ニッチな場所で世界一を目指す社会的価値の高い仕事について聞いてみた in レーザーテック



レーザーテック株式会社は半導体の検査装置メーカー。世界シェア100%を占める製品を持ち、高い技術力を駆使してニッチな事業領域でNo.1になる独自の戦略で存在感を示している企業です。今回お話を伺ったのは技術職として活躍している3名の社員。皆さん大学院まで進んだ理系出身者です。理系学生の場合、自身の研究テーマと就職先の仕事のミスマッチに不安を持つ人がいますが、その点についてもストレートに聞いてみました。

登場人物

satou
2014年入社。理工学系研究科物質基礎科学専攻。生まれてから就職するまでを長野で過ごす。山に囲まれて育ったので山を愛しており、大学では登山サークルに所属。研究室で分光測定装置を作成した経験を通してものづくりの面白さに魅了され、ものづくりを自分自身の仕事にすることを決意。

isoda
2015年入社。理工学研究科有機・高分子物質専攻。学部時代は新規液晶の研究、大学院時代はペプチドの研究とどちらも光の測定と関連の深い研究だった。市場で評価され知的好奇心を満たせる仕事をしたくてレーザーテックに入社。

aoki
2016年入社。物理科学研究科天文科学専攻。生まれてから現在までずっと横浜在住。大学院では銀河の形態進化の観測的研究をしていた。天文学への道も同社への就職も直感を優先して決めた。

aono
MY FUTURE CAMPUS学生スタッフ
サッカーサークルの他に学生団体に2つ入っていて、趣味はフットサルやサッカー、ボルダリングなどアクティビティ全般が好き。将来は日本ではなく、海外の勤務を希望している。成熟した市場ではなく、成長途上の国々で市場とともに、勤務企業の成長を成し遂げたいこと、マーケティングなどを通して国家ごとの文化の違いに触れたいと考えている。

理系院生としての研究テーマと仕事内容の相関は?

aono

MFC学生スタッフの青野です。レーザーテックは半導体の検査装置やレーザー顕微鏡などの開発・製造を行っておられますが、皆さんは大学でも関連した研究をされていたのですか?

satou

私たち3名に限らず、弊社社員の学生時代の専攻分野は多種多様・バラバラで、むしろドンピシャな研究をしてきた人なんてほとんどいないかもしれません。理系出身であれば、好奇心とヤル気と本人の努力で十分に力をつけて活躍することができます。私は大学院で光物性、具体的にはテラヘルツ領域のメタマテリアルの研究に取り組みました。自然界では光が水に屈折するときの方向は決まっているのですが、メタマテリアルは光を含む電磁波に対して自然界の物質ではありえない動きをする人工物質です。この研究には屈折率などを測定する素材や装置が必要で、研究を行うための装置開発も行っていました。そういう意味では私の場合、少しだけ大学院の研究と今の仕事に関連があるかもしれませんね。

aoki

私は大学院で天文学を専攻していました。約70億年前の宇宙にある銀河の形や星形成活発度を調べて統計的に議論し、現在の宇宙と過去の宇宙ではどう様子が異なるのか、銀河の形態がなぜ・どのように進化したのかを研究していました。よく「なぜ天文に進んだの?」と聞かれますが、高校生のときに天文部のポスターを見て、「よし、ここに入部しよう!」と直感的に思ったのがきっかけです。就職活動を行う上では、メーカーでものづくりに携わりたいという思いがありました。ただし天文の研究で身につけた知識や技術を、民間企業でダイレクトに活かすことは難しいと考えていました。そのため私が最も重視したのは、会社の雰囲気や社風でした。弊社の説明会や見学で「この人たちと一緒に働きたい!」と思い“直感”で決めました。

isoda

私は大学院で有機・高分子物質を専攻していました。学部時代はメモリ効果を持つ新規液晶の研究、そして大学院ではペプチド(小さいタンパク質のようなもの)の自己組織化単分子膜の研究です。どちらの研究も光を使った測定装置を用いて、有機分子がなぜそのような挙動を示すのかのメカニズムを解明する研究でした。研究を進めるためのツールとして光の知識を得ることができ、就活で「光」をキーワードに企業を探してみたところ弊社を知りました。弊社を選んだ決め手は、大き過ぎない規模感です。自分自身が携わったビジネスが会社、そして世の中にどのように貢献しているか、ダイレクトに感じられると思ったからです。

