国家公務員として地方のために働くことについて聞いてみた! in 内閣官房内閣人事局


こんにちは! 学生ライターのりょうです。今日は国家公務員として働く先輩たちに、なぜ中央省庁での仕事を選んだのか? いったいどんな仕事をしているのか? そして国家公務員として働くことにはどんな魅力があるのかを聞きました。「地方のために役に立ちたいから、あえて中央に」一見矛盾してそうなこの働き方の答えを、先輩たちが明瞭に語ってくれました。

登場人物

藤井さん
三重県出身。平成25年、国土交通省入省。中国地方整備局・太田川河川事務所に配属。広島豪雨土砂災害対策現地推進室を経て平成27年からは観光庁観光戦略課勤務。

畑中さん
岩手県出身。平成21年、総務省入省。鹿児島県、仙台市と、公務員生活のほぼ半分を地方で勤務し、平成28年から地方公共団体金融機構企画課兼資金課勤務。

宮井さん
徳島県出身。平成20年、経済産業省入省。経済連携協定、インフラ輸出、医療国際化政策、消費者保護施策、クールジャパン政策などを担当し、現在は資源エネルギー庁電力需給・流通政策室勤務。

りょう
名古屋出身。上京したタイミングに東日本大震災がおきたことが、人々を支える企業への興味となり、インフラ系企業へ内定が決まりました。

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まずは専攻と業務の関連についてお話を伺いました。

地方出身の私たちが、国家公務員として働くことを決めた理由

りょう

中央省庁で働く国家公務員の皆さんには、聞きたいことが山ほどあるのですが、今回はキーワードを“地方”に絞って質問したいと思います。「地方活性化」は学生の就活にとっても大きな鍵を握るのですが、じつは皆さんも地方のご出身だと聞きました。

畑中さん

私は東北・岩手の出身で、就職活動をしていた頃はちょうどリーマンショックの前。いわゆるヒルズ族と呼ばれる人たちがあちこちで華やかに取り上げられていて、東京一極集中の光景と地方との落差を感じていた一人です。私自身はそんな派手な世界とは正反対で、夜行バスの旅が好きで、あちこち日本の田舎を旅しているときに、故郷の岩手と似たさみしい光景が広がっていると感じ、地域活性化に貢献できる仕事がしたいと思って国家公務員になりました。いろいろな省を見たのですが、その中で「ああ、こんな人になりたいなあ」と思った先輩が多くいたのが総務省でした。

宮井さん

私は徳島県で生まれ育ちました。もともと行政の仕事に高い関心がありましたが、学生時代は企業へインターンにも行きました。それは今のうちに民間企業を見ておこう、なぜなら国家公務員として働くためにも民間を知っておいたほうがいいだろうと思ったからです。国家公務員になった理由ですが、当初から地方活性化に貢献したい気持ちが強かったです。その頃はまだ「地方創生」という言葉はなく「地域振興」という言い方でしたが、経済産業省ではその地域振興を商業面から支援しており、そうした政策に携われるといいな、と思いました。結果として、最初の配属は通商交渉を担当する所でしたが、それもとても面白かったです。

藤井さん

私は三重県の出身で大学は京都。大学院では都市環境工学を専攻し、河川や水、水辺の生き物などを研究していました。これらの土木系の知識を活かせるのはやはり国土交通省になるのですが、国交省は現場の仕事がとても多いんですね。それは私のような技術系の人間にはとても魅力的なのですが、一方で女性職員の数は決して多い省ではありません。しかしそんな不安を払拭させる特徴が国交省にはあります。みんなの団結力がとても強く、とにかくみんな元気でアクティブでした。その元気さを見て入省を決めたのですが、きっとここにいる3人もみんなアクティブだと思います。特に畑中さんの総務省だと、常にまったく知らない自治体へ飛び込む毎日ですからね。

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旅行をする中で、故郷の岩手と似たさみしい光景を他の地域にも感じ、
地域活性化に貢献できる仕事をしたいと考えた畑中さん。

地方創生のために、今、自分たちがしている仕事

りょう

皆さんは現在の業務も“地方”と直結する内容だそうですが、具体的にどのようなお仕事をされていますか?

