University College London 松崎 可鈴



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高校生向けビジネスコンテスト「キャリア甲子園」。2014年度の決勝大会に進んだ8チームのうち、他のチームよりひときわ異彩を放つチームがあった。広島学院高校の男子高生2名と神戸女学院の高校三年生混合チーム。関東圏のみでしか告知活動を行わなかったキャリア甲子園2014だが、唯一の地方からの決勝進出。しかも広島と神戸。
残念ながら優勝は逃したものの、「農業の自由化を見越した第一次産業活性化のプラットフォーム」という高校生離れしたスケール感のプレゼンテーション。そして、その中でも際立っていたのが今回取材した松崎可鈴さんだ。膨大な情報量のボリュームの原稿を、超高速且つわかりやすく展開する彼女のプレゼンは見る者を圧倒。聞けば、高校二年の時にディベート大会で日本代表に選ばれ、国際大会にも出た事があるという。
そんな彼女もこの春に高校を卒業し、秋から正規留学としてロンドン大学に入学する。ギャップイヤーを利用して日本中を飛び回っているところを、東京の代々木公園で捕獲した。

(*インタビュー記事は全て取材時、2015年5月時点のものです。)

キャリア甲子園2017

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日本ではなくイギリスの大学を選んだ理由

キャリア甲子園2014決勝プレゼンステージ。高校生離れしたプレゼンに協賛企業も驚いた!

キャリア甲子園2014決勝プレゼンステージ。高校生離れしたプレゼンに協賛企業も驚いた!

羽田

お久しぶりです! 今はフリーターですか(笑)?

松崎さん

お久しぶりです! そうですね。勉強したり、本を読んだり、働いたり、インターンしたり、行きたいところに足を運んだり……ふらふらしてます。

羽田

いつからロンドンに行くんですか?

松崎さん

9月からですね。でも正確に言うと、最初の1年間は学部進学前に課された準備期間なんです。留学生は1年間指定されたコースを好成績で修了しないと学部に進めなくて。

羽田

え、そうなんですか!? なぜ?

松崎さん

イギリスでは、日本と違って16歳の時には大体進路を決めるんです。で、その後それぞれの専門分野の基礎を2年間修めて、それから大学入学なんです。だから、例外を除いてほとんどの日本の高校生は、まずは1年間向こうで自分の希望する専攻分野の基礎を勉強する必要があるんです。その代わり、学部が3年間で卒業なので日本の学生と卒業時期は合うんですけど。

羽田

なるほど。じゃあその辺りからお聞きしていきましょうか。まずお聞きしたいのが、なぜ日本の大学に行かずにイギリスの大学なんですか?

松崎さん

うーん……大きな理由は2つで。一つは、私の勉強したい学問を追究するのに最もよい環境がイギリスにあった、という事。二つ目は、思い切り勉強に打ち込める海外大学の環境に魅力を感じたからです。

羽田

なるほど。しかし海外の大学進学って、少数でしょうし勇気いると思うんですね。英語は得意?

松崎さん

得意ではなかったです……。が、海外大に進学する以上、ある程度得意にならざるを得ませんでした。

羽田

さすがですね。手段と目的を混同してない。

松崎さん

「英語好きなの?」ってよく聞かれるんですけど、あくまで学部留学であって、英語の勉強をしにいくわけではないので。私が勉強したいことは……引かないでくださいね?

羽田

引かないです(笑)。

松崎さん

紛争解決がしたいんです。

羽田

……ほう。なぜ?

松崎さん

その理由も大きく二つあって。一つ目は、きっかけの話になりますが、世界史の授業で、中・近現代史を学ぶ中で色々とショックを受けたんです。例えばパレスチナ問題の章で、一部の人間の政治的思惑で今なお多くの人の人権が著しく侵害されている状況に、怒りと疑問を持ちました。二つ目は、わたしが社会に貢献出来る事ってなんだろう、と考えた時に、他の人がやらないような事をやろうと思って。

羽田

なんかいきなりスケールがすごいですね!

松崎さん

いきなりなんのこっちゃって感じですよね……。紛争解決を学べる学校はないか、国内も含めて色々調べたんですけど、日本の著名な教授陣もだいたいご自身の海外での実体験をベースに研究をされているんです。だから将来現場で働くことも考慮に入れて、大学を機に海外に出てどっぷり浸かろうかなと。

羽田

なるほど。手段として最適な方法を探して選んでいるあたり、強い思いがあるんですね。「他の人がやらないような事やろう」と思ったのはなぜ?