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まずは専攻と業務の関連についてお話を伺いました。

会社選びの指標は社会への貢献度。貢献度を割り出す数式とは?

aono

「会社の規模感」という点では大手メーカーの方がダイナミックな仕事ができるのかなと思うのですが……。さらに言えばレーザーテックは半導体の検査装置メーカーというニッチな分野です。就活においてどのような心の変遷を経て入社されたのかなあと。

isoda

うーん、心の変遷ですか(笑)。まず私が先述した「会社の規模感」について説明します。大きなメーカーの場合はたとえそれがビッグプロジェクトであっても、若手社員は開発の一部分にしか携われない可能性があります。弊社は少数精鋭の会社です。入社2年目の私でも既に一つの装置の一部開発から部材の発注、現地立ち上げまで携わっています。早い段階から開発の一連のプロセスに関わりたいと思っていたので、大き過ぎない企業を選びました。実際に私自身に任される仕事の範囲が大きく、この裁量の大きさは素直に嬉しいです。

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2年目にしてプロジェクトの全体の流れを見ることができるポジションで活躍中の磯田さん。

satou

私の場合、ある指標を持って就活をしていました。それは「経常利益÷社員数」です。企業の経常利益というのは、社会が認めたその会社の価値を示す指標の一つと考えました。それを社員数で割ると、一人の社員が世の中にとってどれだけ付加価値のある仕事をしているか、つまり一人の社員がどれだけ社会に貢献できているのか、ある程度伺い知ることができると学生なりに考えたんです。その指標に照らし合わせると、弊社はとても付加価値の高い仕事をしており、すなわち社会へ貢献できる仕事ができると思いました。

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「経常利益÷社員数」という視点、目からウロコです!

aono

「社会への貢献度」=「経常利益÷社員数」。なるほど、そういう考え方で就活を進める方法もあるんですね。勉強になりました。ちなみに直感派の青木さんは入社前後でイメージの不一致などはありませんでしたか?

aoki

ギャップはありませんでした。就職活動中、弊社の人間から聞いた言葉に「開発魂」というものがありました。学生時代にエンジニアと関わることがほとんどなかったので、この「開発魂」のイメージが最初は湧きませんでした。しかし入社して「プロ魂」のことであるとわかりました。弊社の技術者は全員がプロフェッショナルで、それは社内の信頼関係にも繋がっています。「あの人に聞けば大丈夫」、そんな同僚や先輩への安心感と信頼が根底にある職場です。

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とにかく明るい青木さん、自分の思いを信じて研究も就活も選択! 直感型なのです。

ニッチな分野で世界一を目指すグローバルニッチトップ企業

aono

御社は半導体の検査装置分野で世界的なトップシェアを誇っておられるそうですが、この辺をもう少し具体的に伺ってもいいですか?

isoda

まず弊社の製品をご紹介します。「半導体」っていう言葉は皆さん一度は聞いたことあると思いますが、なかなか具体的に知る機会ってないですよね。余談ですが、そういう「なにこれ?」「なぜ?」に出会ったとき、興味を持って自分ですぐに調べてみるという行動って、実はとてもレーザーテック的だったりするんですが。さて、半導体は我々の生活に欠かせない存在です。ありとあらゆるものに使われています。インフラといっていいかもしれません。そんな半導体ですが、一般的には細かい電子回路や、それらが書き込まれた集積回路のことを指します。半導体を製造する際に回路(パターン)を刻む、書き込むという工程があります。

satou

版画に例えるとわかりやすいです。マスクは版画でいうと原板にあたります。原版となるガラス板上に電子ビームを使って回路パターンを描画するのですが、仮にそのガラス板に小さなゴミや傷があると、そのゴミや傷までペーストされ、不良品が大量生産されてしまいます。そのようなゴミや傷がないかどうかを検査・測定するのが当社のマスクブランクス欠陥検査装置(MAGICS)、フォトマスク欠陥検査装置(MATRICS)です。MAGICSについては当社が世界シェア100%を占めており、MATRICSの世界シェアも50%を超えています。この二つの装置はレーザーテックのコアビジネスと位置づけられており、その他にも新規ビジネスとして半導体ウェハ向けの検査装置や、パワーデバイス向けのSiCの検査装置なども積極的に開発しています。ちなみに私は半導体ウェハ向けの検査装置開発に携わっています。レーザーテックが新しいビジネスの柱に育てようとしている非常に重要な装置です。