畑中さん

先ほど藤井さんがお話しされたように、私たちは地方勤務の機会が多くあります。縁もゆかりもない土地に赴くことも珍しくなく、コミュニケーション能力が鍛えられるのは確かかもしれませんね(笑)。私の場合、いまは地方公共団体金融機構で地方公共団体の資金調達を支える業務に携わっていますが、これまで2度、地方への赴任経験があります。最初は入省後4ヶ月で鹿児島県へ行き、県債の借り入れや、予算査定を担当しました。そして、ほんの2ヶ月前までは、仙台市に管理職として赴任していて、いろいろな官民連携プロジェクトを任されました。国家戦略特区と呼ばれる国の規制緩和策を活用して、産業の集積や仕事づくりにも取り組みましたし、その一環として、国内最大のドローンレースの開催にも関わりました。

りょう

政府や自治体主催のイベントと聞くと、やはり経済産業省の得意なジャンルかなと思うのですが、クールジャパン関連ではよくイベントを開催してますよね。

宮井さん

現在は資源エネルギー庁で電力需給安定に関わっていますが、クールジャパン関連に1年半ほど携わりました。クールジャパンと聞くとポップカルチャーを連想する人も多いでしょうが、日本の伝統技術を海外の人に知ってもらう政策でもあります。その伝統技術が息づいているのがまさに日本の地方。一例として富山県に高岡銅器という伝統的工芸品があります。日本では金属製のお皿は割りと珍しいのですが、欧米では比較的日常的に使われます。そこでミラノ万博の日本館で実際に高岡銅器の技術を活かした食器を紹介するなどして、良さを知ってもらうためにいろいろと動きました。地方創生には住む人が増えることも大事で、雇用を生むことが大きな課題です。そういう点で伝統技術あるいはバイオベンチャーなど、地方の企業・働く場所を育てていくことも大事な仕事の一つです。

りょう

地方創生という点では、観光立国を推し進める観光庁もまさにその主体となる省庁だと思いますが。

藤井さん

そうですね。大きな産業がなく観光そのものが命綱になっている地方もあります。私は去年の6月に観光戦略課へ異動し、統計や分析などを行っていますが、これまで外国人観光客は人気の関西圏や東京を訪れていましたが、ここ数年はその波が地方へと広がっているのがデータからも判明しています。ただし観光の場合、その主体となる宿泊業や飲食業は生産性が決して高い業界とは言えません。そのためどのような施策を行えばこれらの業界が効率的に採算をとって、さらに高い質のサービスを提供していけるのかを考えなければならず、そのお手伝いもしています。地方においては人口減少の傾向が見られるところもありますが、その中で観光客が訪れてくれることは地方にとってとても大きな価値になります。

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地方の企業を支援し、働く場所を育てていくことも国家公務員の大事な仕事の一つと語っていただいた宮井さん。

自分が赴任した地方を、誰よりも深く知り、強く想うこと

りょう

地方との仕事をする中で、きっといろいろなエピソードも生まれたと思います。宮井さんは伝統工芸をPRする仕事の中でユニークな経験もお持ちではありませんか?

宮井さん

もちろんたくさんありますよ。例えば職人さんたちは取りに足りないと思っていた技術が、海外の人から見たら驚嘆するような素晴しいものだということがあります。九谷焼の赤絵がその例で、最近はエルメスの腕時計の文字盤にも採用されています。一方で地方の伝統工芸の職場は閉鎖的な面もあり、芸術性に魅せられて東京から来た若い人や、女性の職人希望の人が入りにくいという面もあります。そこで伝統工芸の分野において、少し尖ったことを考えている人々を集めて意見交換してもらい、将来的に地元の産業をけん引するリーダーになってもらうための勉強会を経済産業省がバックアップして開催しました。東京のみでの開催であり、募集を行ったときはそんなに集まらないと思っていたのですが、いざ蓋を開けると地方からも本当にたくさんの人が応募し大好評だったんですよ。

