秋元 佑太 慶應義塾大学 商学部 2年生


DSC01976
「優勝は、FirstPenguinです」
2014年度MFCプログラム最後となったJTBの企業プロジェクト優勝決定戦。見事優勝を飾ったのは慶應義塾大学1年生(当時)秋元君率いるチーム、”FirstPenguin”だった。優勝を告げられた瞬間、チームメイトが歓声に沸く中、彼は一人天を仰ぎ、そして、号泣した。

高校時代からMFCに参加し、大学生になっても参加し続けた講座でそれなりに自分に自信があった彼が直面した高い壁。そしてそこからどう乗り越えていったのか、新入生と桜の季節を迎え、大学2年生になった彼を訪ねたー。
(取材/執筆 羽田)
*取材記事は2015年4月時点の情報です。

将来を考え始めた高校時代。希望に満ちた大学1年生の始まり。

右下にいるのが高校時代の秋元君。大学生に混じりロジカルシンキング講座に参加。

右下にいるのが高校時代の秋元君。大学生に混じりロジカルシンキング講座に参加。

羽田:こんにちは、お久しぶりです。お元気ですか?

秋元:はい!元気です。羽田さんはお忙しそうですね。

羽田:まあぼちぼちですね(笑)。さて、今日は秋元君の話をじっくり聞かせてもらおうと思ってお時間をいただきました。よろしくお願いします。まず、こないだ僕も初めて知ったんですが、高校時代からMFCに来てくれてたんですって?

秋元:そうですね。高校2年の終わりです。アクセンチュアの方のお話を聞きに行きました。ロジカルシンキング講座でした。

羽田:なるほど。一番最初にやったオープニングイベントですね。それは我々は嬉しいです。何で参加したんですか?

秋元:そうですね。当時、漠然と将来について考え始めていて、それで友達に「面白いイベントあるから行かない?」と誘われて行ってみようかなと。まあ誘ってくれた友達は来なかったんですけど(笑)。

羽田:(笑)。参加してみてどうでした?大学生と混ざってロジカルシンキングやったやつですよね?

秋元:いや、すごく楽しかったです。「大学入ったら絶対またMFC来よう!」と思いましたから。

羽田:ほう。でも高校三年の時は参加してなかったですよね?

秋元:そうですね。受験があったので。僕、ある大学の付属高校だったんですが、商学部に行きたくて、それで慶應を目指したので。高校三年の時は勉強ばかりしてました。

羽田:なるほど。じゃあ、次にMFC来たのは大学入ってからですか?

秋元:ハーバード流交渉学ですね。大学進学決まった後の春休みに実施された。

羽田:おお、あの時いたんですね。高校生枠もありましたからね。結構出てくれてるんですね。何が一番よかったですか?

秋元:うーん、色々ありますが、やっぱり印象に残ってるのは秋から始まった企業プロジェクトですね。


努力すれば成功してた時期は過ぎ。

大学に入り、 MFCの講座に積極的に参加。学んだことをノートにつけていった事が後で活きる事になる。

大学に入り、 MFCの講座に積極的に参加。学んだことをノートにつけていった事が後で活きる事になる。

羽田:やっぱりそれですね。何故企業プロジェクトに参加しようと思ったんですか?

秋元:MFCの講座って、その場にいる人たちに発表することはできますけど、企業プロジェクトはもっと多くの人たちの中で自分の力を試せて、アピールできるのかなって思ったからですね。

羽田:お、意外と自信家なんですかね?

秋元:いやいや、若かったですね(笑)。何社かエントリーしようと思ってたんですが、正直、全部優勝するつもりでいましたから(笑)。僕、中学の時に成績が学年でもビリの方で。でもやばいと思ってそこから頑張って勉強してこうして慶應に合格したので、乗り切ってきたからこそ、自信はそこそこあったんだと思います。

羽田:なるほど。見事難関大に合格して、大学生活は気分良くスタート切ったわけですね。

秋元:そうですね。だから企業プロジェクトの告知が始まって、MFCで出会った人とか誘ってみて。

羽田:アステラス製薬、テレビ東京、日立製作所ですよね。なんでその3社だったんですか?

