江澤 拓宣(早稲田大学 政治経済学部)/ザノン株式会社 CEO


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「カレッジーノを無償で譲渡したいんですが」ー。
こんなメッセージが私の元に届いたのは2015年夏。
「意識高い学生のためのメディア」として質の高い記事を連発し、学生間で話題になったカレッジーノを運営するザノン株式会社(旧Woolop)代表取締役社長を務める江澤君は、早稲田大学の学生でもある。
高校時代にアメリカの高校に編入し、帰国後は早稲田大学に入学。そして早稲田のインキュベーションセンター内で起業。
譲渡話はマイナビ側の事情で実現しなかったが、そのカレッジーノが新しく生まれ変わるという。
リニューアルのタイミングで江澤くんにインタビューを申し込み、サービスに賭ける想い、昨今のベンチャー起業ブームなど様々な方面の話をランチを食べつつ聞いてきた。
(取材/執筆:羽田)
*本記事は2015年12月末取材時点の情報です。

無償譲渡してでも継続したかった学生向けメディア、カレッジーノ

16卒インタビュー記事用顔丸(羽田)おひさしぶりです!今日はよろしくお願いします!


江澤くん顔丸いえいえ、こちらこそよろしくお願いします。

16卒インタビュー記事用顔丸(羽田)あのー、ランチ、サラダでいいんですか?もう食べてしまった?

江澤くん顔丸いえ、僕、あんまり普段から食べないんですよ。最近、食欲があまり無くて(笑)。

江澤くんはすごく少食!会社をでかくする夢は持ちつつも、食欲や金銭欲はそこまで高くないそうです。

江澤くんはすごく少食!会社をでかくする夢は持ちつつも、食欲や金銭欲はそこまで高くないそうです。

16卒インタビュー記事用顔丸(羽田)僕だけパスタ大盛りですいません・・・。さて、カレッジーノがリニューアルしたんですよね?
昨年、カレッジーノの事業譲渡の話をいただいた時、正直驚いたんです。最初、売却先を探していてベンチャーっぽく売却で儲けようとしているのかと思っていたら、無償で譲渡したい、という条件だったので。その時の経緯を教えてもらえますか?

江澤くん顔丸はい、その節はお世話になりました。カレッジーノは2014年に始めておかげさまで多くの学生にアクセスしてもらえるメディアとして成長してたんですけど、会社経営含めその後の展開をどうしようと悩んでいたんです。でも僕たちとしては、何とかカレッジーノを残したかった。そこでカレッジーノがそれまで蓄積していたコンテンツやリソース含めすべての権利を無償で譲渡する代わりに、学生の事を真摯に考えたサービスを継続してくれるのはMFCなんでは、と思ってご相談したんです。

16卒インタビュー記事用顔丸(羽田)すいません、いろいろ社内でも掛け合ったんですが、実現できず・・・。魅力的なお話だったんですが、我々もMFCで手いっぱいの中、カレッジーノほど密度もクオリティも高いメディアを回せるマンパワーがなくて・・・。でも、それまで育て上げてきたメディアを無償譲渡って、物凄い覚悟ですよね。カレッジーノに込めた思いってなんなんですか?

江澤くん顔丸いえいえ、いろいろ動いていただいて本当に感謝しています。カレッジーノはもともと、日本の大学生に新しい視点や選択肢を提示したくて始めたんです。みんな大学に進学し、なんとなく大学生活を過ごし、なんとなくリクルートスーツを着て就活してサラリーマンになっていく。それはそれでいいけど、でもあまりにもみんな同じルート辿りすぎじゃないか、と。もっと他に選択肢はあるのにその選択肢を知らない。カレッジーノを読んで「こんな考え方もあるんだ」って多くの学生に気づいて欲しいなと。

16卒インタビュー記事用顔丸(羽田)なるほど。マネタイズはカレッジーノのみでやってるんですか?