畑中さん

宮井さんのエピソードのような尖った取り組みを、外にアピールしていくことも、地方に人・モノを呼び込むためにとても大事だと思います。例えば、先ほど話したドローンレース大会は、テレビで全国放送されることが事前に決まっていたので、仙台=ドローンのイメージを発信するため積極的に誘致しました。レースの動画はインターネットでも公開されていて、今では世界中に仙台のレースが発信されています。総務省の大切な役割の一つは、社会保障やインフラ整備など国の様々な制度が、地方にとっても無理のないものになるよう、各省庁と議論し、調整することです。私たちは、いまのドローンの話も含め、地方で多様な仕事をする機会に恵まれますが、そこで得た経験や人とのつながりが、国の制度設計の議論の中で大いに役立っていると思います。

りょう

藤井さんの場合は入省後すぐに広島に赴任し、途中で豪雨土砂災害を経験されるなど、広島との結びつきや思いはかなり強まったのではないでしょうか?

藤井さん

そうですね。先ほど私は観光面から国土交通省の仕事を伝えましたが、やはりその基本となるのは安心して住める町・暮らせる地方をつくることだと考えています。地方に仕事をつくることが経済産業省の仕事なら、国土交通省の仕事はその安心できる土台をつくることです。りょうさんも土木系の研究をされているのでよくご存知だと思いますが、工事をするには予算という大きな課題が常について回ります。広島では大きな街もあれば山の中に小さな集落が点在する地域もありますが、そこに暮らす人は当然それぞれの土地に愛着を持っており、それぞれに災害対策が必要です。ですから、災害対策は防災なのか減災なのかの議論や、それに関する費用などの課題と向き合わなければいけません。私の場合は地方での勤務が広島だったので、やはり広島を想像しながら考えてしまいますね。

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藤井さんからは、地方の安心できる土台を作る仕事も国家公務員の大事な仕事である点を、赴任先だった広島のお話を交え語っていただきました。

地方と東京、町と町、人と人を繋げるハブとしての国家公務員

りょう

ここまで皆さんのお話しを伺っていると、赴任先あるいは担当部署で地域の人々や他省庁、さらには海外の人々とのやり取りもかなり多いのだろうと思いました。

藤井さん

国土交通省の場合は、コンサルティング会社の人ともよく一緒に仕事をします。土地を開発するデベロッパー、建築家、都市計画家、環境コンサルタントなど様々なプロフェッショナルとともに仕事を進めていきます。また観光庁では民間から出向して来られる人も多く、民間の方のノウハウをたくさんいただいています。そして大学の先生に話を聞きに行くことも多いですね。働いてからも仕事の一環として最先端の研究をしている先生方の話を、じっくりと聞けることはこの仕事を選んでよかったことの一つ。なお、私たちは制度をつくる側にもなるため、先生方もしっかりと教えてくださいます。

宮井さん

私も学生時代には立ち寄ることがなかった教授のゼミ室に、働いてから訪問することになるとは思っていませんでした(笑)。私たち国家公務員は同じ部署にずっととどまることはありません。省や仕事内容によって差はありますが、概ね2年で異動します。そうした経験の中で様々な人々と出会います。その人脈を活かして、例えば地方の職人さんと東京のデパート、ときには海外のブランドマネージャーなどを引き合わせるお手伝いもしているわけですが、そこで仲介手数料はいただきません。だからこそ、過去のしがらみや垣根無く、人と人を繋げていくことができます。国のためというと大げさに聞こえるかもしれませんが、国益のために無償で働ける国家公務員の面白さは、こういう所にあるのだと思います。もちろんそれぞれの省にKPI的な目標値はありますが、そこにがんじがらめになるのではなく、地方のため・国のためにいいことをする。そういうフワっとした目的で、後はある程度自分の裁量で自由に働いていいのが国家公務員の面白さだと思います。