松崎さん

いきなりなんのこっちゃって感じですよね……。紛争解決を学べる学校はないか、国内も含めて色々調べたんですけど、日本の著名な教授陣もだいたいご自身の海外での実体験をベースに研究をされているんです。だから将来現場で働くことも考慮に入れて、大学を機に海外に出てどっぷり浸かろうかなと。

ミッション系高校の礼拝で学んだ精神性

「大好きだった」という母校。知らず知らずのうちに、彼女の人格形成に大きな影響を与えている。

「大好きだった」という母校。知らず知らずのうちに、彼女の人格形成に大きな影響を与えている。

松崎さん

わたしの通っていた神戸女学院は、ミッションスクールでした。それで、毎朝礼拝があるんです。わたし、いろんな人の話が聞けるその時間がすごく好きで。結構そこから影響受けている事が多いと思うんですが、いつぞやの話に「他の人が嫌がる事をやりなさい」という教えがあって。

羽田

他の人が嫌がる事、つまり「他の人がやりたがらない事」って意味ですね。

松崎さん

そうです。そこで、他の人が「大変そうだな」で終わってしまう事の多い、かねてから関心のあった紛争問題を自分の道として据えたいと思いました。あとは、高校が結構おもしろいところで、多方面で活躍する人がたくさんいたんです。物凄く頭の切れる人、わたしが逆立ちしても敵わない能力持った人がたくさんいて。

羽田

へぇ、松崎さんがそう思うってことはすごいんでしょうね。

松崎さん

日本にも沢山の問題や課題があると思うんですけど、「きっと日本の問題はこの人たちが取り組むんだろうなー」って思っちゃって。なら、わたしはどこで社会に貢献できるかなぁって考えていた時、ちょうど『HLAB』っていうサマーキャンプに参加したんです。そこでパレスチナ出身のハーバード大生と話す機会を得て。その時に紛争解決、特にパレスチナ問題に関心があるって言ったら、彼が凄く喜んでくれて。「私にできる事はない?」って聞いたら「日本で紛争に関心がある人がいてくれる事自体が珍しいから、できればこのままその想いを持ち続けて欲しい。いつかそれが実を結ぶから」って言われて。「そうか」と。

羽田

なるほど。高校時代の礼拝から価値観の影響受けているんですね。なんか松崎さんって、うまく表現できないんですが、神聖な感じがありますよね。初めて会った時から思ってたんですが。神戸のイメージが僕の中で強いからかな?

松崎さん

神戸じゃなくて西宮です(笑)。キリスト教徒ではないですが、多分色々と影響は受けてます。

羽田

高校のディベートで世界大会出たんですよね? ディベートの活動は、高校の部活でやってたんですか?

松崎さん

いや、同好会みたいな感じですね。部活には色々と制約があったので、より自由に動ける同好会のような形で自主的に活動していました。

羽田

なんでディベートを始めたんですか?

松崎さん

いや最初は本当にノリですよ。軽いノリで始めただけです。でもやってるうちにのめり込んでいって。チームメンバーが本当に優秀な人たちばかりで、私は最初ついていくのに必死でした。

羽田

でもキャリア甲子園で松崎さんのプレゼン見て思いましたけど、物凄い話すスピード早いのにすごく聞き取りやすいし、頭に入ってきやすいですよね。あれはディベートで培った実力なんですかね。

松崎さん

ありがとうございます! ディベートは、論破するものではなくて、如何にわかりやすく伝えて説得するかが勝負なんです。時には3,000文字の原稿を6分で読まないといけないこともあって、ずっと練習してました。

羽田

おおそれは。。。でも世界大会に出場するって、すごいことだと思いますよ。

松崎さん

いえいえ。チームメイトをはじめ、多くの人々に支えられました。努力が報われる貴重な体験が出来て良かったと思います。

海外へ出て行く時に今思うこと。そしてこれから。

広島学院高校の生徒と組んだ「Les Legume」。男子二人もそれぞれ今年から都内某有名大学に進学している。

広島学院高校の生徒と組んだ「Les Legume」。男子二人もそれぞれ今年から都内某有名大学に進学している。

羽田

僕から見たら松崎さんってすごく優秀な女性だと思うんですけど、一方で普通っぽいところもあって。そのバランスが独特ですよね。

松崎さん

それは褒められてるんですかね?(笑)。でも本当にわたしは平凡です。わたしの周りには、凄い人がたくさんいますよ! 紹介するのでインタビューしてください。私よりずっと面白いと思います(笑)。

羽田

(笑)。でも、それだけ凄い人たちの知り合いがいるというのは、松崎さんの人脈の広さというか人間性だからこそですよ。

松崎さん

うーん……まあ好奇心と行動力だけは旺盛な方だと思うので、色んなところに顔つっこみまくったお陰でしょうか?