aoki

私はフォトマスク欠陥検査装置のソフトウェア開発に携わっており、装置を導入されたお客様からのご要望に応じて機能を追加したり、不具合があれば修正を行ったりしています。佐藤さんや磯田さんは装置の設計・開発、組立はもちろんのこと、お客様が装置を導入されてから安定運用に至るまでのサポート、具体的には装置の運用提案といったアプリケーション開発までを担当しており、半導体関連検査装置と一言でいっても幅広い仕事があります。

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ソフトウェア開発に携わる青木さん。

aono

半導体製造工程の中でも「検査」という“ニッチ”な部分で世界的にリードしているわけですね。ニッチとは言うものの、実は競争が激しくて……という話はないのでしょうか?

isoda

市場に参入させないだけの高度な技術力を持っていることは弊社の強みの一つです。もしも誰もが知る世界的大メーカーがこのジャンルに参入してきて、しかも本気を出したらという想定もできなくはないのですが、仮にレーザーテックのシェアを奪うだけの大々的な投資をしても、その投資額に見合うリターンは得られないと思います。それぐらいレーザーテックの技術力はニッチ領域で高いのです。

satou

半導体の権威であったムーア博士が半導体の集積密度は18~24カ月で倍増するというムーアの法則を導き出しましたが、既に半導体の微細化が原子レベルに達した現在ではその法則は通用しないという説もあります。いずれにしても何かしら新しいことを考えている人が半導体業界には常にいて、新しいものが出るとまた新たな検査対象が出てきます。弊社はこれまで主にマスク検査で強みを発揮してきましたが、今はウェハの検査装置開発にも注力しており、実績も出ています。

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レーザーテックの事業展開についても話していただきました。

モチベーションを失わない環境がレーザーテックにはある

aono

私も国際開発農学を専攻している大学生の一人で、先輩や知人には開発や研究に携わる人が多いのですが、よく研究への熱意や開発へのモチベーションをどう維持するかが話題になります。皆さんはいかがですか?

isoda

現在私が携わっているEUVマスクブランクスの裏面検査装置は、次世代の半導体製造に用いる装置で、今後はさらに重要性が増していきます。そのような将来性のある装置を任されていることがモチベーション向上に一役買っています。そしてレーザーテックでしかできない仕事がたくさんあります。他の企業ではできないような最先端の開発や研究がたくさんできるんですよ。

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新しい挑戦にモチベーションが下がる要素はない、と磯田さん。

satou

昼休みにもソフトウェア開発における画像処理のアルゴリズムを考えたり、家で休んでいるときもつい仕事のことを考えていたり、気が付くと仕事のことを考えていますが、それは私の場合は楽しさの証明でもあります。24時間、寝ているときも考えていると、頭の中にふとアイデアが浮かぶことがあって、その瞬間がとても楽しいですね。

aoki

モチベーションとは関係なく、ランチの後、魔の時間帯が訪れて落ちそうになることはあります(笑)。私の場合は毎月末にアプリケーションのリリースがあり、そこから逆算して段取りを立てます。締め切りがあることでモチベーションは下がらない仕組みです。

aono

ここまで皆さんのお話を聞いて感じたのは、レーザーテックは開発する楽しさとそれに付随する責任を、伸びやかな社風の中で自然と学んでいける環境がある企業だということです。その中で今後皆さんはどんな目標を描いていますか?

