【東京ガス】「東京ガスの強みを活かし、エネルギー以外で収益を得るための新規事業を立案せよ」


日本有数のインフラ企業として、私たちの日常生活を支えている東京ガス。2017年からはガスの自由化も始まります。そこで東京ガスが今回のテーマに選んだのは、東京ガスの強みを活かした、エネルギー以外の新規事業の立案。では東京ガスの強みとはいったいどこにあるのか? 世界中のエネルギー供給会社の中で東京ガスにしかないものは何か?を、最新の事業の動向も含めて伺いました。

お話をしてくれた方 星野 佐織さん
東京ガス株式会社 人事部 人材開発室
profile_incolle22010年入社。入社後は産業エネルギー事業部にて、工場のお客さまへの営業(他燃料から都市ガスへの燃料転換、ガスコージェネレーションシステム・ガス空調システムの導入など)に従事。その後、2014年に人事部人材開発室へ異動。インターンシップや新卒採用を担当。趣味は海外旅行で、刺激を求め貪欲に旅行を続けている。
東京工業大学大学院 生命理工学研究科 生物プロセス専攻修了
お話をしてくれた方 伊藤 慎平さん
東京ガス株式会社 人事部 人材開発室
profile_incolle2010年入社。入社後は家庭のお客さま向けに東京ガスのガス機器(エネファーム・床暖房等)や電気を販売する分野で、地域の販売店の営業支援に従事。2016年4月より人事部人材開発室にて社員の採用や育成の業務を担当。趣味は学生時代から続けてきた草野球。
早稲田大学 社会科学部 社会科学科卒業
お話を聞いた人 青野 将大
MY FUTURE CAMPUS学生スタッフ 東京大学3年生 農学部国際開発農学専修
profile_incolle3サッカーサークルの他に学生団体に2つ入っていて、趣味はフットサルやサッカー、ボルダリングなどアクティビティ全般が好き。将来は日本ではなく、海外の勤務を希望している。成熟した市場ではなく、成長途上の国々で市場とともに、勤務企業の成長を成し遂げたいこと、マーケティングなどを通して国家ごとの文化の違いに触れたいと考えている。

2017年からガスも自由化。様々な企業がガス事業に参入

―― MFC学生スタッフの青野です。東京ガスといえば例の電力自由化のCMを思い浮かべてしまいます(笑)。今回の東京ガスのテーマもやはり電力自由化が背景にあるのですか?

伊藤さん あのCMを連想してもらってうれしいですね(笑)。確かに電力自由化は今回のテーマと大きく関わっています。まずは皆さんに東京ガスがなぜこのテーマを設定したのかという背景からお話ししたいと思います。2016年に電気の小売り全面自由化が始まり、2017年からはいよいよガスの小売り全面自由化が始まります。エネルギーの相互参入がより活発になり競争が激化する中では、エネルギー各社は収益の柱を既存のエネルギー供給事業のみに頼るのではなく、新たなお客さまニーズを捉え、今後の柱となるような新たな事業を育てていく視点も必要となります。ぜひ皆さんのアイデアをエネルギー供給以外の事業立案のヒントにさせていただきたいです。

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伊藤さんから、まずはエネルギーの自由化についてご説明をしていただいた。

―― 電力自由化という言葉はよく聞くのですが、正確な説明ができる人は少ないと思います。東京ガスも電気を売ってますよね。電力自由化についてあらためて教えてください。

伊藤さん 青野さんのように東京ガスが電気を売っていることを知る人はまだ少ないです。やはり当社はガス会社というイメージが強いんですね。それは無理もない話で、これまでエネルギー業界は地域ごとに会社があり、ほぼ独占的に事業を行ってきました。しかしこのままでは競争が起こらずコストも下がりません。そこで10年以上前から工場など大口のお客さまから段階的にエネルギーの自由化が進められ、その延長線上として今回の一般家庭への小売り自由化へと繋がってきました。

―― 電気の自由化はまだイメージしやすいのですが、ガスの自由化ってどうするんだろうと思います。なぜならガスは地中のガス管を通りますから、よその地域での営業は難しくないですか?

星野さん 他の地域であってもそこに埋められているガス管を共同利用することで様々な企業が参入し、競争ができるようになります。ただ、東京ガスは、まずは電気・ガスの両方を関東エリアのお客さまにしっかりと供給していくことを考えています。首都圏に地球1周半の長さにあたる61,000kmのガス管と、1,100万件以上の顧客基盤を持っていることが当社の最も大きな強みですので。

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東京ガスのスケールについて、星野さん(右)からお話頂きました。

世界へ、そして毎日の安全へ。東京ガスの挑戦と実績

―― 約1100万件の顧客と地球1周半分のガス管を持つ企業……。スケールが大きすぎて想像しにくいのですが、一つ見えてくるものがあります。ガス管によって多くの家庭を繋いでいるわけですから、安全、とりわけ地震対策には力を入れてますよね。

星野さん そうです。東京ガスは地震防災システム「SUPREME(シュープリーム)」を開発・運用しています。SUPREMEは、地区ガバナと呼ばれるガスの圧力を調整する機器に揺れを感知する地震計を設置し、大きな揺れを感知したエリアのガスを自動で遮断させるだけでなく、ガス漏れの危険性があるエリアのガスを遠隔操作によって遮断することができるシステムです。現在のところ遠隔でガスを遮断できるシステムは当社にしかありません。また、当社が地震計を設置している箇所は4,000カ所にのぼり、約1km2あたりに1基という高密度を実現しています。鉄道会社も地震計を設置していますが、設置場所は路線周辺です。東京ガスの場合は各家庭や工場と結びついている点が特徴です。

―― SUPREME以外にも東京ガスが世界に先駆けて行っているサービスや事業はありますか?