江澤くん顔丸会社を立ち上げた時は他のサービスがあったりクライアントからのオーダーを受諾開発して資金を集めてましたが、今はサービス開発に全面集中したいと考えています。

16卒インタビュー記事用顔丸(羽田)おおー、すごいなあ。。じゃあ会社経営はうまくいってるんですね。

江澤くん顔丸いや、資金がショートする恐怖心は常にありますよ。僕ら、資金調達を一度もしたことがないんです。

16卒インタビュー記事用顔丸(羽田)え!なんでですか?

新しい働き方のモデルを作る。そのための戦い

アメリカのシリコンバレーへ視察に。Google社やfacebook社など、イノベーションの空気をたっぷり吸ってきた。

アメリカのシリコンバレーへ視察に。Google社やfacebook社など、イノベーションの空気をたっぷり吸ってきた。

江澤くん顔丸うーん、サービスをでかくしてIPO(上場)っていうスタイルがベンチャードリームみたいな風潮ありますけど、あまり好きではないです。もちろんIPOは会社を成長させる選択肢の一つですが、僕らが最も目指したいことは”新しい働き方”の提唱です。

16卒インタビュー記事用顔丸(羽田)新しい働き方?というと?

江澤くん顔丸さっきの学生のルートの話とも繋がりますが、何のために働くかって話ですね。朝起きてスーツ着て定時に間に合うように満員電車に揺られて出社して、一生懸命会議出て終電まで働いて帰宅して・・・。人気企業や大企業で働く人でも上司の悪口や会社の愚痴をひたすらこぼす社会人の方も多いですよね。そういう話、たくさん聞いてきました。

16卒インタビュー記事用顔丸(羽田)耳が痛いです(笑)。確かにたくさんいますね、そういう人。

江澤くん顔丸それでいいのかな?と。でも、その人達が悪いわけじゃないし、生産性を追い求めてできた合理的な会社経営の仕組みなんだと思うんです。だから悪いわけじゃない。でも、やはり今の仕組みは「稼ぐために働く」人を生み出し続けるんだと思うんですね。このままいくとこの国の産業は限界がくると思うし、僕は少なくともそんな働き方はしたくない。だから自分の会社は働いててとにかく楽しいと思える環境を創りたいです。

16卒インタビュー記事用顔丸(羽田)それと資金調達と関係があるんですか??

江澤くん顔丸まず、資金調達するということは投資家との間に責任が生まれます。売上第一主義になる一面が出てきてしまう。もちろん、売上がない状態で道徳を語るのはただの寝言です。そして、資金調達が会社をでかくするための手段の一つだということは理解しています。僕だって会社は無茶苦茶でかくしたい。しかし、その結果、社員が窮屈な働き方を強いられてしまうようでは、本末転倒なのではないかと考えています。僕らが僕らのやり方で会社をでかくすることができれば新しい働き方のあり方を世の中に提示することができる。まだまだ甘い考えかもしれませんが、誰しもが楽しく働ける方法を模索していきたいです。

16卒インタビュー記事用顔丸(羽田)なるほど・・・!社員の方はなんと?

江澤くん顔丸みんなにも意見聞いたことありますけど、思いは一緒です。僕たちは定時もないし出社義務もない。ただみんな、同じ思いのもとでそれぞれのところで必死に働いています。僕、食欲と合わせて金銭欲もそこまである方ではないと思います。お金は手段であって目的ではない。お金や生活のために働きたいとは全く思いません。

16卒インタビュー記事用顔丸(羽田)ちなみに江澤くんは就活するんですか?

江澤くん顔丸しないですよ(笑)。というかそれ以前の問題で、大学を卒業できないかもしれません。今は休学という扱いにしていただいています。会社の方に集中したいので。

16卒インタビュー記事用顔丸(羽田)なるほど、確かに江澤くんの考え方だと大学行く意味はないかもしれませんね。

ベンチャー起業ムーブメントはロックバンドと同じ?