畑中さん

国家公務員は地方と東京、町と町、人と人を繋げるハブだと考えています。そして幅広くいろんな仕事やプロジェクトに携われるのも国家公務員のおもしろさだと思います。もともと学生の頃から、1つの分野に特化してしまうよりも、幅広く自分の目で見て動いてみたいと思っていました。じつは就職活動では民間企業の採用試験も受けてみたのですが、その理由も視野を広げたいという気持ちからでした。実際に国家公務員になって、多くの分野で仕事ができているので、当初の自分の希望は実現できています。おそらく学生の中には数年で部署が変わることに不安を感じる人がいるかもしれませんが、必ず教えてくれる人がいます。私の場合は現在金融用語が必須な環境ですが、これも自分で調べて分からなければ、素直に周りの人に聞いています。

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3名の方それぞれのお話どれもがとても興味深く、時間があっという間に過ぎます……。

私たち3人からのメッセージ。視野を広げることの大切さ

りょう

今回の皆さんの話を聞いて、地域のために働きたい、そのために中央である国家公務員に関心を持つ、という学生が増えたかもしれません。ぜひそんな学生に向けてメッセージをお願いします。

畑中さん

今日3人で話してみて、私だけでなく宮井さんも藤井さんも、出身地だけでなく自分が関わった地方への愛着がすごく強いのだと思いました。おそらく学生の中には、「地方の仕事をしたいなら、地方自治体が近道では?」と考える人もいると思います。しかし、私たち3人のエピソードや経験からは、「外から自治体を見る目も必要」というメッセージを受け取ってもらえたのではないでしょうか。地方創生には外からの視点を絶対に欠かすことはできません。総務省の職員は、全国を俯瞰する視野が求められる一方で、各自治体に赴任すると、完全にその地方の人間になります。私も鹿児島、仙台にどっぷり浸かって仕事をしてきました。この内と外の両方の視点を身につけて、国の制度設計に携わるのが総務省の仕事です。ぜひ興味を持ってもらいたいですね。

宮井さん

私も地元志向の強い人間の一人ですが、中央省庁へ行ってみて実感したことの一つは、やはり中央省庁は人脈・ネットワークづくりには最適だということです。そして立法のための仕事ができることも中央省庁で働くことの特徴です。法律が定まると、その後は自治体においてその地方の特色なども加えた条例を制定することになりますが、中央省庁で立法のノウハウを知っておくと、仮にその後に地方自治体で働くことになった場合でもこのノウハウは役立つと思います。立場上、国家公務員から地方公務員への転職を進めるようなことは私からはっきりと申し上げられませんが(笑)、東京・中央にいたことでわかる地方の良さもきっとあると思います。

藤井さん

先ほど私は、地方のために土台をつくる仕事をしたくて国土交通省を選んだと話しました。実際にそのような仕事に携わることができて、大きなやりがいを感じています。しかしもう一つ大事なことがわかりました。それは一つの地方だけではできないことがあるということです。このことが如実にわかるのはやはり自然災害です。一つの自治体で対応できないレベルの自然災害が起これば、周りの自治体あるいは国と一緒に協力して解決していきます。そのときに地方と中央を繋ぐ役割を果たすのが、国家公務員の仕事の一つです。それは経済面においても同じでしょう。地方だけでは解決できない悩みを持つ企業・人・団体に解決策を示していくことも、国家公務員ならではの仕事・やりがいだと思います。いろいろな意味で橋を架ける仕事は、きっと大きな手応えを実感できると思います。ぜひチャレンジしてください。

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最初は緊張しましたが、お三方のお気遣いもあり、笑いの絶えない、とても楽しい取材でした!

りょうの取材後記

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りょう

記事を最後まで読んでいただき、ありがとうございます。今回、取材を通して感じた「地方創生」。私は「日本全体を元気にする」という意味に感じられました。そして、それは各省庁が連携しあって成り立っているものだと思います。コミュニケーション能力を武器に地域のサポートをする仕事、日本の伝統技術の最適配置や雇用創生を通して地方の企業・働く場所を育てていく仕事、安心して暮らせる地方を守り、日本のサービス向上を支える仕事。それぞれの省庁に働くやりがいがあり、国家公務員ならではの仕事がそこにはあります。日本を元気にしたいという方にとって国家公務員というファーストキャリアは一つの有効な選択肢ではないでしょうか。

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