aoki

入社して半年の私はまだまだ勉強することが多い立場です。そのため今はまだ先輩からの指示を待つ立場です。ですから直近の目標としては、自ら能動的に「このような機能が必要ですから、このプログラムを付け加えたいです」と提案して形にできることです。

isoda

中期的な目標としては装置のハンドリングを一人で行えるようになること。今はまだ一部分しかできてないと自覚しており、おそらく装置全体を確実に理解してハンドリングを行うには3年は掛かると想定しています。長期的な目標としては新しいコンセプトの装置を自ら提案し、自らの手で形にすることです。

satou

私が携わっているウェハの検査装置は会社としてチャレンジングな領域です。いわゆる新規ビジネスです。既に数台の納入実績があり、お客様からはご好評をいただいています。今後更に装置をブラッシュアップさせて性能や認知度が向上すれば、大量の発注が見込まれビッグビジネスとなる可能性を秘めています。自分の仕事次第で弊社が更に飛躍できる可能性もあり、まずはこれを成功させるのが目標です。

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(クールな表情ですが(笑))目標への意欲にみなぎる佐藤さん。

大事なのは専攻よりも純粋な好奇心。好奇心を形にできる仕事を選ぼう

aono

それではぜひ理系学生へのメッセージをお願いします!

aoki

学生のうちは自由な時間が沢山ありますよね。私の場合は、専攻の授業の合間を利用して、興味のある他学部の授業に参加していました。今でも印象深く記憶しているのが視覚障害の心理に関する授業で、これまでほとんど関わりのなかった世界に触れて、すごく衝撃を受けました。ぜひ学生時代だから経験できることにチャレンジして欲しいです。

isoda

常識にとらわれないで会社、あるいは将来の進路を決めてください。自分が何をやりたいのかを中心に考えたら、進路でそんなに悩むことはないと思います。就活生ならたくさんの説明会に参加するでしょうが、自分がこうしたいという欲求を浮き彫りにしてから臨んだ方がいいと思います。

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MFCの講座でもよく発信している自分がどうなりたいかをしっかり振り返る作業が大事だと、磯田さん。

satou

就活生はたくさんストレスを感じていると思いますが、それは自分が企業に選ばれていることに対するストレスですよね。しかし就活は自分が企業を選ぶものだと思います。私の場合は会社選びに自分なりの指標を持って挑みました。皆さんもそれぞれに指標を持って選ぶ立場で就活を進めたら、きっと納得できる結果が得られると思います。

aono

しつこくて申し訳ないのですが……最後にもう一度聞きますが、本当に理系学生なら専攻に関係なくレーザーテックで楽しく働けますか?

aoki

きっと楽しく働けます!各部署に配属された後はOJTで先輩に教えてもらいながら仕事を覚えていくことができます。そして年次や役職など関係なく議論し合えるのがレーザーテックの良いところです。例えば、技術部門のトップである副社長が、プロジェクトが進む中で適宜アドバイスしているところを目にします。副社長という立場の人が直接自社の細かい技術に関わっている企業はそんなに多くないと思いますよ。

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年次や役職などに関係無く風通しの良い社風をご説明いただきました。

satou

専攻は本当に関係ないです。きっと自分のスキルのレベルを意識するから専攻外のジャンルでやっていけるかどうかを、学生代表の青野さんは不安に思うのでしょう?(笑)。でも民間企業、しかも当社のようなニッチなジャンルになると、単なるスキル競争や出世競争には意味がありません。私は今CADを使って設計していますが、これも入社してから教わりました。分からないことはちゃんと全部教えてくれます。

isoda

そもそも学生ですからスキルがなくて当然です。一方で学生ですから貪欲なぐらいの好奇心は持っておいてほしいです。レーザーテックは大き過ぎない規模の会社ですから、仕事の端から端まで全体像を新入社員のときからつかみやすく、早い段階から根幹に関わる開発に携わることができます。つまり好奇心を形にしやすい会社です。いつまでも好奇心を持ち続けたい、そんな人ならきっといい仕事ができるはずです!

取材後記

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aono

半導体、マスク、ウェハ、デバイス、欠陥検査……など普段聞きなれていない言葉が企業ホームページに並んでいて、どんな会社なのかイメージをつかめずに臨みましたが、今回取材したお三方ともとてもフレンドリーな方で話しやすく、また自分の仕事に充実感を感じていることがわかるような取材でした! 理系としての専門的なスキルに特化していなくても、入社後に先輩社員から学ぶことが出来ることを魅力に挙げていたように、雰囲気の良さを感じる素敵な会社でした。メーカーやものづくりに興味がある人は、会社説明会やイベント等でその雰囲気をのぞいてみては?

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