単身アメリカの高校へ編入。最初は「This is a pen」レベルの英語力だったそう。

単身アメリカの高校へ編入。最初は「This is a pen」レベルの英語力だったそう。

江澤くん顔丸いや、でも不安はたくさんありますよ。学生起業家もちらほら聞くようになりましたが、みんないつの間にか居なくなってる感じがあります。

16卒インタビュー記事用顔丸(羽田)なんかあれですよね、こんな事言っていいのかわかりませんが、起業するのが流行りみたいなところありますよね。ベンチャーかっこいい!というか。そういうのって、当事者的にどう思ってるんですか?

江澤くん顔丸あ、それ聞きますか(笑)。難しいですね。既存の概念をぶっ壊したり、産業を活性化するためにはベンチャーや起業が重要なのはわかるんですけどね。だからマクロ的な大きな視点で見たら悪いことではない。ただ、当事者観点であるミクロな視点では同時に冷静さも持った方がいいとは思います。

16卒インタビュー記事用顔丸(羽田)というと?

江澤くん顔丸作られたムーブメントというか、煽られている風潮があるという事実をしっかり受け止めるということです。今は起業することが追い風ですし、国なのか、メディアなのかわかりませんが、「起業=かっこいい」感じは作為的に作られてる部分は否めません。国の経済力を上げるという意味において、マクロ的にはいいことなんでしょうから複雑ですけど。

16卒インタビュー記事用顔丸(羽田)大人に仕組まれてると?

江澤くん顔丸仕組まれてるというか・・・。いや、実際本当に起業家のみなさんってかっこいいんですけどね。僕も最初は憧れから始まりました。ただ、カッコよく演出されすぎてる気はします。まるでロックスターです。昔は若者がロックスターに憧れてギターを取ったように、今はMacBookを手に取って起業するんです。

16卒インタビュー記事用顔丸(羽田)ああ〜、なんかその例えはわかります。僕、確かに大学時代はロックバンドに憧れてバンド組みましたよ。スタジオ入ってベース構えて記念写真撮って終わったけど(笑)。

羽田の大学時代のバンド写真。といってもスタジオに入ってベースを構えて記念撮影しただけで終わったバンドごっこでしたが・・・。

羽田の大学時代のバンド写真。といってもスタジオに入ってベースを構えて記念撮影しただけで終わったバンドごっこでしたが・・・。

江澤くん顔丸それですそれです。今では登記書を持って区役所の前で「登記しました!」って写真撮ってSNSにアップすることがそれにあたるのかもしれません。

16卒インタビュー記事用顔丸(羽田)いや、ロックとの例えは秀逸かもしれませんね。僕、ロック大好き人間なんですが、ロックバンドって、基本的に長くは続かないんですよ。若い無軌道なエネルギーの一瞬の輝きが眩しいのがロックだと思ってて。そのあとは音楽マーケットという大人の事情に飲み込まれ、必死に抵抗するも解散していく。なんか、起業家も少し似てる気がしてきました。時代という大きな流れの中でコンテンツとして消費されていくという。

江澤くん顔丸確かに見方によっては、学生起業家が消費されているという過激な表現ができるかもしれません。例えば、ビートルズに憧れて音楽を始めたバンドも、必死こいて練習していく過程で地獄のような日々を送る。結果、最初持ってた憧れとか忘れてしまう人も多いと思うんですよね。起業家も一緒です。自分たちでビジネス回していくのはやっぱり想像以上に大変。憧れだけじゃやっていけないし、その過程で消えていく人たちもたくさんいる。起業した瞬間が一番テンション高いということです。そして周りからチヤホヤされがちです。だからこそ、僕たち学生起業家は、大きな流れの中にいるという事を自覚しながら、消費されないように踏ん張らないといけない。しかし、今は僕も何言っても所詮絵空事です。しっかり証明するために、僕は何としても結果を出さなくてはならない。絶対に負けません、僕たちは。

学生の影響度が可視化されるSNS、新カレッジーノ!

起業家イベントにゲストとして登壇。新しい世界を創る泥臭い戦いはまだこれからも続く。

起業家イベントにゲストとして登壇。新しい世界を創る泥臭い戦いはまだこれからも続く。

16卒インタビュー記事用顔丸(羽田)いや、期待してます。そしてそんな江澤くんが手がけるカレッジーノ。今回、リニューアルするんですよね?