秋元:僕の興味というよりは、誘ったチームメイトが興味あった企業ですね。僕は、自分の力を出すだけだって思ってました。

羽田:どんなお題でもいけると思ったんですね(笑)。

秋元:そうですね、正直、全力を出せばどんな事でも勝てると思ってました。それまでは。


勝てない現実。急速に無くなっていく自信。

アステラス製薬プロジェクトのプレゼン発表時。僅差だったが同じ大学に通う先輩に涙を飲んだ。

アステラス製薬プロジェクトのプレゼン発表時。僅差だったが同じ大学に通う先輩に涙を飲んだ。

羽田:初戦はアステラス製薬ですよね。勝てると思ってたんですか?渡辺君に(笑)。

秋元:いや、慶應の先輩に、一年生が勝ったらかっこいいなって正直思ってました(笑)。中間発表でもアステラスさんにいい評価いただいていたので、いけるかなって思ってたんですが・・・。

羽田:じゃあ優勝逃したってわかった時は落ち込んだんですか?

秋元:落ち込んだというか、信じられなかったですね。その日、僕誕生日だったので、いい誕生日プレゼントにしたいと思ってたんですが。。。

羽田:(笑)。次はテレビ東京でしたよね?それは自信あった?

秋元:そうですね。いや、自分たちなりにいいものはできたんです。だからチームメンバーはみんな「いけるんじゃないか?」って言ってて。でも自分はアステラスで負けた経験があるので、嫌な予感がしてて。口では「いけるいける」とか言ってましたが、内心は本当に不安で。

羽田:そしたらやっぱりダメだった、と(笑)。勝ったのは一橋の三宅君でしたね。

秋元:がっくりきましたね。またダメだったって。でも、その数日後に日立製作所のプロジェクト最終審査会があったので、あんまり落ち込んでる暇もなく。ただ、もうその頃には完全に負のスパイラルでした。

羽田:というと?

秋元:自信なくしてて(笑)。日立製作所のチームメイトは全員年上の先輩だったんですが、なかなか先輩たちの議論に入れなくて。アステラスもテレビ東京も、結果はダメでしたがその時のベストな準備ができてたんですが、日立はそれもどこかあやふやで、正直自信はありませんでした。そして案の定、三位にも入れない結果で・・・。もう終わりだと思いました。

羽田:三連敗に共通してるものって何だったか分析してますか?


要件を満たしているだけでは勝てない。

日立製作所のプロジェクト時。しかしこの頃には彼のプライドはどん底。よく見ると表情も浮かない。

日立製作所のプロジェクト時。しかしこの頃には彼のプライドはどん底。よく見ると表情も浮かない。

秋元:3社全部に言えますが、企業が本当に求めているものは何か、という視点が抜けていましたね。そういう発想すらなかった。

羽田:というと?

秋元:羽田さんの講座ありましたよね、提案営業の。あれが気づきのきっかけだったんです。

羽田:ああ、提案営業勉強会ですね。僕、何か言いましたっけ??

秋元:提案営業は自分のやりたいことじゃなくて、お客様が望むものが何なのかをヒアリングで炙りだすんだっておっしゃってたじゃないですか。あれが自分の中では新鮮で。確かに今までは、言われたお題に対して自分の力を出すことしか考えてなかった。相手が真に何を望んでいるのかを考える、その視点が全くなかったんです。

羽田:おお、そうなんですね。それはなんだか光栄です(笑)。

秋元:言われてみれば、それまでの3社って、審査項目以外に「期待してるもの」のメッセージがあったなって。それは、企業の話をしっかり咀嚼して聞いていればわかった筈なのに、自分の事ばかりで重視していなかった。逆に優勝した人たちはみんな、各社が望んでいるものにしっかりと応えていたなあと。アステラス製薬はデータを根拠にした論理性、テレビ東京は大人じゃ思いつかない目新しさ、面白さ。日立製作所は社会問題×ITビジネスにおける斬新な着眼点。

羽田:求められているものが1社1社違う、と。

秋元:変な言い方ですが、それまでは3社とも「大企業」という見方しかしていませんでした。でも当たり前ですが、企業によって特徴が違って、求めているもの、目指しているものが違う。プロジェクトを通じて企業の事を必死に考えて、企業を見る目が確実に変わりました。

羽田:なるほど。で3連敗して企業プロジェクト第一弾は終了。その後どうしてまたJTBに挑戦しようと思ったんですか?ライバルも多かったのに。


どん底からの再起。1年生だけにこだわったチーム編成。

Premium会員限定FBグループでチームメンバーを1年生に呼びかけた。*FBが関西弁仕様なのは中の人の趣味です。

Premium会員限定FBグループでチームメンバーを1年生に呼びかけた。*FBが関西弁仕様なのは中の人の趣味です。

秋元:簡単に言ってしまえば意地ですね(笑)。正直、かなり迷いました。また負けるんじゃないかって。でもやっぱり勝ちたくて、もう一回やろうと。自信を取り戻すために、一年生だけのチームにこだわりました。先輩方の力で勝てても意味ないし、過去のプロジェクトで一年生だけのチームで勝てたチームってなかったから、かっこいいなって。

羽田:facebookで一年生を呼びかけてましたよね。それまでとやり方は変えたんですか?