伊藤さん 省エネという観点ではスマートエネルギーネットワーク、略してスマエネを展開しています。とても簡単に言うとその地域単位で最適なエネルギーシステムを構築することで、熱と電気をネットワーク化したり、再生可能エネルギーを最大活用したりしています。例えば荒川区では当社の施設と老人ホームの間で熱をネットワーク化し、お互いの施設で余った太陽熱などを融通し合っています。環境面では水素の利用は今後ますます進んでいくと思います。東京ガスは水素ステーションの運営を開始しており、燃料電池自動車の普及に貢献しています。またガスや電気の使用状況をモニターで確認できる「見える化」のサービスも始めています。

―― 東京ガスは海外事業にも乗り出しているそうですが、いったいどのような事業を行っているのですか?

星野さん 海外事業については大きく2つあります。1つ目はガス田開発などへの投資を行う上流事業です。東京ガスはアメリカに子会社を持っており、最近ではテキサス州のシェールガス開発事業の権益を取得しました。生産したエネルギーは今後米国内市場でも販売する計画です。そして2つ目が海外でのエネルギーインフラ構築やエネルギーサービス事業といった中下流事業です。東京ガスグループの技術・ノウハウを活かし、天然ガスの利活用を広めるべく、東南アジアの5カ国(マレーシア、シンガポール、インドネシア、タイ、ベトナム)に事務所を置き、新規案件の調査・開拓を進めています。実際には、マレーシアでのガス事業や東南アジアに進出した日本企業のエネルギーサービス事業を行っています。

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1,100万件の家庭や企業と綿密に結びついているからこそ実現しているシステムは、
あまり一般には知られていないことかも……、メモメモ。

多様な顧客層と直接コミュニケーションが取れる強み

―― お二人の話を聞いて、あらためて東京ガスがスケール感のある事業を行っていることがよくわかりました。かつ安全面にも相当の努力をしていますよね。他に特徴・強みはありますか?

伊藤さん 学生の皆さんが当社のテーマにチャレンジする上で、ぜひ知っておいてもらいたい点としては、東京ガスがガス供給におけるすべてのプロセスに関わっている企業である点です。ガス田への投資、そこから採取した天然ガスを日本まで輸送し備蓄、それを国内で使用できるガスへと製造し、さらに各家庭へと供給していき、地震対策などを含めたアフターサービス、あるいは工場などのエネルギーソリューションの提案まで一貫して行っています。ここまでカバーしているガス会社は世界的に見てとても少ないです。

星野さん 1,100万件のお客さまの多様性も、今回のテーマのヒントになると思います。東京ガスのお客さまは一般家庭もあれば工場、学校、病院など実に様々です。それぞれの立場によって「こんなエネルギーの使い方ができたらいいのに」と望むポイントも多様です。私たちは日頃お客さまに合わせて解決策を提示するわけですが、これだけお客さまの層が多岐にわたる企業は少ないと思います。そしてガスの定期的な保守点検や200カ所以上あるサービス窓口など、多様なお客さまと直接対話ができるチャネルを持っている点も特徴です。学生の皆さんへのテーマは「エネルギー供給以外での新規事業」ですが、この多様な顧客層と直接コミュニケーションが取れる点は一つの鍵になりそうですね。

―― 確かに「エネルギー供給以外の新規事業」という点で学生たちは悩みそうです。ぜひ挑戦する学生にヒントと、そしてメッセージをお願いします。

伊藤さん ヒントは与えすぎても邪魔になるのでほどほどにしますね(笑)。まず資料が欲しい場合は東京ガスのホームページ、特に技術開発や都市生活研究所のページに技術開発や生活に関する情報が掲載されているので参考にしてください。CSRもじっくり読んでください。ありきたりなアドバイスだと思われるかもしれませんが、意外と社員も知らないユニークな取り組みもあります。おそらくエネルギー供給以外という部分で皆さんは深く考えることになりそうですが、せっかくですのでエネルギーそのものについてもしっかりと考えてもらいたいです。いつの時代も人がエネルギーに求めているものは、安全や安定的な供給などそのニーズは大きく変わらないと思います。そんな思いも汲んだうえで、エネルギー以外の新事業に東京ガスの強みを活かす。ぜひ自由で大胆なアイデアを期待しています!

星野さん 自由で大胆で、さらに実現可能性も秘めたアイデアだとなおいいですね。東京ガスはコーポレートメッセージに「あなたとずっと、今日よりもっと。」を掲げ、常にお客さま目線を心掛けてきました。その点もアイデアには反映させてもらいたいです。これは当社に限った話ではありませんが、一つの会社にいると自分たちが日頃あたりまえに行っていることが、特殊なことだと気付かなくなってしまいます。そこで学生の皆さんには、あらためて東京ガスのよさや強みを発見してもらいたいです。自分たちの意見を自由にぶつけやすいテーマだとも思いますので、ぜひ多くの学生に応募してもらいたいですね。

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OBOG訪問をしているかのような、アットホームな雰囲気でお話を頂きました。このスリーショットを撮影してもらっているとき、伊藤さんにプライベートなお話を伺い、みんなに突っ込まれ苦笑いの伊藤さん……。

青野 将大の取材後記

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ガス会社という枠組みにとらわれない多様な技術を持ち合わせているということを今回の取材ではお聞きできました。キャリア・インカレ特設ページ内にある動画のテーマ解説では、こちらの取材でもお話ししていた地震防災システムの他にICT技術、水素利用技術などについても解説しておりますので、是非ともこちらをご覧の上でテーマを考える一助にしてみてください。星野さん、伊藤さんありがとうございました!!


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