江澤くん顔丸はい、これまでのようなメディアではなく、SNSとしてリリースします。アプリもiOSのみですが先日リリースしてSNSとして使えるようになっています。前のカレッジーノは質の高い記事を命賭けて書いてましたが、あくまで僕らから情報を一方的に発信しているだけ。そうじゃなくて、ユーザーである学生のみなさんと一緒にもっと大きくできないか、と。

16卒インタビュー記事用顔丸(羽田)今更なぜSNSを?

江澤くん顔丸SNSといっても日常生活をシェアするものではありません。そこはカレッジーノらしく、学生にとって刺激的なニュースや話題をシェアしてコメントして発信していくSNSです。facebookやtwitterだと普通の友達とかも見ているのでなかなかストレートな意見は発信しづらい。でもカレッジーノであればそれが歓迎されます。自分から言いたいことを何でも発信できるし、他の学生のみなさんの意見も見ることができます。

16卒インタビュー記事用顔丸(羽田)なるほど、意欲的な学生に特化したSNSというわけですね。

江澤くん顔丸それまでのSNSってイイねとかついても承認欲求は満たされるかも知れないけど直接的なメリットにはなりませんでした。でもカレッジーノでは、自分の他に面白い考えを持った人を見つけたり、オフラインの学生生活に役立つ情報を手に入れられるサービスにしていきたいと考ええています。

16卒インタビュー記事用顔丸(羽田)なるほど、それはユーザーのモチベーションにもなるでしょうね。おっさんもちょくちょく覗かせていただきますね!カレッジーノは学生専用なので、コメントはできませんが(笑)
今日はありがとうございました!


江澤くんの手がけるカレッジーのがiosアプリとしてリリース!利用も登録も無料なので是非使ってみよう!

江澤くんの手がけるカレッジーのがiosアプリとしてリリース!利用も登録も無料なので是非使ってみよう!

取材後記

取材場所は「僕のアイデンティティ」と語る中野にて。先進性と歴史が共存する場所。

取材場所は「僕のアイデンティティ」と語る中野にて。先進性と歴史が共存する場所。

私事だが、文中でも触れた通り僕はロックンロールが大好きだ。学生時代、毎日貪るようにあらゆる音楽を聴きまくったものだ。
自己主張、反体制の音楽を鳴らすロックバンドは本当にかっこよかった。僕らは彼らに希望を託した。世界が変わるんじゃないかと夢を見た。しかし、その約束は破られ続けた。僕らが大好きだったロックバンドはみんな解散した。そして世界は変わらなかった。
そうして気づいたら、僕自身も大人になり、ロックミュージックを聴かなくなっていった。

建前と合理主義にがんじがらめになってしまった現在の社会システム。そこにイノベーションとオープンマインドを持ち込んだ日本のベンチャーブーム。ロックミュージックに例えると80年代後半にイギリスで起きたセカンドサマーオブラブみたいなものか(知らないか)。
キラキラした起業家に憧れることそのものが悪いことだとは思わない。ただ、起業家に憧れていた学生がいつの間にかリクルートスーツを着て就職活動の波に飲み込まれていく姿を何人も見てきた。
憧れを現実にするのは行動だ。そして困難にぶつかり、絶望しても行動し続けるのは信念だと思う。
実はここには書けない苦労話が江澤君には沢山ある。それでも信念を持って挑戦し続ける姿からは、もはや「キラキラ」ではなく「強さ」を感じた。
しかし今の彼もまだまだ通過点でしかない。
物分りのいい大人にならないで欲しいし、既成概念も、既得権益も、前時代も、すべてぶっ壊して欲しいと思う。そして僕ら大人も、変な合理主義に走らず、ベテランにしか出来ない味のある変革に挑戦したいと思った取材だった。
最後に、僕が熱狂していたoasisの曲を添えて終わりたい。

でもオレの本音を売るなんて真似はできない
だってオレが抱いてる想いってのはかつてなかったものだから (oasis 『Columbia』)
(羽田啓一郎)

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