秋元:もう全て変えました。他のプロジェクトで優勝した人に相談したりしながらチーム編成とかも考えて。あと過去のMFCの講座でとったノートを全部見返して。交渉学のこれは使えるんじゃないか、アイデア発想法のこの考え方は参考になる、みたいに。

羽田:印象的だったのが、決勝プレゼン大会の時に秋元君、一切プレゼンしませんでしたよね。目立ちたがり屋だからあれが僕は意外で。

秋元:そうですね。直前まで僕がプレゼンする予定でした。でも別件でチームメイトの男子がプレゼンするところをたまたま見て。僕は複雑な事をわかりやすく説明するのは得意なんですが、彼のプレゼンは人を楽しませるのが得意なプレゼンだった。JTBのテーマは「感動」「破壊的イノベーション」。だったら、彼のプレゼンの方が合ってるかなと。

羽田:勝ちにいったんですね。

秋元:はい。それまではただ全力を出す事が目的で、参加する事自体が目的になってた気がします。でも、JTBのプロジェクトは考え方の転換があった。「勝つ」為にはどうするかを徹底的に考え抜いて。勝つためにJTBが求めているものは何か、というところからアイデアを考えて、プレゼンや資料の作り方まで構築していきました。


やっと果たした優勝。その過程で得たもの。

悲願だった優勝。フィードバック中ずっと泣いてましたが、ちゃんと聞いてたのでしょうか!

悲願だった優勝。フィードバック中ずっと泣いてましたが、ちゃんと聞いていたのかどうか今更ながら気になりました(笑)でも、おめでとうございます!!

羽田:その発想の転換の気づきは本当に大きいと思います。よくわかります。体験者にしか分からない大きなインパクトがありますよね。最後は自信ありましたか?

秋元:徹底的に考え抜いたので自分たちのプランには自信がありました。でもそれまでの敗戦があったから全然安心はしてませんでした。自分たちのプレゼンは最後から2番目でしたが、終わった後からもう不安で不安で。最後のチームのプレゼンは、全く記憶にないくらい緊張していました。申し訳ないんですが。審査が長引いてJTBの方々がなかなか選考部屋から出てこなくて。早く発表してくれって(笑)。

羽田:そして、優勝。泣いてましたね。

秋元:はい(笑)。思わず涙が出てしまいました。やっと勝てたって。審査員の方から「すごく迷ったけど、最終的には破壊的イノベーションのテーマに合っていたから選んだ」って言っていただいて、僕らの戦い方は間違ってなかったなって。

羽田:いや、本当におめでとうございます。改めて振り返って、何を学んだと思いますか?

秋元:言葉にはできないくらい、いろんなものを学びました。でも、きっと実感するのはこれからだと思います。僕はまだ大学2年生になったばかり。これからも色んな挑戦があると思いますけど、その中で今回学んだ事が活きてくるだろうし、活かせるようになって初めて成長だと思います。

羽田:おお、なんだか貫禄というか、芯のある強さが出てきましたね。モテるんじゃないですか?

秋元:いやー・・・そっちはまるでさっぱりです(笑)。MFC、可愛い女性が多いのに、全くご縁がなく・・・(笑)

羽田:じゃあ彼女作りも頑張らないといけませんね!ありがとうございました!

取材時の慶應日吉キャンパスにて。たくさんの後輩に声をかけられる、強いのに愛されるキャラ

取材時の慶應日吉キャンパスにて。たくさんの後輩に声をかけられる、強いのに愛されるキャラ

取材後記
秋元君は自己主張はするものの、最終的にはいじられるタイプのキャラだった。しかし久々に会った彼は、言葉には出さない、静かな自信を身につけていた。もはや言葉に出して自己主張をするまでもなく、自分の中で確たる自信がついたのだろう。「考えてきた事を発表する」と「勝つ為に発表する」。実はこの二つには大きな差がある。そしてこの差の明確な違いに気づいた時、人は本当に勝負強くなる。一連の経験を経て、彼は戦う武器を手にいれた。そして彼はまだ大学2年生が始まったばかり。勝つ為に必要な方法論を体で学んだ彼の今後が楽しみだ。(羽田)

あなたにおすすめのコンテンツ

careerintercollege_tilev2extension_lecture_tilelevel0_tile
permalink.
PAGE TOP