江澤拓宣のその後。


今から約1年前、学生起業家、江澤君の話を聞いた。”学生起業”に対する世間の盛り上がりに違和感を感じながら、自分が何をすべきかを冷静に語る江澤君。当時、学生向けSNS、「カレッジーノ」をリリースしたばかりだった。
しかしそれから半年後、「カレッジーノ」事業売却の一報を聞く。サイバーエージェントのグループ会社ハシゴにカレッジーノを事業ごと売却したという。
ちょうどそのタイミングで久々に彼から連絡をもらい、再会。2時間程度みっちり話し込んだ様子をお届けする。結論から言うと、めちゃめちゃ面白かった。
(取材/執筆:MFC羽田)

カレッジーノ売却後、次なるサービスを計画中

「意識高い学生向けSNS」というニッチな領域で着実にユーザーを増やしてたカレッジーノ。「買いたい」という企業はたくさんあったが、「学生が主体となって運営している会社」以外に売るつもりはなかったという。学生のためのSNSという自負があったからだ。そして結果的に、株式会社ハシゴと合意。何度も議論し、「この会社なら信頼してお任せできる」と思ったという。

現在は1年間の休学から大学に復帰し、「授業、ちゃんと聞いてみたらめちゃめちゃ面白いです」と屈託なく笑う江澤君。少し穿った見方をしていたことを僕は白状しなくてはならない。正直、最初は事業継続に限界を感じて売却をしたのだと思っていた。「正直なシラバス」「カレッジーノ」という、現役大学生ならではの視点でのサービスを世に送り出してきた江澤くん。しかし実際にマネタイズをしながらビジネスとして回していくのは本当に難しい。江澤君ももうビジネスは一旦諦めて、普通の大学生に戻っていったのかと思っていた。
しかし僕のそうした予想は的外れだった。彼はまた新しいサービスの開発に目下取り組んでいたのだ。

事業開発費も生活費も、学費までも全て自分で賄う江澤君

「まだ詳細はお伝えできないんですけど、人のアクションをサポートするサービスを作りたくて」と語る江澤君。目下、鋭意取り組んでいる最中だという。しかし僕はここで疑問に思った。カレッジーノも、よくある学生制作サイトとはまるでレベルの違うクオリティを誇るWebサービスだった。一体これらを開発する費用はどこで賄っているんだろう?と。そこまでの高額で売却できたと言うことなのだろうか。
「まあ、お金を回していくことはカツカツですがなんとか自分でやりくりしてます。投資です」と彼は言う。初耳だ。彼は投資で出した利益で日々の運用コストをまかない、そればかりか毎日の生活費、そして学費までも自分で払っていると言う。「親にお金を面倒見てもらったことは大学入ってからは一度もありません。でも僕、そんなに物欲がないので僕自身にお金はそんな関わらないんですけど」と彼。僕自身は投資などはやったことがないのでよくわからないが「あれは勉強すれば誰でもできる。自分に才能があるわけではないです。」と江澤君は語る。彼が得意なのはマクロ経済だそうで、アメリカ選挙の行く末次第で世の中に大きな変化が起きると考えている。実際、非常に説得力のある展望を聞かせてくれたのだが、それは記事では割愛させていただく。

学生起業家は、バイトには受からない

高校時代に米国留学を果たし、自分で起業してサービスを実際に世に生み出し、事業売却まで経験している江澤君。そうそういる大学生ではない。ただ逆に、彼は大学生なら誰でも通る道を通っていない。アルバイトだ。「やりたくないわけじゃないし、やる必要がないとも思っていません。むしろ、滅茶苦茶やってみたいんです。でも、ダメなんです。どこも面接で落ちてしまうんです」。
彼は生粋の映画ファンで、高校時代からいつか映画館でアルバイトをしたいと思っていたそうだ。特にチケットのもぎりのバイトをしたい、と新宿中の映画館のアルバイト募集面接を受けた。「全部受けましたよ。でも、全部落ちました。俺、インターンとかも面接受けると落ちるんですよ。社会ではやっていけないかもしれないと悩んでます。いつか映画館でバイトをしてみたい」。

ちなみにこの後、映画「シンゴジラ」の話題で相当盛り上がった。「あれはもう、仕事そのものですよ」と江澤君。学生の間でも、長期インターンや起業を経験してる学生はシンゴジラに熱狂するそうだ。真偽のほどはわからないが、ゴジラのような進化を遂げた江澤君の今後がとても楽しみだ。

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