりますが、お客様にとってはトータルコストでメリットが出てきます。鋼矢板に限らず、自動車、家電、造船、橋梁、建築向け等、当社の鉄鋼製品はお客様に対し様々な形でソリューション提案をしています。そして、お客様の元に製品をお届けする=デリバリーの観点でも高い競争力を有しています。

aono

サービス面の強みも持ち合わせているんですね。

地球は鉄の星。鉄・鉄鋼は大きな可能性を秘めた素材

aono

ところで鉄の原料となる鉄鉱石は今後も長く採掘できるのでしょうか? 資源の枯渇化が危惧されていますが。

souma

地球は鉄の惑星と呼ばれており、地球の質量の約3分の1が鉄でできています。採掘可能な鉄鉱石の埋蔵量は2320億トンと推定されており590年分に相当します。コストも他素材よりずっと安く、これが日常のありとあらゆるものが鉄鋼製品でできている所以です。鉄の強度についても、これから更に高めていく研究がされています。

aono

なるほど。鉄は大きな可能性を秘めた素材なんですね。つまり国内のみならず世界の鉄鋼メーカーとの競争や国際舞台での仕事は今後も続いていく業界ですね。

souma

そうです。私も人事部門に来てから、ベトナムで現地法人の立ち上げ支援を行いました。現地の法律にのっとって企業をつくるわけですが、右も左もわからない環境でモノをつくることはとてもスリリングでしたがおもしろかったです。

aono

海外で働く中で大事なのはなんでしょうか。

souma

鉄鋼メーカーの場合、商社を介するケースもありますが、自分たちの足で情報をつかみに行くこともあります。これは海外に限ったことではありませんが、プロジェクト毎に「この人と交渉すればよい」というキーマンが異なるため、常に誰を攻めるかを見定めることが大事です。

aono

営業の場合、海外メーカーと入札で一騎打ちというような場面もありますか?

souma

もちろん。そのようなケースは概してプロジェクトの規模も大きく、大型の競争入札になります。先述したように当社は品質やスピーディなデリバリーが特徴となっていますので、総合的な観点で競争入札を勝ち抜く力を備えています。

aono

これは日本メーカーとしての特徴ですか。

souma

そうです。加えて日本メーカーには一つ大きな強みがあります。

aono

なんでしょうか。

souma

経験です。他のアジア圏のライバルメーカーに比べて、品質の高い鉄鋼製品を確実に送り届けることや、先を読んだ製鉄所の高炉の稼働をずっと長く行ってきたわけですからね。

aono

まさに「日本らしさ」ですね。調達の仕事なども、国際的な場でタフな動きが必要な気がします。

souma

鉄鉱石はオーストラリアやブラジルから原材料を買いますが、資源会社と交渉し安定的かつ安く購入できるよう話をつける必要がある。一方で、世界の景気や価格が乱高下するために長期契約が難しい世界で、資源会社と契約を結ぶために働きかけるのはとてもやりがいを感じるところです。

仕事の舞台はまさに地球規模。チャレンジングな働き方ができる

aono

相馬さんのおられる海外人事室とは、どのような仕事をしているのですか?

souma

当社は現地法人事務所や事業会社など、海外にある約70もの拠点に対し、それぞれに適した人材を派遣します。

aono

70も拠点があると必要な人材というのも星の数ほどに分かれそうですよね。

souma

立ち上げたばかりの現地法人では仕事を独力で動かせる人材、あるいは会計・財務に詳しい人材を求めている現地法人、ベテランの技術者を求めている事業会社などがあり、現地のニーズに応じて適切な人材を派遣する必要があります。また海外での生活になりますから、派遣された社員が不自由なく生活できる環境や制度も整える必要があります。

aono

まさに御社のグローバル感を端的に表している部署ですね。場合によっては生活に不便を感じる拠点もありそうですが、それでも行きたい人はいらっしゃるのですか?

souma

多いですね。最近は学生時代に何かしらの形で海外経験している新入社員が多く、「うちの会社、随分変わったなあ」と感慨深く思います。

aono

国内のお客様中心の業界だったと冒頭にもおっしゃっていましたね。

souma

私が入社した頃はそうだったかもしれません。しかし、今は違います。

aono

鉄の星を舞台に世界のメーカーがその可能性を追っているというわけですね。

souma

そうです。私の経歴を見てもお分かりの通り、当社はいろんなことにチャレンジできる環境があります。部署異動した直後は新しいことをたくさん吸収しないといけないので、大変なことも多いですが、それでもやはり楽しいです。環境が変わるたびに経験と気付きをさらに増やせるわけですから。

aono

つまり御社には向かい風を楽しめるようなチャレンジングな人が向いているのでしょうか?

souma

はい。現在の鉄鋼マーケットはグローバルな時代。青野さんが言う通りチャレンジングな人に向いている企業かもしれませんね。当社のグローバルなスケール感は鉄鋼業界を代表していることでもあり、国際的な交渉の場あるいは日本国内でも「自分の決定する価格が業界の基準値になる。鉄鋼業界のためにも譲れない」ぐらいの気概と責任も持って、挑戦できる人がいいですね。物怖じせずに前向きにチャレンジできる人なら、きっとグローバルに活躍できるはずです。

取材後記

aono

世界的に知名度の高い大企業への取材であり、取材の端々にもグローバル企業ならではのお話が散りばめられていて、将来海外を舞台に働くことがどういうことかイメージできたのではないでしょうか。業界日本一の大企業だからこそ、求める人材は安定志向ではなくチャレンジ精神に富んでいる必要があるということも理解できました。取材を受けていただいた相馬さん、ありがとうございました!

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