羽田

なんとなく、人間愛にあふれてる感じはしますよね。特定の誰かというより、存在としての人間。

松崎さん

なんですかそれ(笑)! でも、人は好きです。キリスト教の教えで「愛されることよりも愛することを大切に」といった節があって、高校生活の端々で実感してきたので、おそらくそういった考え方の影響も受けています。嫌なことされても、嫌いになる人っていません。話せば分かり合えると思っています。メリットで人間関係を作ったり切ったりする人もいますけど、わたしはそれは違うなって思います。

羽田

紛争解決もその精神性からきているんですかね?

松崎さん

そうかもしれません。求める利益の違う人々が集まると争いになってしまうことは多いけれど、その争いによって傷つく人々がいる以上、争いはしてほしくない。理想論と言われようと、平和を絶対的に肯定し、尊重する姿勢を貫きたい。日本は今変わりつつありますが、紛争解決を志そうとしている学生の信条として、一本筋は通していきたいです。

羽田

強い言葉ですね。松崎さんだからこそ、です。

松崎さん

海外大の学費はかなり高くて、多くの留学生が返済不要の奨学金に応募するんです。私も一般家庭なので、奨学金に応募しました。ただ、家族は誰も英語が出来ないので書類作成や手続きをすべて自分でやったんです。そしたら家計のこととか結構見えてきて、「一生懸命私に投資してくれてるんだな」って改めて強く感じました。色んな方向や選択肢がある中で、こうして折角海外大学に行かせてもらえるんだから、一生懸命勉強してこようと思います。

羽田

素晴らしいですね! これからはとりあえずイギリスで勉強して、そこから何を目指すんですか?

松崎さん

それはまだ決めていません。ただ、20代のうちに大学院に行きたいとは思っています。学部卒からそのまま行くのか一回働くのかは、まだ決めていませんが。

羽田

いやぁ、すごいなぁ。本当に、ただただすごいと思います。

松崎さん

いやいや……わたし、豆腐メンタルですよ。色んなことを一生懸命頑張りますけど、ほんとに心が豆腐(笑)。最近の悩みです。鉄の女になりたいです!(笑)。

羽田

なんとなくわかります。愛情がむき出しすぎる感じですね、無防備というか。

松崎さん

うう、だからこんな弱いんですかね? もっと守った方がいいですか?

羽田

個人的には、そのままいってほしいなって思います。変に大人になって処世術覚えるんじゃなくて、そのまま体当たりして。そりゃ途中で辛くて泣くこともあるかもしれませんが、松崎さんならそれでもやると思いますよ。そして、松崎さんなら助けてくれる人もきっとたくさんいます!

松崎さん

えーそうですか? じゃあその時になったら助けてくださいね!(笑)。

羽田

はい(笑)。取材、これくらいにしときますが、この後どうするんですか?

松崎さん

あ、このあとは友人に会います。そのあと別の友人と一緒に興味のある講演会に参加してから関西に戻ります!

羽田

その行動力がすごいと思います。松崎さん、ありがとうございました!

取材後記

人の印象というのは本当に大事だと思った。彼女とは、このインタビューをするまでは実はあまり喋ったことはなかった。しかし、今回少しの会話だけで私はすっかり彼女のファンになってしまったのだ。そして今回のインタビューは、彼女の源泉に触れたような気がした。一見、どこにでもいる普通の女子学生。しかし、その中にはむきだしの想いと愛情がうずまいている。実は彼女にインタビューする前の私の中の彼女のイメージは、スタジオジブリの映画のヒロイン「ナウシカ」だった。しかし、話してみるともっと野性的でピュアなものを感じた。さしづめ、もののけ姫の「サン」だ。それを彼女に伝えたら「なんですかそれ! そんな野蛮ですか!?」とのこと。彼女は、絶対大物になる。そんな予感がする。

(取材/執筆:羽田啓一郎)
MY FUTURE CAMPUS責任者。企業の新卒採用の担当営業を経験後、キャリア教育事業の立ち上げを担当。大学の嘱託講師や政府の政策研究委員、新聞の連載コラムなども経験あり。イギリスについてはUKロックの洗礼を高校時代に浴びた為、他のどの国よりもイギリス大好き。

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